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THE RAMPAGE、DEAN FUJIOKA、ベボベ、女王蜂……J-POP発、世界レベルのダンスチューン

2019年01月29日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今回のテーマは“J-POP発、世界レベルのダンスチューン”。エレクトロ、フューチャーベース、オルタナR&B、トラップなど、ここ数年の世界的なトレンドを取り入れながら、和洋折衷、換骨奪胎を軸とするJ-POP独自のスタイルに則した、魅力的な新作を紹介します。


(関連:THE RAMPAGEが語る、16人で臨んだ新曲と初アリーナツアー「第2章に踏み出すきっかけに」


 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEの2019年第1弾シングルの表題曲「THROW YA FIST」は、1stアルバム『THE RAMPAGE』のリード曲「LA FIESTA」を手がけたトラックメイカーAva1ancheのトラックによるアッパーチューン。最新鋭のベースミュージックを軸にしながら、彼のルーツであるダンスホールレゲエ、ヒップホップなどの要素を織り交ぜ、幅広いリスナーに訴求できるサウンドに仕上げている。さらなる前進を続ける決意をダイレクトに示したリリック、アグレッシブな感情に貫かれたボーカル、そして、メンバー全員が声を揃えて叫ぶ〈THROW YA FIST IN THE AIR(=天に拳を掲げろ)〉というフレーズを含め、2月6日からスタートする初のアリーナツアーに対する強い思いが込められたナンバーだ。


 2016年に小出祐介(Vo/Gt)、関根史織(Ba/Cho)、堀之内大介(Dr/Cho)の3人体制となったBase Ball Bear。自身のレーベル<DGP RECORDS>からのリリースとなる新作『ポラリス』は、スリーピースのグルーヴを追求した2018年の成果が強く反映された内容となった。そのポイントは、音数を抑え“リズムと歌”だけで成立するアレンジメント、ふくよかな響きをたたえた低音域の作り方、そして、さらに研ぎ澄まされたフロウ。ギターロックのスタイルをしっかり維持しながら、現在の欧米のヒップホップ、R&Bにも通じるサウンドメイクを取り入れ、日本の音楽シーンにもヒットさせる。針の穴を通すようなコンセプトを見事に具現化した本作は、メンバー3人にとっても新たな起点になりそうだ。


 「History Maker」~HITM Ver.~(TVアニメ『ユーリ!!! on ICE』OPテーマ)、「Permanent Vacation」~HITM Ver.~(映画『結婚』主題歌)、「Echo」(フジテレビ系ドラマ『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』)を含むアルバム『History In The Making』。リリース順、制作順に収録された本作からは、前作『Cycle』(2016年)以降の3年間における、DEAN FUJIOKAの音楽的な変化がリアルに刻まれている。オルタナR&B、エレクトロ、フューチャーベースといった世界標準のトラックのなかで、(「Sakura」「Fukushima」に象徴される)彼自身の原風景、故郷への思い、生々しい感情を含んだリリックを映し出すスタイルは、本作で完全に確立されたと言っていいだろう。美しい色気と濃密なエモーションを同時に響かせるボーカルも、やはり魅力的だ。


 〈Party is over/それでも踊りたかった〉というアヴちゃんのイメージにぴったりなフレーズが聴こえてきた瞬間、一気に楽曲に引き込まれる。トラップ、ドラムンベース、ギターロックを有機的に混ぜ合わせたトラック、そのなかを縦横無尽、自由自在に踊りまくるボーカル、そして、全編を覆う“和”モチーフの音像など、すべてのファクターがバランスよく絡み合い、それがそのまま現在の女王蜂のモードにつながっているのだ。TVアニメ『どろろ』(TOKYO MXほか)オープニングテーマとして制作された、新シングル表題曲「火炎」はダンスミュージックとしての高い機能、歌モノとしての濃さを両立させた圧倒的な名曲。まちがいなく、女王蜂の新たな傑作として認知されることになるだろう。


 2017年3月に公開した「君に届け」(flumpool)のカバーがYouTubeで1,270万再生を突破(2019年1月29日現在)。歌い手として一躍有名になり、2018年6月にミニアルバム『STAR LAND』でメジャーデビューを飾ったみやかわくんの2ndシングル表題曲「略奪」は、今年1月をもって“辞職”するぼくのりりっくのぼうよみの提供曲。ビッグバンドジャズとファンクを融合させたサウンド、カラフルな光を放つ旋律、〈君を僕だけのものにしたい〉に象徴される(「略奪」のイメージにも合致した)リリックがひとつになった高品質のポップチューンなのだが、歌詞をじっくり読み解くと、現代の社会の閉鎖性と“ここから抜けたい”という切実な思いが浮かび上がってくる。心地よいグルーヴと歌詞のディープな意味合いを共存させたボーカルも秀逸である。


■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。