2019年01月19日 10:22 弁護士ドットコム
賃貸契約に「町内会の行うコミュニティ活動等には積極的に参加すること」と書かれていても、みなさんは契約に踏み切りますか? そんな物件に出会ってしまった方から、弁護士ドットコムに「(契約に)違法性はないのでしょうか」と、質問が寄せられました。
【関連記事:夫のカバンから減っていく「避妊具」 個数チェックは浮気の証拠になる?】
相談者によれば、この文言以外はとても魅力的な物件のようです。ただ、この内容を守らないと契約を解除される可能性があるとのこと。
そこで、削除してもらう、あるいはそのまま契約に踏み切り、契約を解除される事態になった時に交渉することを検討しているようです。久保豊弁護士に聞きました。
ーーそもそも町内会への参加は義務なのでしょうか
「町内会は、任意の団体であり、その加入自体も任意ということになります。
ただし、賃貸借契約を締結するにあたって、どのような条件で契約するかは賃貸人と賃借人の合意で決定することです。当事者間で合意しているのであれば、その契約は原則として有効ということになります」
ーー合意さえすれば、契約の内容は問われないのでしょうか
「当事者間で合意していたとしても、法令や公序良俗に反するような合意については無効です。しかし、町内会への加入を条件とすることが法令や公序良俗に反するということにはならないでしょう。
質問に対する答えとしては、『町内会の行うコミュニティ活動等には積極的に参加すること』を賃貸借契約締結の条件とすること自体は、違法とはいえないと考えます」
ーーこの条項に反した場合、賃貸借契約を解除されてしまうと明記されているそうです。そのことに問題はないのですか
「条項の定め方や、その地域の特徴にもよりますが、賃料の支払いや用法を遵守した物件の使用といった本来的な賃借人の義務とは異なる性質の条項ですね。そこで、原則として契約解除までは難しいのではないかと考えます。
ただ例外的に、賃貸借契約の解除が認められることもあるかと思います。
たとえば、賃貸人が町内会のメンバーとの結びつきが強く、また地域としても町内会活動が活発であるというような事情がある場合には、町内会活動への積極的な参加が賃借人を決める上での重要な要素であると言えるかもしれません」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
久保 豊(くぼ・ゆたか)弁護士
大学卒業後、旅行会社、一部上場IT企業を経て弁護士に。弁護士に転身後、不動産、建築・建設、法人破産、相続などを中心に多数の案件に精力的に取り組む。2008年弁護士登録
事務所名:鎌倉総合法律事務所
事務所URL:http://www.kamakurabengoshi.jp/