2019年のWRC世界ラリー選手権に3台のトヨタ・ヤリスWRCを投じているTOYOTA GAZOO Racing WRT。シーズン第1戦モンテカルロの競技2日目はオット・タナクとクリス・ミークにパンクやホイール破損のアクシデントがあり、ヤリ-マティ・ラトバラの総合4番手が陣営最上位となった。
ラリー・モンテカルロの競技2日目はサービスパークの置かれるフランス・ギャップの南西エリアを舞台にSS3~8の6SSが行われる構成。ステージ合計の走行距離が今大会もっとも長い1日だ。
競技初日を総合首位で終えたタナクは、雪や凍結路面の多いSS3でリードを広げるためのタイヤ戦略を採ったものの、同ステージは観客の安全性を確保できないとして急きょキャンセル。タナクの作戦は不発に終わってしまう。
この影響もあり、SS4ではトップから7.2秒、SS5では14秒ものタイム差をつけられて総合3番手まで後退。続くSS6でもギャップを広げられ、トップと28.2秒差で臨んだSS7ではステージ途中でパンクに見舞われた。
「どうしてパンクしたのかわからない」というタナクはタイヤ交換を余儀なくされ、トップから2分30秒以上遅れた総合7番手まで後退して走行を終えている。
前日、パンクがあり総合9番手から追い上げる形となったミークはSS6を終えた時点で総合6番手までポジションを上げたものの、SS7でこの週末3回目のホイールリム破損があり、タナクに続く総合8番手となった。
走行を終えたミークは「これで週末3回目のリム破損だ。対策? もっと強度の高いものを準備するしかない」と述べている。
「フラストレーションがたまったし、ステージ出走順も味方してはくれなかった。SS8ではホイールリムを壊した影響で左フロントのダンパーも機能しなかった」
「ただマシンの状態が万全であれば、充分な速さがある。今日もその片鱗を見せられたと思うよ。マシンは素晴らしいし、チームの雰囲気もいいから、今後が楽しみだ」
残るラトバラはSS4で履いたタイヤがオーバーヒートしてしまい、ステージトップと33.1秒差をつけられてしまったが、その後は大きなトラブルもなく着実に挽回。トヨタ陣営最上位となる総合4番手で走行を終えている。
ラトバラと首位のセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)との差は1分25秒1、総合3番手のアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)とは7.4秒差だ。
チーム代表のトミ・マキネンは「ラリー・モンテカルロではつねに予想外のことが起こるが、残念ながら我々もオット(タナク)とクリス(ミーク)のパンクなど、ハプニングに見舞われた」とコメントしている。
「今年のステージのように路肩部分が凍っている時は多くのクルマがコーナーのイン側により深く切り込んで走ることができるが、路肩と道の段差が鋭く尖っていると、パンクの危険性が高まるんだ」
「オットは表彰台を狙える位置につけていたし、クリスもチーム加入後最初のラリーで非常に良いスタートを切った。去年オットがそうだったように、クリスもこれからクルマに対する理解を深めていけば、さらに速くなるだろう」
「ヤリ-マティはとても良い戦いを続けているから、明日が楽しみだ」
表彰台争いに留まっているラトバラは「全体的にとてもポジティブな1日だった。今朝はとても良い戦略を準備していたが、最初のステージがキャンセルされ非常に大きな影響を受けた。明日は3位争いに加わり、最終日に表彰台に立てるように頑張りたい」としている。
ラリー・モンテカルロの競技3日目となる26日(土)はギャップ北側の山岳エリアで4SSが行われる構成。走行を終えた後は最終日に備えてモナコへ移動する長距離のリエゾン(移動区間)が控えている。
全4SSの合計距離は93.38km、リエゾンも含めた1日の総走行距離は557.52kmだ。