メキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われたレース・オブ・チャンピオンズ(ROC)の国別対抗戦は、チーム・ノルディック(トム・クリステンセン/ヨハン・クリストファーソン)がチーム・ドイツ(セバスチャン・ベッテル/ミック・シューマッハー)を下して優勝を飾った。
チーム・ドイツは準決勝でチーム・ブラジルと対戦し、ベッテルがルーカス・ディ・グラッシを、シューマッハーがエリオ・カストロネベスを倒して決勝進出を決めた。一方チーム・ノルディックは、元F1ドライバーのエステバン・グティエレスを含む地元のチーム・メキシコを下して決勝に進んだ。
決勝では、ベッテルがこのレース使用するラリークロスカー『KTM X-Bow』のホイールをバリアにかすめてしまい、クリステンセンが接戦をものにした。続くレースではシューマッハーがクリストファーソンに勝利し、チーム・ドイツの優勝の望みを繋いだ。
最終決戦はクリステンセンとシューマッハーのバトルとなったが、強さを見せたクリステンセンが勝利し、チーム・ノルディックの優勝となった。
レース後、クリステンセンは次のように話した。
「セバスチャンとの戦いを見ればわかるように、とてもタフな戦いだった。ミックはヨハンと素晴らしい戦いを繰り広げていたけど、それが決定打となった。彼は初めてレース・オブ・チャンピオンズに出たことを誇りに思うべきだ。僕はシューマッハーを倒せたことを、いつだって誇りに思っている」
「今日はチーム・ノルディックとして優勝できたことに非常に満足している。ヨハンのおかげで決勝に進むことができた。というのも彼は最初からとても強かったからね。良いスタートを切って、良い形で今日を終えた」
「メキシコの観客はとても情熱的で、僕たちはここに来るのが大好きだ。今回は僕にとって15回目のROCだけど、これはスティグ・ブロンクビスト(スウェーデン人のラリードライバー)の記録に並ぶ。スティグがこれをどこかで見ていること、そして僕はスウェーデン人ではないけれど、彼が僕を誇りに思ってくれることを願っているよ」
またクリステンセンとタッグを組んだクリストファーソンも、以下のように語った。
「レース・オブ・チャンピオンズはタフなイベントだ。グループステージから準決勝、そして決勝と、1日中動き続けるからね。優勝にたどり着くまでに、命運を左右するような勝利もあったけれど、トムがトロフィーを持ち帰ってきてくれた」
「メキシコに来たのはこれが初めてだけど、僕はここに来て、世界中のベストドライバーたちと戦うことができて嬉しい」
■ミック・シューマッハー、姉と参戦!「彼女が幸運をもたらしてくれた」
2019年のレース・オブ・チャンピオンズを準優勝で終えたシューマッハーは、歴史に残るようなドライバーと戦えたことに満足していると話した。
「素晴らしい経験になったし、それをセバスチャンとシェアすることができるなんて特別なことだ。彼は素晴らしい仕事をしたし、彼がいなければ僕たちは決勝に進むことができなかっただろう。ROCの国別対抗戦で良い走りができてよかった。優勝には届かなかったけれど、準優勝というのもそう悪くはない」
「様々な国籍の、異なるカテゴリーに出場するドライバーを大勢見ることができるのは、メキシコのファンにとって素晴らしいことだ。吸収できることがたくさんあったけれど、決勝戦を迎えるまでに歴史に残るようなドライバーと戦うことができて満足だ」
「(準決勝で)エリオ・カストロネベスと戦っている時に、僕の隣には姉のジーナが乗っていたんだ。僕はそのレースで勝てたし、彼女が幸運をもたらしてくれたんだろう。彼女と一緒に勝つことができて嬉しいよ」
かつてはミックの父であるミハエルと国別対抗戦に出場し、2007~2012年の間に6連覇を達成したベッテル。今回は準優勝となったが、彼は初めてミハエルとタッグを組んでROCに出場したことを思い出したという。
「ミックと僕は、今日成し遂げたことを誇りに思えるはずだ。トロフィーを持って帰ることができたらよかったけれど、(優勝するのは)簡単なことではない。僕たちはよくやったと思う。トムとヨハンという世界レベルのドライバーを相手に負けたことについて、恥じることはない。今日彼らはとても速かった。決勝戦では、ラリークロスカーのフィーリングはよかったけれど、トムの方が少し速かった」
「メキシコに来るのは楽しいよ。僕たちは同じモータースポーツという世界にいるけれど、一緒に過ごす時間は多くない。だからこれは(共に時間を過ごすのに)とても良い方法だ」
「今日ミックとチームを組んだのはとても特別なことだ。初めてROCに出場した時のことを思い出したよ。僕はミハエルのことを尊敬しているからね。ミハエルがここにいて、ミックのパフォーマンスを見ることができていたら、より特別な出来事になっただろう。でも彼は自分の息子を誇りに思うはずだ」