第41回大会となる2019年のダカールラリーは1月15日、サン・ファン・デ・マルコナ~ピスコ間575km(ステージ距離360km)の競技8日目が行われ、セバスチャン・ローブがステージ最速タイムを記録した。また二輪部門首位だったリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)はエンジントラブルにより大会リタイアを余儀なくされた。
競技8日目はパウダー状の砂“フェシュフェシュ”が広がる地帯や海岸沿いを走る構成。フィニッシュ地点となるピスコは、同名の蒸留酒でも知られる場所だ。
プライベーターとして第41回大会に臨んでいるローブは、スタート直後にパンクに見舞われる不運があり、ステージ折り返しのウェイポイント通過時点では暫定トップだったナッサー・アル-アティヤ(トヨタ・ハイラックス)と3分25秒のギャップをつけられる。
しかし、そこから徐々にマージンを詰めていくと、ウェイポイント5を通過した時点で4分2秒差をつけてトップに浮上。そのままリードを広げ続け、ステージ2位のアル-アティヤに対し、7分27秒差をつけて今大会4度目のステージ優勝を奪った。
総合では前日の54分12秒遅れの総合4番手からひとつポジションを上げて、総合3番手に。首位を守るアル-アティヤとは46分45秒差がついている。
「スタートから6kmを過ぎたところでパンクがあり、走行開始早々にタイヤ交換を余儀なくされた。少し苛立ちを覚えたよ」とローブ。
「そのあと、ウェイポイントを探して2~3分さまようこともあったけど、それ以外はいい走りができたステージだったと思う。昨日は(電気系トラブルで)40分近くタイムを失っていることを考えると総合3番手に浮上できたことは喜ばしい」
「あと2日、走行が残っているから様子を見守っていくつもりだよ」
前日、総合2番手でアル-アティヤを追っていたステファン・ペテランセル(ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・バギー)は2度、マシンがスタックするアクシデントがあり、合計で20分近くをロス。ローブから31分31秒遅れたステージ8位となり、総合4番手に後退した。
この結果、総合首位を守るアル-アティヤのリードは46分29秒まで拡大。総合2番手にはホアン・ナニ・ロマ(ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・ラリー)が続いている。
■二輪部門戦うホンダ、総合首位のブラベックにエンジントラブル
四輪市販車部門を争うトヨタ車体のチーム・ランドクルーザー・トヨタオートボデーはクリスチャン・ラビエル/ジャン・ピエール-ギャルサン組350号車がステージ25位で総合26番手、三浦昂/ローラン・リシトロイシター組349号車がステージ26位で総合31番手だ。クラス順位はラビエル組がトップ、三浦組が2番手となっている。
トラック部門を戦う日野チーム・スガワラは菅原照仁/羽村勝美組510号車がステージ10位。部門総合8番手にポジションを上げた。
二輪部門では総合首位だったブラベックがステージスタートから56km付近でエンジントラブルに襲われて戦線を離脱。ホンダ陣営は今大会3人目のリタイアを余儀なくされてしまった。
これで総合首位には、ステージ3位に入ったトビー・プライス(KTM450)が浮上。KTMの大会連覇を射程圏に捉えた。ただし、総合2番手パブロ・キンタニア(ハスクバーナFR450ラリー)とはわずか1分3秒差だ。
またプライスは2018年末に行ったトレーニング中に右手舟状骨を骨折しており、その傷が癒えないままでの参戦。360kmの走行を終えると「右手は燃えるような痛みになっている」と怪我の状況を明かしている。
「今日は全力を振り絞った。これ以上のタイムは出せなかったよ。僕の右手は燃えるような痛みになっている」
「ケガを治すには休むポイントも作るべきなんだけど、一度ヘルメットをかぶってバイクにまたがってしまうと、それは難しい。とにかくベストを尽くしたいと思ってしまうし、全力を出し切りたいと考えてしまうからね」
全10ステージで構成されるダカールラリーも残り2日。競技9日目となる現地16日はピスコを周回する409km、ステージ距離313kmで争われる。なお、トラック部門については407km、ステージ距離311kmで争われる。