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「消滅都市」花澤香菜&杉田智和、収録秘話やアニメ版の見どころを語る【インタビュー】

2019年01月22日 22:53  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

花澤香菜さん、杉田智和さん
2019年4月よりオンエアとなるアニメ『消滅都市』。原作は、全世界950万DLを突破するWFS制作の同名アプリゲームだ。
ある日、ひとつの都市が消滅してしまった現代日本を舞台に、一匹狼の運び屋・タクヤと消滅から唯一生還したと言われる少女・ユキが、旅の中で絆を深めつつ「消滅都市」の謎へと迫るストーリーが展開される。

アニメ!アニメ!では、オンエアまでの特別企画として、主要キャストが作品の魅力や見どころを語る連載インタビューをお届け。
栄えある第1弾は、ユキ役の花澤香菜さんと、タクヤ役の杉田智和さんの主役コンビだ。ゲーム版から長らく演じているふたりだからこそ語れる、ユキとタクヤというキャラクターや世界観の捉え方とは――。
[取材・構成=馬波レイ]

消滅都市

2019年4月よりTOKYO MXほかにて放送開始予定

■ふたりが感じる「消滅都市」の魅力とは?
――アニメ!アニメ!が2016年に実施した“アニメ化してほしいゲーム”アンケートのアプリ部門において『消滅都市』は1位に選ばれており、今回のアニメ化はファン待望かと思います。ここまで人気を集めるほどの魅力は何だと思いますか?


花澤
すごい、1位なんですね!
TVCMがたくさん流れていて、そのときからすごくたくさんの人が知ってくれていると思いますが、まずは音楽がとてもカッコいいですよね。
それにスマホゲームだから誰でも入りやすいし、いろんな魅力的なキャラクターが出てくるので、一度プレイしてしまうとハマっちゃうんだと思います。

杉田
BGMはゲームの世界観を語るうえで欠かせない要素です。ゲームのサントラが好きなのですが、『消滅都市』はすごく仕上がっていますね。楽曲を手がけるノイジークロークさんが良い仕事をしてくださっています。

――あらためてゲーム版のボイス収録当時を振り返っていかがですか?

花澤
最初に原稿をいただいたときにはワード数がすごく少なくて「これはもう現場に行って聞いてみよう」と思ったら、少ないワード数に対してもかなりこだわりの強いスタッフの方々で、世界観など細かな部分まで説明してもらえたのを覚えています。
「すごく気合いが入っているんだな」というのが伝わってきました。あと、杉田さんが相棒役ということが、本当にめちゃくちゃ嬉しかったです。

杉田
最初のバージョンはフルボイスではなく、一部のボイスだけだったんです。
僕自身、ゲームが好きでよくプレイするのですが、タイトルに“都市”が入っているから「『シティコネクション』(※)みたいなゲームがスマホで遊べるのは嬉しいな」と思っていたら全然違いました。ゲーム内容はわかりやすくていいですね

※『シティコネクション』:1983年にジャレコがリリースした面クリア型のアクションゲーム。真っ赤なクラリスカーを操り、邪魔する敵をかいくぐりながら床すべて塗りつぶしていく。

花澤
後にメインストーリーがフルボイス化されたときは、逆にものすごいたくさんのセリフがあって。それこそ合宿のように、たくさん話し合いながら収録をしたのを覚えています。

――突如として消滅した都市が舞台ですが、作品の世界観はいかがでしたか?

杉田
消滅・破壊しつくされた世界、つまり危機的状況では、人の本質が出てきやすいのかなって。だからといってみんなが不幸になれば、それによって強くなれるかといったらそれも違う。

生まれたたときからそんな状況だから適合しただけであって、わざわざ不幸も辛さも買わなくていい。だって世界が消滅せざるを得ないから。ただ、そこに暮らす人たちの言葉が真実味を帯びているのはなぜなのか……そういったことをいろいろと考えさせられるような世界観でした。

花澤
「タマシイ」といったファンタジックな設定も出てきますが、災害であったり私たちの日常の出来事に置き換えられるところもあると思うんです。
そういった意味では、ファンタジーではあるんですけど、彼女たちの立場に共感できる部分がすごくありました。
→次のページ:タクヤはドM? ふたりが捉えるキャラクター像

■タクヤはドM? ふたりが捉えるキャラクター像
――演じるにあたって、この世界観やこのキャラクターならではの意識したポイントは?

花澤
ユキは、彼女が何かアクションを起こしてしまうと、世界すらも変えてしまうかもしれないポジションにいる。そんな彼女ならではの心の動きを大事にしながら演じさせていただきました。

スタッフのみなさんとも、ユキちゃんの弱さも強さも、ロストに向かうまでの人間の本質みたいなモノが出てくる部分をみんなで共有しながら演じました。ユキに憑依したような感覚でしたね。
それぐらい現場の一体感があったので「終わったらちょっと乾杯しません?」みたいなノリでしたよね。

杉田
でも、この人(『消滅都市』シリーズディレクターの下田翔大さん。インタビューに同席していた)、自分が執筆した「1度目の消滅」と「失われし世界」までの収録が終わったら帰っちゃいましたからね。
なのでタクヤが憤っているときの声が、本気で怒っている。

花澤
そうだったんですか(笑)。

――(笑)。

杉田
それはさておき、本気だからこそ引き出されるタクヤのニュアンスもありますし、花澤さんの声を聴いて「そうくるか」と思わされ、引き出された部分はあります。

――謎が多いストーリーなうえ、キャラクターが本音を口にしないこともあり、芝居がすごく難しそうです。

花澤
そうですね。セリフでの説明が本当になくて、思っていることとは別のことを言ってばかり……特にタクヤとユキのやり取りは、一向に心の距離が縮まらないんです。

ゲームでは喧嘩できるほど仲が良い感じになっていきますが、アニメでは(もう一度出会いから描かれるので)それすらお預け状態だったのが辛かったですね。油断すると仲良くしたくなっちゃうんですよね。


杉田
タクヤは元カノのユミコ(リサーチャー)に“バブみ”を感じてすぐ甘えはじめますしね。
リサーチャーとなんで別れたのかを中恵(光城)さんと話したことがあるんですけど、僕の結論は「ふたりともドMだから、互いに譲り合ってうまくいかない」。

一方、ユキはドSですね。当初はタクヤが“本能”でユキが“理性”なのかと思ったら、実はどっちも“本能”に忠実だった。
なのでタクヤは、そのMっ気をいかに出さないように演じるか考えましたね。

――(笑)。

花澤
タクヤは、セリフの字面だけを見るとすごく冷たい男なんですけど、杉田さんの声が入ると、「本当はいい人なんだろうな」って優しさがにじみ出るんですよね。
なのでユキも安心してしゃべれるのかなって。そう思わせるのがスゴイですよね。

杉田
実は主人公らしいのってアキラなんですよ。かっこいい容姿、かっこいい声、見守りスタンスと、主人公要素が揃っているので「うわっ、敵わねぇ!」って思っています。

花澤
たしかに守ってくれる感じありますよね(笑)。

杉田
そういったキャラクターの性質が映像ではにじみ出てくると思うので、ゲームでは描かれない日常会話のシーンは必見ですよ。
→次のページ:「原作ファンには改めて“タクヤとユキ”の関係性に注目してほしい」

■「原作ファンには改めて“タクヤとユキ”の関係性に注目してほしい」
――アニメ版ならではのシーンというと、タマシイのバトル表現があります。先んじてアニメ映像を少し拝見させていただきましたが、タマシイがダメージを受けると自身までも苦しむ姿が印象的でした。

花澤
ゲームだと中心部に近づくにつれて、気力がすり減ってフラフラになるような状態を演じていたんですけど、タマシイの戦いでダメージを受けたあとも日常に戻る。
なので、どれくらいのダメージ感で演じたらいいのかは迷いましたね。やられた瞬間はすごく痛いんだけど、血が出ているわけではないので引きずり過ぎないように。

杉田
ユキは実験体に選ばれてしまっただけで、肉体的には普通の女の子だもんね。
タクヤも運命力が高いだけで普通の人だから、カッコよく吹っ飛ぶ必要がない。無様なくらいに「うわぁ」と吹っ飛ばされて、どこから地面に落ちたのかを映像と台本から読み取っています。
見ている方も「どこにダメージを負ったのだろう」と気にしてもらえるんじゃないかな。


――タマシイの戦う様子をご覧になってどう思いました?

杉田
ゲームではどう戦っているのかの説明がないですからね。

花澤
私はアニメ化発表のときに絵コンテを先に見せてもらったんですけど、「あっ、タマシイ同士はこうやって戦うんだ」と知って面白かったです。

――映像として見ると、戦いの過酷さがより伝わってきそうですね。

杉田
「常に命の危険性がつきまとう」というキャラクターそのものが消滅の危機にある。
全員が絶対の安全圏にいない、偽っている余裕がないからこそ、演者としても本当の言葉が出てくるのかなと。どれだけシンプルな言葉で気持ちを伝えるか、そのあたりは意識しました。

――最後に、オンエアを楽しみにしている方に向けて、アニメならではの注目ポイントをお願いします。

杉田
原作のファンの方にとっては、すでに好きな作品をまた違った形で楽しめるのは、すごく幸せなことだと思います。だからこそ、自分たちだけでその楽しさを抱え込むのでなく、アニメから入ってくるまっさらな状態の人たちを導いてあげてほしい。
いかに美味しい料理だといっても、独り占めするよりみんなで食べたほうが絶対に美味しいですからね。

花澤
そうですね。『消滅都市』は「だけど、生きていく」というキャッチコピーから始まりました。私が演じるユキちゃんにも、いろんな大変なことが降り掛かってきますが、迷いながらもたくましく自分で決めて生きていきます。そんな様子を応援していただければと思います。

すでにゲームを遊んでくださっている方たちは、タクヤとユキの関係性に注目してもらいたいですね。
ゲームでは、ふたりの関係性がすごく進んでいってますけど、原点に返って「そういえば最初はこんな感じだったな」というのを思い出していただいて、もどかしさを感じながら楽しんでいただければと思います。

それと個人的には、この作品の中で挑戦させていただいたことがいっぱいあるので、それを皆さんに聴いてもらえることが楽しみです!

――ありがとうございました!


『消滅都市』
【TV Animation Staff】
原作:消滅都市(WFS)
監督:宮 繁之
シリーズ構成:入江信吾
キャラクターデザイン:下谷智之
音響監督:本山 哲
音楽:川井憲次
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:マッドハウス

【Cast】
ユキ:花澤香菜
タクヤ:杉田智和
アキラ:中村悠一
ソウマ :朝井彩加
エイジ:新垣樽助
キキョウ:愛美
ギーク:西村太佑
ユミコ:中恵光城
コウタ:高橋 信
ホムラ:社本 悠
ナミ:岩井映美里
ハルカ:直田姫奈
レナ:大西亜玖璃
ユア:園山ひかり
(C) Wright Flyer Studios/消滅都市製作委員会