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新型NSX GT3の武器は懐の深さ。開発方針は「幅広いドライビングスタイルに柔軟に対応できること」

2019年01月22日 15:31  AUTOSPORT web

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2018年10月に発表されたホンダ/アキュラNSX GT3エボ
2016年のテスト参戦を経て17年にデビューしたホンダ/アキュラNSX GT3に19年、改良バージョンのNSX GT3エボが登場。同モデルはまもなく開幕するIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第1戦デイトナ24時間レースで、実戦デビューを迎える。

 日本のスーパーGT300クラスにも18年シーズンから複数台が参戦し、19年にはその数を増やすことになるNSX GT3。その改良型となるエボモデルについて、ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)のスティーブ・エリクセン副社長兼COOは、パッケージそのものを良さを強調し「今週末のデイトナ24時間でエボバージョンがそれを示し続けるだろう」と語った。

 ホンダ/アキュラブランド初のFIA GT3カーであるNSX GT3は、18年10月にエアロパッケージやメカニカル面に改良を受けたエボモデルが発表された。そのデビュー戦は1月24~27日にアメリカ、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われるデイトナ24時間となり、17年からNSX GT3の2台体制でGTデイトナ(GTD)クラスを戦っているマイヤー・シャンク・レーシング(MSR)がオペレーションを担う予定だ。

 デイトナ24時間を間近を控えるなかエリクセン氏は新型モデルの開発について、次のように語った。

「グローバル展開しているNSX GT3プログラムの最初の2年間に集められたデータが、よりアグレッシブな空力とメカニカル面のアップデート開発に貢献している」

「この間に多くのドライバーがNSXをドライブしたことで、開発テストに携わったドライバー以外のフィルタリングされていない多くの声を受け取ることができた。この点は素晴らしかったと思う」

「GT3は(性能調整=BoPによって)ある程度のパフォーマンスウインドウ内に収められるが、我々はそのなかで2年間のデータとフィードバックから学び、幅広いドライビングスタイルに柔軟に適応できるクルマにすることをターゲットにしたんだ」

「その結果、従来モデルと19年型では大きな違いを生み出すに至っている。さまざまな環境条件やドライバーのスタイルに直面しても、エボモデルは柔軟に対応できるんだ」

 また、エリクセン氏はアキュラが“とても控えめ”な目標価格をNSX GT3エボで達成したことを明らかにした上で、GT3カテゴリー全体のコスト削減は依然として課題であると示唆した。

「IMSAでも車両コストを削減したいという考えがあると思うが、彼らは目標とするラインに対して段階的に物事を進めていく必要があると考えている。それは難しい挑戦ではあるが、我々はその範囲内に居続けるはずだ」

「NSX GT3エボの場合、サプライヤーと我々のパートナーであるチームの努力とサポートによって、コストカット目標を達成することができるんだ。(その一部の例として)エボモデルでは主要コンポーネントの耐久性を従来よりも伸ばている」

「その他、あらゆる箇所でランニングコストの削減につながる努力を続けていく必要があるんだ」

■イタリアのJASモータースポーツではNSX GT3エボの追加生産が行われている

 NSX GT3エボは19年シーズンからスーパーGT300クラスなど、これまで以上に活躍の場を広げるとみられている。

 この点についてエリクセン氏は「NSX GT3エボは北米とそれ以外の地域の両方のスプリントレースに登場する可能性がある」と語り、「複数のチームと議論を交わした」と続けいる。

「舞台裏ではたくさんのことが起こっているよ」とエリクセン氏。

「我々HPDは現在までに作られたクルマを引き渡すため、さまざまな関係者と最終交渉を進めてきた」

「マイヤー・シャンク・レーシングとキャタピラーチーム(女性ドライバーで構成されたMSRの57号車組)、彼らはまったく新しいクルマを導入している。そのおかげで我々は昨年までのクルマを、NSXを試したいという他のチームに提供することができた」

「今後数週間の間にポジティブな話題がいくつか発表されるだろう。現在イタリアのJASモータースポーツでは追加分を含めて、より多くの生産が行われているんだ」

「我々はその内の何台かを北米用に引き取るつもりだ。それ以外の生産分が、その他の地域に割り当てられることになる。私たちのプログラムを勢いを増している。それはとても刺激的なことだ」