メルセデスAMGペトロナス・モータースポーツからF1に参戦するバルテリ・ボッタスが、1月24~26日に行われるアークティック・ラップランド・ラリー参戦に向けたテストを行い、自身初のラリー参戦に向けてフォード・フィエスタWRCでの雪上ドライブを行った。
ラリー大国フィンランド出身の現役F1ドライバーであるボッタスは、フィンランド・ラリー選手権の開幕戦であるラップランド・ラリーに2018年のWRC世界ラリー選手権でセバスチャン・オジエをシリーズチャンピオンに押し上げた最新WRカーのフィエスタWRCで参戦する。
そのボッタスは、事前練習を兼ねて日曜から月曜にかけ故郷フィンランドのロバニエミ近郊でグループN仕様のミツビシ・ランサーエボリューションXをドライブ。自身初となるスノードライビングのレクチャーを受けた。
翌の火曜から水曜にはマシンをWRカーへスイッチ。2000年、2002年にマーカス・グロンホルムとともに世界王者に輝いている名コドライバー、ティモ・ラウティアイネンとのコンビネーションを確認するためにも、WRカーでのテスト走行を行った。
北極圏で開催される“世界一美しいラリー”とも称されるラップランド・ラリーは、かつて同郷の先輩たちがラリードライビングを満喫した由緒正しきイベントでもあり、ケケ・ロズベルグ、ミカ・ハッキネン、そしてキミ・ライコネンなど、そうそうたるF1ワールドチャンピオンたちに続き、ボッタス自身も長年参加を夢見てきたイベントだという。
「今から2年ほど前に、僕の心にラリーへの挑戦という新たなアイデアが浮かび上がってきた。ラリーカーをドライブするのは素晴らしい経験になると思ったんだ」と、母国のニュースチャンネルYLEに語ったボッタス。
「そして昨年、僕は『来季、必ずラリーに参戦する』と決意したんだ。その頃から僕を支えてくれるチーム作りをスタートさせた。このプロジェクトを支援し、サポートしてくれたすべての人に改めてお礼を言いたい。みんなにとって楽しいプロジェクトになればいいし、その上で良いリザルトが手にできたらもっといいね」
F1で3勝を挙げているボッタスだが、やはり世界最高峰のフォーミュラカーに乗るドライバーでも、雪上のラリーカーを自在に操るには異なる経験とテクニックが必要で、テスト中にはしばしば困った状況に陥ったと笑顔で振り返った。
「それもラリーの醍醐味なんだけどね」とボッタス。
「僕たちは数回、スノーバンクに突っ込んで雪まみれになったけど、幸いなことにそれほど深刻なダメージは負わずにすんだ。いくつかの場所でミステイクを犯して何度かシャベルの出番もあったよ。でもひさびさに“雪遊び”をしたような感覚で、立木にヒットしたりシリアスなことな何も起こらなかったよ」
「僕たちがラリーをスタートするとき、賢明なドライビングを心がけるべきだと悟った。ライバルたちはこのアークティック・ラップランド・ラリーに精通しているドライバーばかりで、彼らにとってはほとんど庭を走り回るようなものだ。でも僕にとってはすべてのコーナーが新しいんだ」
「もちろん、路面の状況や路面グリップも絶えず変化する。だからこそ、僕は落ち着いて自身が快適だと思うスピードで走らなくちゃならない。いけそうだと感じればスピードを上げるし全力を尽くすつもりだけど、僕の経験とキャリアを考慮する必要はあるね」
フィンランドの国内選手権カレンダーのなかでもっとも過酷なイベントとなるアークティック・ラップランド・ラリーは、金曜午後に5ステージ、土曜に5ステージの全10SSを設定。両日ともに最終SSには40km越えのロングステージも設定されており、金曜午後はナイトステージという難度の高いSSとなっている。