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知ってほしい「性的同意」、家に泊まったら「セックスOK」なわけじゃない

2019年01月22日 09:42  弁護士ドットコム

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「キスをしたら、性行為をしてもいい」「家に泊まるのは性行為をしてもいいというサイン」「付き合っていれば性行為をするのは当たり前」。こう思ったことはありませんか。


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「互いの意思が確認出来ていない性行為は、性被害や性暴力につながる可能性がある」。そう話すのは、京都大OGの高島菜芭さん(22)と大阪大4年の伊藤紗来さん(22)。



性行為についてお互いの意思を確認する「性的同意(セクシュアル・コンセント)」についての冊子を作成した。





●海外で驚いた、日本との意識の違い

高島さんは2016年秋から約1年、イギリスに留学した。驚いたのは、性に関する話がオープンに行われていたことだった。



中高生に性教育を実施しているNGOでインターンをした時のこと。性的同意の概念について触れながら、「健康的な関係を構築するために、カップルであってもセックスする際には同意を取ろう」と教えていた。



また、普段の会話で、避妊についての話が出たり、話の途中で「それってレイプじゃない?」と突っ込みが入ったりすることも。「女性も流されてセックスするのではなく、自分がしたいからするという主体性があった」。



同時期、アメリカに約1年10カ月留学した伊藤さんも日本との意識の違いを感じた。大学入学時のオリエンテーションでは、日本ではなかったレイプや性的同意の概念、避妊についての説明を受け、Student Centerではコンドームを無料で配っていた。



「日本でも性暴力や性教育についての啓発をしたい」。高島さんがFacebookに書き込んだところ、投稿を見た伊藤さんら関西の大学生5人が集まった。京都市男女共同参画推進協会に企画書を持ち込み、協会と共同で「性的同意ハンドブック」を作成。約2万部発行した。



●「女性からセックスに誘うのはモテない」?

パンフレット作成前、5人は「大学生のリアルな声を反映させたい」と約60人の大学生に対面インタビューを行った。そこで明らかになったのは、性に関する多くの誤解や悩みだった。



ネット記事で「女性からセックスに誘うのはモテないから誘わない方がいい」とあるのを読んで、真に受けている女子学生。性行為中に彼女に「嫌」と言われても、「嫌じゃなくてもいっている場合がある」と一回言われただけではやめないという男子学生。



彼氏がコンドームをつけてくれず、毎回生理が来るか来ないか不安になり、過食など精神的な問題を引き起こしている女子学生もいた。



高島さんは「日本の性教育では、性行為のプロセスが教えられない。みんなメディアや他人の恋愛に影響を受けて育つ。そこでは『やった』という結果しか入って来ない。だから、こうした誤解が生じるのではないか」と話す。



●「雰囲気重視」の日本

性的同意の概念を広めていく壁も感じた。2018年10月に冊子を紹介する新聞記事が出ると、ネットで批判が集まったのだ。



「雰囲気壊れる」「少子化に繋がる」。冊子にあるチェックシートは「性行為前の同意書」のように誤解され、「雰囲気が壊れるじゃねーか!」と言われた。





「セックスしていい?と聞くのは日本の文化ではないと主張する人もいました。なぜか性的なことに関しては、言葉にしてコミュニケーションを取らない。女性の恥じらいや奥ゆかしさに価値をおいて、合意を取らない風潮があると思います」(高島さん)



終電を逃す。相手の家に行く。これはセックスOKのサインなのだろうか。2人は「男女ともに、言葉よりも雰囲気を重視する傾向がある。だから、性に関する隠語があふれている」と話す。



●「高校生にも広めていきたい」

2人は冊子に関わったメンバーと一緒に「Genesis」という団体を立ち上げた。現在、性的同意に関するワークショップを関西の大学などで開催している。



「どうやって同意を取ったらいいかわからない」。そんな声を受け、啓発動画も作成した。



クリスマス前に隣のひとと見たい。#キモチ高めあう同意 #ConsentIsSexy pic.twitter.com/if63cCX5D3

— Genesis@性的同意ハンドブック配布中 (@Genesis_for_All) 2018年12月23日



【性的同意動画その2〓】☑セックスの同意は一回確認したらそれでOK?☑パートナーに嫌われたくないから、セックスのお誘いは断りにくい?こんな疑問を持っている方、是非動画をご覧ください!#本音を伝えあう同意 #HonestyIsSexy #ConsentIsSexy pic.twitter.com/5IYIDKNhyF

— Genesis@性的同意ハンドブック配布中 (@Genesis_for_All) 2019年1月10日



ポイントは、二人が平等な関係で同意を取る必要があるということ。冊子でも具体的な誘い方や断り方について紹介している。



ワークショップをすると「同意を取る必要があるなんて知らなかった」、「こういうの、あかんかったんや」とびっくりされることが一番多い。でも、みんな「大事なんやな」と受け止めてくれるという。



今後について高島さんは「ワークショップや動画を通じて、大学生だけでなく高校生にも広めていきたい」と話している。



●ハンドブック

ハンドブックのPDFはこちらからダウンロードできる。



https://www.wings-kyoto.jp/association/publications/?fbclid=IwAR1PwSJXXM1eIN5vLMPjKgV1whCm8_HGvRkGlzfsKycSj4l5Nz_0JBc2uf0



(弁護士ドットコムニュース)