1月11日、ホンダは東京オートサロン2019の会場内で、2019年のモータースポーツ活動について発表を行ったが、このなかでホンダNSX GT3を使ったスーパーGT GT300クラスの活動についても触れられている。ただ、このなかで2018年に参戦したCARGUY Racingについては、「参戦継続に向けて検討中です」という文章で触れられた。現在チームがどんな状況にあるのかを、チームが1月17日、公式Facebookページで触れた。
CARGUY Racingは、主宰する木村武史が“自動車冒険隊隊長”として、さまざまなスーパーカーをはじめ、クルマを使った楽しみを展開してきたプロジェクト、CARGUYのレーシングチーム。ランボルギーニ・スーパートロフェオやスーパー耐久等で活躍してきた後、2018年から木村が「カッコいいから」購入を即決したホンダNSX GT3でスーパーGTに挑戦を果たした。
事業用不動産を手がける株式会社ルーフの代表取締役社長を務めている木村は多忙な身ながら、「スーパーGTに出るからには、まわりに迷惑をかけたくない」とトレーニングを行うなど、必死に速さを身につけジェントルマンドライバーらしからぬスピードをみせてきた。自らが将来の目標とするル・マン24時間参戦のために、スーパーGTで研鑽を積んできたのだ。
そんな木村は、ル・マンという目標に向けて、2018/2019シーズンからAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズに参戦を開始した。マシンはフェラーリ488 GT3で、ジェームス・カラドとケイ・コッツォリーノをパートナーに、第1戦上海、第2戦富士、そして第3戦タイとGTクラスで優勝を飾った。タイトルまではあと一歩だ。
ところが、ここでCARGUY Racingにとっては“嬉しい悩み”が出てきた。アジアン・ル・マンは、クラスチャンピオンを獲得すれば、ル・マン24時間へのインビテーションを受けることができる。つまり、木村にの目標であるル・マン参戦のチャンスが出てくるのだ。
木村は当初、今季もスーパーGTに参戦する意向があった。ただ、ル・マン24時間参戦ともなればル・マン24時間テストデーへの参加や初参戦ドライバーに課せられるシミュレータートレーニング、さらに488 GT3の488 GTEへの換装など、さまざまな作業が発生する。
そして木村は、ル・マンに参戦するとなれば「日本から日本人メカニックを連れて行く予定です」とFacebook上で公言している。そうなると、5~6月まではチーム全体が多忙を極めてしまうのだ。5月の第3戦鈴鹿、6月の第4戦タイは、厳しいスケジュールになってくる。
12月、トレーニングのために全日本F3のテストに参加していた木村に、2019年のスーパーGT活動について聞いた際は、「当初はアジアン・ル・マンとル・マン24時間があるので、スーパーGTは出られないかと思っていたんですが、日程は被っていないんですよね」と語っていた。
「なのでスーパーGTも出場できるんですが、私はご存知のとおり、本職はレーシングドライバーではないんですよね(苦笑)。なので、立場としてそんなにやれるのかなと……。資金面は問題ないんですが、スケジュールがなんとも。ル・マンとなれば15日くらいはフランスにいなければならないですしね」
CARGUY Racingはすでにアジアン・ル・マンのクラス王座獲得目前だが、もしル・マン出場権を獲得できなかった場合は、スーパーGT出場を目指すべく、すでにホンダNSX GT3のアップデートパーツも発注済みだという。
ジェントルマンドライバーを中心としたプライベーターならではの悩みを抱えるCARGUY Racing。状況はホンダも理解しているとのことで、冒頭の文章になったということだろう。日本の誇るプライベーターとしてCARGUY Racingがル・マンに出場する姿も見たいし、スーパーGTでも見たいところだが、最終決定を待ちたいところだ。