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5年前であれば完成しなかった 『アクアマン』全編3分の2の海中シーンを支えた技術

2019年01月24日 13:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2月8日公開の映画『アクアマン』について、海底シーンを実現させた最新技術の存在が明らかになった。


 昨年12月21日に全米公開された本作は、同週公開の他作品を大きく引き離し、全米週末興行収入でNo.1を獲得。全米公開に先駆けて公開された42カ国でも軒並みNo.1を獲得し、中国では、これまで中国で公開されたワーナー・ブラザース映画史上最大となるオープニング記録を更新。公開わずか5週で、世界興行収入10億ドルを突破した。


参考: 『アクアマン』日本版本予告


 アクアマンは、人間として育てられた、海底帝国アトランティスの血を引く男。時速160キロで泳ぐことができ、人間の150倍もの力があり、あらゆる海洋生物を操ることができる規格外のヒーローだ。カーアクションシリーズの最大ヒットを記録した『ワイルド・スピード SKY MISSION』を手掛けたジェームズ・ワン監督が、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のスタントチームとタッグを組み、海の中で縦横無尽に展開する海中バトル・エンターテイメントを表現した。


 主役アクアマンを演じたのは、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演し、一躍人気となったジェイソン・モモア。ジェイソンは「僕たちは海底の世界をリアルに表現する為に、限界に挑戦したんだ。それは5年前だったら実現できなかったこと。本作の映像の美しさとリアルさは信じられない。驚異的だよ」と、本作の映像美を絶賛すると共に、5年前であれば本作は完成しなかったことを語る。


 ジェイソンが驚くほどのビジュアルショックを実現できた裏には、「バーチャル・プロダクション」と呼ばれる最新技術の存在があった。同技術は、カメラで俳優たちを捉えながら、リアルタイムでカット全体の構成を決めることが可能で、本作では、海中のバトルシーンなどに採用された。役者たちは深海のクリーチャーに見立てた装置の上に乗る。するとカメラを通してその画を見ると、俳優が海の中でそのクリーチャーに乗っているバーチャル映像になっているのだ。監督のジェームズ・ワンは、そのバーチャル映像を見ながら、俳優に演出をつけ、カメラワークを調整し、後の視覚効果と合成したらどうなるのかを確認していたという。


 本作で海底帝国アトランティスの参謀であり、アクアマンの師でもあるヴァルコを演じた名優ウィリアム・デフォーは、「現場では青い大きな立方体に乗って演じたんだ。そしてそれがなんとカメラを通すとサメに変わるんだよ! あの撮影はとても楽しかったね!」と「バーチャル・プロダクション」を使用した撮影を楽しんだと振り返る。


 「バーチャル・プロダクション」という最新の撮影技術を導入しなければならかった理由は、全編の3分の2が海中シーンという『アクアマン』の設定にある。制作スタッフは、“水”をできるだけ使用せずに撮影する方法を模索した。ジェームズは「水を使うと大変なんだ。1日のかなりの時間を使うことになるし、ショットを撮るのに凄く長い時間がかかるからね。それは悪夢と言ってもいいほど。でも、ジェームズ・キャメロンのようにそういう撮影を楽しむ監督もいるけどね(笑)」と明かし、水中撮影の難しさを語った。


(リアルサウンド編集部)