第41回ダカールラリーの二輪部門に参戦したホンダのファクトリーチーム、Monster Energy Honda Team(モンスター・エナジー・ホンダ・チーム)。5台のホンダCRF450ラリーを投入し、30年ぶりの優勝を目指したが、完走2台、総合では7位が最上位という結果に終わった。
ホンダは、1981年からダカールラリーの二輪部門に参戦を開始し、1989年で活動を休止。2013年の第35回大会からダカールラリー参戦を再開し、ファクトリーマシンのCRF450ラリーでライバルのKTMと優勝争いを繰り広げている。しかし、2018年までの5年間、ホンダは二輪部門優勝に届かずにいた。
2019年の第41回大会では、30年ぶりの優勝に向けチームの運営面を強化。ライダーはエースのホアン・バレダを中心に、パウロ・ゴンサルヴェス、ケビン・ベナバイズ、リッキー・ブラベック、ホセ・イグナシオ・コルネホを起用し、盤石の体制で挑んだ。
■総合首位に立つも不運に見舞われたバレダとブラベック
エースライダーのバレダは、競技初日のステージ1を首位発進。競技2日目のステージ2は3位で終え、総合トップをキープしていた。しかし、競技3日目のステージ3。バレダは、霧に視界を奪われて岩場の渓谷に滑り落ち脱出不能に。マシン、ライダーに大事はなかったが、チームはバレダのリタイアを決断した。
バレダに代わってホンダ勢を引っ張ったのがブラベックだ。ブラベックは、競技4日目のマラソンステージ前半を総合トップ、競技5日目のマラソンステージ後半を12位で終え、前半戦は総合首位をキープした。
なお、マラソンステージ後半では、ゴンサルヴェスが155km付近で転倒して負傷。ゴンサルヴェスはリタイアとなり、チームはブラベック、ベナバイズ、コルネホの3台体制で後半戦へ挑むことになった。
後半戦もブラベックがトップ争いを繰り広げ、ステージ7まで総合首位を守った。しかし、競技9日目のステージ8でマシントラブルが発生。このトラブルにより、ブラベックはラリーを継続することができなくなり、リタイアとなった。トラブルの詳細については、調査中とのことだが、エンジン周りのトラブルだったようだ。
ブラベックのリタイアにより、ホンダ勢はコルネホ、ベナバイズの2台で残り2日のステージに挑むこととなった。ステージ8終了時点では総合8番手のコルネホがホンダ勢のトップにつける。
コルネホは、競技10日目のステージ9を6位、競技最終日のステージは2位でフィニッシュし、最終的に総合7位でトップ10入り。ベナバイズはステージ9を14位、最終ステージを6位で終え総合12位で終えた。
■ホンダチームマネージャー「我々は白旗を上げることはしない」
ホンダのチームマネージャーを務めるラウル・カステルは「私たちはチームとして全力を尽くした」と2019年のダカールラリーを総括する。
「働きに見合う結果は手にできなかった。チームは一生懸命働き、順調に戦っていた。HRCとホンダ、そしてすべてのスポンサーに感謝しなければならない」
「我々は白旗を上がることはしない。来年、勝利するために戻ってくる」
ステージ2まで総合首位に立つも渓谷に滑落したバレダはその時の状況を次のように振り返っている。
「先頭を走り、ほかのライダーを引き連れて道を切り開いていたが、山にさしかかったときに、濃い霧に視界をさえぎられた」
「ルートブックとGPSの指示に従って進んだが、あまりに視界が悪く、誤って崖から滑り落ちてしまった」
「彼ら(後方にいたライダー)も僕を見て止まった。彼らは引き返すことができたが、僕はふたたび崖を登ることができなかった。だから、さらに下って別のルートから脱出を試みたが、あの渓谷から自力で脱出することは不可能だったよ」