元F1ドライバーのニコ・ロズベルグは、もし自動車産業の将来が電動化なのだとしたら、F1も電気自動車へ切り替える以外に選択肢はなくなるはずだと語った。
自動車産業が今後も繁栄を続けていくなかで、自動車そのものはかなり異なる道をたどることになるだろう。まだ始まったばかりの電動化だが、その流れには勢いがついてきたようだ。熱狂的な自動車愛好家や内燃エンジンの爆音を愛するレースファンの間ですら、今では電動化へと意識が向きつつある。
今週スイスのダボスで行われた世界経済フォーラムにおいて、ロズベルグは、現在の電動化のトレンドがこのまま続くならば、F1も同じようにEV化する他に選択肢がなくなるだろうと話した。彼はF1引退後から自動車テクノロジーや“環境に優しい”モビリティに強い関心を寄せており、フォーミュラEの出資者のひとりでもある。
「もし世界中で電気自動車や水素燃料の自動車が売られていたら、F1だけがガソリンエンジンで走り続けるわけにはいかないだろう。理屈に合わないからね」とロズベルグはイギリスのBBCに語った。
「どこかの時点で切り替えを迫られることになるはずだ」
「2年前にはほとんどの人が『EV化なんて絶対に嫌だ』と考えていた。だけど今では、最も熱狂的な自動車の愛好家ですら電化の話に耳を傾け始めているし、『EVはかっこいいものだ』というイメージも急速に広がってきたと思う」
■F1で学んだことを外の世界で役立てたいと考えるニコ・ロズベルグ
ロズベルグはEV開発というテクノロジー領域への新たな挑戦において、何か新しいアイデアを具現化させるときに、議論が多すぎる一方で行動が十分に伴わないと感じられることが多いと語る。そして彼は、自分がF1の世界で得たものを、新しい環境にも取り入れたいと考えている。
「F1ドライバーだった頃、僕は自分がやっていることだけに完全に集中していた。そしてすべてが終わって完全に自由になって初めて、僕は『外の世界には何があるんだろう?』と思って世界を見渡したんだ」
「そのときに感じたことが、自分を今いる場所まで引っ張ってきた」
「今はこの多少のんびりした世界に、素早いアプローチを取り入れたい。それが僕の持つ強みだと信じている。F1はすべてにおいてとてつもなく速かった。スピードも何もかもだ。意志決定ですらね」
「今はとにかく議論が多い。それなのに行動がなかなか伴わない。僕がF1で学んだこと、つまり素早さが重要だという考え方を持ち込めると思う。その方が絶対に有益だ」