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世界ラリークロス王者所属した強豪チームKMS、北欧ツーリングカーのSTCCから撤退

2019年01月28日 17:12  AUTOSPORT web

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KMSのラリーチームには、ヨハン・クリストファーソンに加えペター・ソルベルグの子息であるオリバーも参画
STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権にフォルクスワーゲンディーラー・チーム・バウハウスとして参戦したクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)が、2019年シーズンのSTCC参戦を見合わせ、シリーズから離脱することを表明。今季はスウェーデン国内選手権となるスウェディッシュ・ラリー・チャンピオンシップでの活動に集中するとアナウンスした。

 2017年、2018年とWorldRX世界ラリークロス選手権を圧倒的な強さで連覇し、昨季はSTCCでもドライバーズチャンピオンに輝いたヨハン・クリストファーソンだが、今季2019年は父トミーの運営するKMSから離脱し、TCR規定ツーリングカーシリーズの最高峰であるWTCR世界ツーリングカー・カップにステップアップ。

 WorldRXではライバルとして勝負を繰り広げたセバスチャン・ローブ率いるSLR(セバスチャン・ローブ・レーシング)に加入して、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのステアリングを握ることが決まっている。

 そのヨハンとともにモータースポーツ活動の支援を続けてきたフォルクスワーゲン・スウェーデンのマネージングディレクター、ステン・フォルスベリは「スウェーデンでの長期的モータースポーツ・プログラムは本当の意味で成功を収めており、ヨハン(クリストファーソン)はこれまで参戦したすべてのカテゴリーで勝利を収めてきた」と、その才能を改めて称賛した。

「彼が参戦するラリーやラリークロス、そしてツーリングカーのレース活動をフォローするのは本当に楽しい仕事だよ。我々はフォルクスワーゲンディーラー・チーム・バウハウスとして数々の輝かしい戦績をともに収めてくることができた」と総括したフォルスベリ。

 すでにWorldRXからは退くことを決断しWTCRへのフル参戦を決めているヨハンだが、これと並行してフォルクスワーゲンディーラー・チーム・バウハウスのエントリー名でスウェディッシュ・ラリー選手権に参戦することも決定。同チャンピオンシップでは最新R5モデルの『フォルクスワーゲン・ポロGTI R5』をドライブすることとなった。

「僕には過去3シーズンにわたって、世界ラリークロス選手権で成功を収めるという明確なプランがあった。そこで得た2度のラリークロス世界王者という成果から、この先の展望を予測するのは難しいことかもしれないけど、僕個人の希望としてラリー・プログラムへの本格的な一歩を踏み出したい、という思いがあったんだ」と、ラリー競技への熱意を語ったクリストファーソン。

 これにより必然的にKMSは今季の活動をスウェーデン国内のツーリングカーからラリーへとシフトすることとなり、STCCでの活動には一区切りをつけることが確認された。

 2009年にブロバリアン・デザインと組んでSTCC参入を果たした“フォルクスワーゲンディーラー・チーム”のエントリー名は、翌2010年から2012年シーズンはKMSが引き継ぐ形となり、わずかなブランクを経て2016年以来続いてきた伝統のチーム名が、ふたたびシリーズから姿を消すこととなった。

 またフォルクスワーゲンとしてもSTCCでは2度のタイトルを獲得しており、2012年のシロッコS2000、2018年のゴルフGTI TCRともに、ドライバーズチャンピオンはヨハンが勝ち獲っている。

 そのヨハンの父であり、自らもドライバーとしてラリークロスやツーリングカーで活躍したKMS代表のトミー・クリストファーソンは、「我々がSTCCに参戦したすべてのシーズンにおいて、フォルクスワーゲンがそのバックボーンだったことは言うまでもない」と、その存在と強い信頼関係を改めて強調した。

「しかしこのニューマシン(ポロR5)が登場したとき、我々もVWスウェーデンも『これしかない』と感じたんだ。もちろん、KMSのパートナーであるディーラーチームにとってもラリーは未知の領域だが、STCCからのスイッチでも我々は競争力を発揮できるはずだと思っているよ」

 先日のウエスト・コースト・レーシングに続いてKMSも離脱を表明し、強豪チームの流出が続くSTCCだが、そんななか昨季もアウディRS3 LMSの2台体制でエントリーしたブリンク・モータースポーツが2019年の参戦継続を発表。ドライバーは追ってアナウンスされる予定だが、昨季もレギュラーを務めたトビアス・ブリンクの残留が有力視されている。