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フォーミュラE第3戦サンティアゴ:ニッサン初ポールもブエミはクラッシュ。バードが混戦を制す

2019年01月27日 11:41  AUTOSPORT web

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今シーズン初優勝となったサム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)
チリの首都サンティアゴで開催された2018/2019ABBフォーミュラE選手権第3戦。4番手スタートのサム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が、波乱のレースを制し、シーズン4のローマE-Prix以来の勝利を収めた。ポールポジションからスタートしたセバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)は痛恨のリタイアとなった。

 戦いの舞台を中南米に移したフォーミュラE。昨年に引き続き開催されたチリ、サンティアゴでの一戦は、路面温度は46℃を、最高気温は37℃を超える酷暑の下で行われることに。

 出力を25kWアップさせるアタックモードはレース中に2度の使用が可能で、4分間にわたり稼働する。アクティべーションゾーンは第3ターンのアウト側に設けられた。

 予選でトップタイムを記録したのはルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)。だが、グループ予選走行後のインラップにおいてレギュレーション違反が発覚。ペナルティの裁定が下り予選タイムが抹消され最後尾スタートに。

 その結果、2番手タイムを出していたブエミが繰り上がりでポールポジションを獲得。ニッサンにとってこれが初ポールとなった。

 予選2番手にはパスカル・ウェーレイン(マヒンドラ・レーシング)が付け、フロントロウに元F1ドライバーが並ぶ。3番手にダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、4番手にバードがつけた。

 現地時間の16時過ぎに決勝レースがスタート。ブエミが見事にホールショットを決め、後続を引き離しにかかる。バードは、アプトを抜いて3番手に浮上する。

 快調に走るブエミは5周目に全車の先陣を切ってアクティベーションゾーンを通過。レコードラインへ復帰する際、2番手のウェーレインに並びかけられるも順位を死守し、アタックモードで後続を引き離しにかかる。

 好調なペースで走る3番手のバードはアタックモードを使用して前を走るウェーレインとの距離を詰め、10周目の1コーナー手前、バードはレイトブレーキでウェーレインのインに飛び込み、オーバーテイク。2番手に浮上する。

 その後方では熾烈な5番手争いが繰り広げられる。14周目、5番手のエドアルド・モルタラ(べンチュリ・フォーミュラEチーム)と8番手スタートから順位を上げてきたアレクサンダー・シムズ(BMW i・アンドレッティ・モータースポーツ)が接触し、モルタラがスピン。モルタラはシムズとストフェル・バンドーン(HWAレースラボ)に抜かれ7番手まで順位を下げた。

 翌周、マキシミリアン・ギュンター(ジェオックス・ドラゴン)がホームストレート上にストップ。フルコースイエロー(FCY)が導入される。ギュンターはコースマーシャルによってピットに戻され、そのままリタイアとなった。

 17周目、FCYが解除されるとブエミの背後につけていたバードがマシンを左右に振って威嚇。だがブエミは臆することなくポジションをキープ。

 しかし、6番手を走るバンドーンが第3ターン出口のウォールに右フロントから接触。フロントカウルをコース上に撒き散らしてしまい、1周待たずしてふたたびフルコースイエローが導入。トップ争いは再びギャップがなくなり、今度はブエミ、バード、ウェーレインの3つ巴の戦いに。


■首位を走るブエミにまさかの展開が

 だがこのバトルの結末は意外な展開に。22周目のシケインでブエミがブレーキをロックさせ、コーナーを曲がりきれずに左フロントをウォールに接触。カウルにダメージを負い、バードに首位の座を明け渡してしまう。そのままピットインしたブエミだが、マシンへのダメージはひどく、ここでマシンを降りてしまった。

 残り15分に迫った23周目にジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)が単独スピン。さらに24周目にはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(BMW i・アンドレッティ・モータースポーツ)もトラブルと、これまでのウイナーたちはそろってリタイアとなる。

 30周目、2番手を走るウェーレインは首位奪還に向けアタックモードを使用。2.5秒あった差をみるみる縮め、バードに肉薄。チームからも「ラストチャンス」と無線から檄が飛ぶ。しかし、アタックモードを使い切っていたバードのペースは良く、トップを譲らない。

 45分が経過し、ファイナルラップへ。バードはバッテリー容量が5%を切り、省エネ走行を強いられるも逃げ切り、今シーズン初優勝。ウィニングラップではドーナツスピンで観客の声援に応えた。

 レース後バードのマシンは重量規定に対する審議が掛けられるもお咎めなし。昨年のローマE-Prix以来の勝利となり、前戦マラケシュE-Prixに続いて2戦連続の表彰台に。

 バードは「チャレンジングなレースだった。サンティアゴのような極度の気温のなかで、バッテリーやタイヤがレースでどうなるか誰もわからなかった。未知のレースで、僕たちが得た結果は素晴らしいものだよ。勝利をもたらしてくれたエンビジョン・ヴァージンレーシングの皆に感謝したい」と語った。

 2位には、フォーミュラEデビューから2戦目で初の表彰台となったウェーレイン。3位にはシムズが入るも序盤のモルタラとの接触がペナルティ対象となり、ドライブスルーペナルティ相当のタイムが加算され7位に。アプトが繰り上げで3位表彰台を獲得した。

 なおニッサン勢はオリバー・ローランド(ニッサン・e.ダムス)が33周目、壁に接触しマシンを止めており、ブエミとともに痛恨のリタイアとなった。

 バトルとリタイアが続出するレースとなったサンティアゴE-Prix。引き続き白熱した展開が予想されるフォーミュラE第4戦は3週間後の2月16日、メキシコシティで開催される。