トップへ

豪州SC:15年王者ウインターボトムがホールデンを初テスト「確かに別モノだね」

2019年01月28日 17:01  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

マーク・ウインターボトムのホールデン初テストに準備されたトリプルエイト製のコモドアZB
オーストラリア大陸のみならず、世界中でファンを獲得している人気ツーリングカー・シリーズ、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーで2015年王者に輝いているマーク・ウインターボトムが、長年在籍したフォードから移籍先の“チーム18”に合流。自身初となるホールデン製『コモドアZB』のテストを実施し、その感触の違いを楽しむとともに「少しマシンに弄ばれたみたいだった」と、その初体験をふり返った。

 VASCではフォードの顔として13シーズンにもわたりファクトリードライバーを務めたウインターボトムは、このオフシーズン最大の移籍劇としてティックフォードからの離脱を決意し、今季トリプルエイト・レースエンジニアリングと提携してホールデンのファクトリーサポートを受けるチーム18に移籍。

 1月第4週の火曜に、クイーンズランド・レースウェイでチャーリー・シュワルコート率いる新生IRWIN(アーウィン)レーシングのブランニューシャシーが使用された『ホールデン・コモドアZB』のステアリングを握った。

「火曜午前の走行セッションでは10周程度しか走ることができなかったから、まだこのホールデンがどんな性格かをすべて言い表すのは難しい。正直なところ、その短い時間ではまるでマシンにからかわれて、弄ばれたようなものだったよ」と、笑みを浮かべたウインターボトム。

「でもスーパーカーのマシンをドライブして、その細部の感触を確かめるのはいつだって本当にクールだ。慣れ親しんだ(フォード)ファルコンFG-Xと比べても、わずかにフィーリングが異なっていて、それは微妙なんだけど確実な違いだと言っていいね」

 このテストでは、かつて苦楽をともにした仲でもあり、2017年限りでフォード陣営のDJRチーム・ペンスキーを離れた元担当エンジニアのフィル・キードとも、ふたたびタッグを組むことが確認され、ウインターボトムはGen2ワンメイク規定の新造シャシーをテストに間に合わせたトリプルエイトのエンジニアリング・クルーにも賛辞を贈った。

「通常この1月15日という日程は、レースカーだと数千ものパーツに分解された状態が当たり前なんだ。なぜなら(VASCの公式)テストは2月も中旬。まだ1カ月以上も猶予のある期間だからね」

「つまり、チーム全体がこのテストを実現するために懸命な努力と作業を続けてくれた証だ。これまでライバルとして戦ってきたトリプルエイトの偉大さを痛感したよ」と、移籍決断の決め手ともなったサテライト契約の効果を強調したウインターボトム。

「このわずか10ラップだけでも、ドライバーとして本当に多くのビルドアップが実現できた。マシンを自分のモノにするには、わずかな積み重ねが重要だ。この期間にマシンを整え、1ラップに集中し、正しい準備を重ねて、シートポジションを確認し、ステアリングセンターとアライメントを調整する。こういうわずかなエルゴノミクスの蓄積が勝負を分けるんだ。2月のVASC公式テストに向け、僕らは準備万端だよ」

 このテストにはホールデンのファクトリーチームであるレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)から“セブンタイムス・チャンピオン”ジェイミー・ウインカップのエンジニアを務めるデビッド・カウチや、アンドリュー・シンプソンを含むトリプルエイトのメンバーも参加した。

 またウインターボトム自身も、このテストに先立つ月曜には同じくクイーンズランド州バンヨーに位置するトリプルエイトのファクトリーを訪問し、かつてのライバルだったチームの施設で入念なミーティングも行っている。

「このシャシーはまさにRBRAで保管されていたプロトタイプで、フォードとの違いは確実に存在する。確かに別モノだね。でもフォードの長所とホールデンの個性をミックスし、より強いマシンを仕上げることが僕の仕事だし、それこそ自分にしかできない武器だと考えている」と、37歳の王者経験者。

「マシンは2018年にシリーズを席巻したパフォーマンスを感じさせてくれたし、悪いドラマもなく本当に快適に走ることができた。このクルマでレースするのが今から本当に楽しみだ」