かつてジョーダン・グランプリでテクニカルディレクターを務めたゲイリー・アンダーソンは、マッティア・ビノットを新たなチーム代表に任命したフェラーリの決断は“誤ったもの”だと考えている。
フェラーリでエンジン担当のエンジニアとしてキャリアをスタートさせたビノットは、2015年よりパワーユニット部門を率いるようになり、フェラーリの技術部門の中でも、重要人物とみなされていた。
2016年、ビノットは当時フェラーリのチーム代表だったマウリツィオ・アリバベーネによりテクニカルディレクターに任命された。彼の働きもあって2017年、2018年とフェラーリはメルセデスへ挑戦できるところまで戦闘力をあげてきたが、シーズン後半になるとチームとドライバーのミスや不運が重なり、両年ともタイトルを逃した。
そして2018年にはビノットとアリバベーネの間で意見が衝突し、2019年の1月初旬にアリバベーネの更迭が発表された。
オートスポーツ・インターナショナル・ショーに出席したアンダーソンは、「ビノットは、技術部門のマネージャーとしては申し分ない人物だったし、彼がテクニカルディレクターになるというのは、当然認めなければならなかったことだった」と話した。
「この仕事(チーム代表)は7日間、フルタイムだ。パートタイムの仕事ではない。彼が技術部門での仕事に割ける労力は少なくなるだろう」
「これは誤った決断だと私は考えている。彼らは誰か他の人を(チーム代表に)任命するべきだった」
「どうして技術者として最適な人を、マネージメントという政治的で、彼の得意とするところではない場所に配置したのか、私には本当にわからない。なぜあんなことをしたのだろうか?」
■2019年末にビノット辞任の可能性
アリバベーネがチーム代表の座に就いていた間に集まった批判は、『責任負わせる』という文化をチーム内に作ったことに向けられた。これについてアンダーソンは、次のように語った。
「失敗に対する責任という文化を作るべきではなかった。なぜ失敗したのかを確実に認識し、そこを強化しなければならない」
またアンダーソンは、ビノットがチーム代表に就任したことで技術部門の仕事に時間を割けなくなり、それに伴ってパフォーマンスが伸び悩んだ場合は、ビノット自身に“リスク”が降りかかる可能性があると懸念している。
「もしレッドブルがステップアップを果たし、フェラーリがチャンピオンシップで3位か4位になったら、まずビノットが多くの非難を浴びることになるだろう。そして2019年末には何かが起こるかもしれない」
「フェラーリは、本来配置すべき場所でないところに彼を置いたのだから、非常に優秀な人物を失いかねないよ」