石井裕也監督の新作映画『町田くんの世界』が6月7日から全国で公開される。
原作は『別冊マーガレット』で2015年から昨年まで連載され、『第20回手塚治虫文化賞』新生賞を受賞した安藤ゆきの同名漫画。運動や勉強が苦手で見た目も平凡だが、困った人のことは絶対に見過ごさず、接した人全員の世界を変えてしまう不思議な力を持つ「町田くん」が主人公となり、物語のあらすじは突然の出来事をきっかけに優しさに溢れていた「町田くんの世界」がひっくり返る、というもの。
同作は石井監督にとって初の漫画原作。全編35mmフィルムで撮影を行なう。
石井監督は「人を好きになる気持ち、愛とかそういうものは、普通であれば恥ずかしくて口に出すのもはばかられますが、やはりどう考えても人間にとって必要なこと。それが今、本当にやるべき題材だと感じ、それをまったくてらいもなく、恥ずかしげもなくやってる“少女漫画原作の力”に僕も乗っかりたいと思いました」と明かしている。
また原作者の安藤ゆきは「一人の人間から生まれた小さな作品がたくさんの人が構築する大きな企画になっていくということは、わくわくする一方で不思議な気持ちでいっぱいです。この映画の関係者の一人になれたことを幸福に思います」とコメントを寄せている。
■石井裕也監督のコメント
人を好きになる気持ち、愛とかそういうものは、普通であれば恥ずかしくて口に出すのもはばかられますが、やはりどう考えても人間にとって必要なこと。それが今、本当にやるべき題材だと感じ、それをまったくてらいもなく、恥ずかしげもなくやってる“少女漫画原作の力”に僕も乗っかりたいと思いました。この作品では、本当に例外的なことをやりまくっています。まさか自分が少女漫画原作をやるとは思っていなかったので、逆に振り切れたというか、冒険的になれたし、映画的な自由を得られたんだと思います。
■北島直明プロデューサーのコメント
石井監督が作る少女漫画原作の映画を僕自身が観たかった。例えば、その材料を誰が調理するかで全然違う料理になるように、監督と話していると、【町田くんの世界】を映画として再構築したらどんなものが仕上がるのか、それが楽しみで仕方がありませんでした。
恋愛映画や、恋愛漫画って、『好き』とか『嫌い』とか、登場人物達が皆“恋愛を知っている”という前提で物語が進行していきます。ほとんどの作品が、【モテない子が急にモテるようになる】あるいは【三角関係になる】といったいくつかの基本フォーマットで物語が進んでいくのですが、どのキャラクターも『人を好きになる』という根本を深く考えていない事が多いんですよね。大人だって『好き』という感情を明確に説明できる人は少ないはずなのに、なぜか皆、『恋愛』は知っているんです。家族への好き、友達への好き、片思いの人への好き、恋人への好き、夫・妻への好き、子供への好き…違いを説明できますか?
【町田くんの世界】は『人を愛する事』はしっているのに、『好き』っていう事が分からない主人公・町田くんが、『好き』を学ぶ物語です。その過程で、恋愛を知っている“はず”の登場人物たちが、改めて、『好き』を学ぶ物語でもあります。兎にも角にも、絶対に予想できないラストシーンを用意しましたので、エンディングを観て、皆さんの『好き』が見つかってくれたら嬉しいです。石井監督の才能が爆発しています!
■安藤ゆきのコメント
一人の人間から生まれた小さな作品がたくさんの人が構築する大きな企画になっていくということは、わくわくする一方で不思議な気持ちでいっぱいです。この映画の関係者の一人になれたことを幸福に思います。