2018年限りでWEC世界耐久選手権への参戦を休止している澤圭太が19年シーズンの活動計画を発表した。自身のキャリアを育てたアジアに主戦場を戻す。
澤はカート、JAF F4、スーパーGT300クラスなどの国内レースを経てアジアに進出後、非メーカー系ドライバーとしてGTアジアやAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズといったグローバルシリーズで活躍してきた国際派ドライバーだ。
自らを雑草ドライバーと称す澤はその後、16年にウェン-サン・モクのドライビングコーチとして、氏が率いるクリアウォーター・レーシングとともにル・マン24時間に初出場。17年からは同チームでWECのLM-GTEアマクラスにフル参戦してタイトル争いを繰り広げた。
18年から19年にわたって行われるWEC“スーパーシーズン”も引き続きクリアウォーターからシリーズに挑むが、第5戦上海もってウェンが引退するのに伴い澤もチームを離れることに。これにより19年6月のル・マンまでという当初のレース活動計画が白紙となってしまった。
そんな澤は1月24日、19年シーズンからブランパンGTワールドチャレンジ・アジア(旧ブランパンGTシリーズ・アジア)と改称したGT3カテゴリーに、今季デビューのマクラーレン720 GT3で参戦すると発表した。
なお、今回の活動の詳細情報は後日発表とのことながら、澤はドライバーとしての立場に留まらず、チームを管轄する側にも回るという。
国内で主宰するアマチュア向けドライビングレッスン『ワンスマ』を通じて知り合った、熱烈なマクラーレンファンの支援者が車両オーナーとなるチームには、「日本人ドライバーを起用してアジアで新型720S GT3の性能を実証したい」というマクラーレン・カスタマーレーシングのサポートも入る予定だ。
「今までの“いちドライバー”としての活動から枠組みを広げて、チームを管轄する立場として携わることは、今年の自分のテーマとして掲げる『繋げる活動:繋活』のひとつの形でもあります」と語った澤。
「16年からのル・マン24時間やWEC参戦などの世界レベルの挑戦を経て、オンリーワンの独自路線をレースで確立できたこと。そして国内のレッスン事業『ワンスマ』との連携や両立を確立する為に必死でやってきた、この10年の活動を次につなげていく時期だと考えてきました」
■澤圭太「マクラーレンGT3での“新たな挑戦”に不安と期待」
「国内での活動中心だった第1期のキャリア、アジアでのレース参戦が始まった06年からの第2期、そして世界選手権での戦いにシフトした第3期と、幸運にも沢山の方々に支援を頂きレース活動を長く続けてこられました」
「WECでの戦いを18年一杯で終了した今、自分を育ててくれたアジアに改めて主戦場を戻し、メーカーの色がなくさまざまなGTカーを走らせてきた私の経験を活かして、新型マクラーレンGT3カーとともに“新たな挑戦”を迎えられることに不安と期待が募っています」
「そして、この新しく始まる流れから『いずれまたル・マンに戻りたい!』という気持ちも当然ながら交錯しています」
現在、4月6~7日にマレーシアのセパンサーキットで行われるブランパンGTワールドチャレンジ・アジア開幕戦に向けて急ピッチで調整および、チームづくりを進めているという澤。気になるチームメイトやチーム体制、マシンカラーリングの発表などが待たれるところだ。