2019年から、ドイツツーリングカー選手権(DTM)の一部でサポートレースとして開催される女性だけのフォーミュラカーレース『Wシリーズ』。その参戦権を賭けた最後の戦いが、1月24日からオーストリアでスタートしようとしている。
2018年に行われた一次審査で世界30カ国100人以上の応募者の中から55名の一人に選ばれたのが、小山美姫だ。1月23日に渡欧する小山を直撃した。
――お母さんの勧めでテアトルアカデミー(総合芸能学院)に通い、子役として4歳のときにドラマで菅野美穂さんと共演したそうですが、どうしてレースの世界に?
小山美姫(以下、小山):元々、父がバイクが好きで、その影響で私も4歳のときからポケバイに乗って楽しんでいたんですけど、母親の希望で子役の仕事を始めることになりました。
ところが、5歳のときに家に置いてあったジャパンカート(カート専門誌)を見て、カートに乗ってみたいと思い、モータースポーツを始めました。私はカートを真剣にやりたいと考え、子役の仕事が楽しくなかったこともあってやめたいと母に言って、カート一本に絞りました。
――その後、しばらくしてレース活動を一旦、お休みしましたね。
小山:毎日、雨の日も雪の日も、幼稚園を休んでスリックタイヤでカートを走らせて、何回かチャンピオンになったんですが、14歳のときに海外に挑戦した後にやめました。
理由は資金がなかったからです。それまでもずっとお金には苦労していたのですが、海外に行くときにはもう限界で『もし、海外へ行って勝てなかったら、もうやめよう』と決意して挑戦したんですが、勝てなかったので、一旦やめることにしたんです。
――でも、再びレースに復帰しましたね。
小山:小学校6年生のときに父から『どんな世界でもいいから、一番になれよ』と言われたときに、一番になるんだったらレースの世界でしかなりたくない……と思ったときに、F1を意識するようになりました。
だから、日本に帰ってきてから、1年間アルバイトして300万円貯めました。海外に語学留学するためです。カートで海外に挑戦したとき、私は全然英語ができずに苦労しましたからね。もう少し、英語ができていたらなと。それとF1を目指すんだったら、英語は絶対に必要になるし……。
――その英語力がいま生きようとしています。
小山:Wシリーズのテスト内容は詳しくは教えられませんが、大まかに言うとクルマに乗って運転技術を見るトライアルテストとコミュニケーション能力を見るためのインタビューやスピーチのテストがあります。
7カ月の海外留学でまったく英語ができないレベルからTOEICで500点以上まで英会話能力を上げましたが、Wシリーズのテストはその比ではないので、いまは1日11時間ぐらい試験のための準備をしています。
――18人に選ばれる自信はありますか。
小山:現実的にはかなり厳しいと思っています。というのも、当初は55人の中から18人が選ばれることになっていましたが、いまは最終選考に参加する人がさらに増えて60以上になっています。
その分、合格する人も25人に増えましたが……。もちろん、期待してくれている人たちのためにも、なんとか試験を通過したいと思っていますが、簡単ではないことは覚悟しています。
――それでは、Wシリーズに参戦できなかったら?
小山:Wシリーズに参戦できなかったら、日本でFIA-F4に参戦する予定です。日程的にWシリーズに参戦しても出られるので、どちらに転んでもFIA-F4には出ようと思っています。
――最終選考に合格して、晴れてWシリーズに参戦する資格を得たら?
小山:Wシリーズへ参戦する権利をいただけたら、もちろん目標は初代チャンピオンです!!