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TSIホールディングスが14億円を構造改革に投資、セール販売を改める施策も

2019年01月15日 19:33  Fashionsnap.com

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(左から)代表取締役社長 上田谷真一氏、取締役 大石正昭氏 Image by: FASHIOSNAP.COM
TSIホールディングスが1月15日、2019年2月期第3四半期の決算会見を開催した。今期の売上高は1,173億7,300万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は33億600万円(同4%増)、経常利益は45億8,800万円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は25億6,900万円(同11.1%減)だった。また、秋冬商戦が振るわなかったことに加え、当初計画になかった構造改革に伴う費用の発生を見込み、通期連結業績予想を売上高1,640億円(期初予想2.5%増)、営業利益15億円(同53.1%減)に修正した。

 上田谷真一代表取締役社長は5月に就任して以来、赤字事業の膿出しを進めており、営業利益を期初予想から17億円引き下げた分のうち14億円程度を構造改革に関する費用として発生する予定。特に、北京で「エム ツボミ」を展開する北京子苞米時装有限公司がここ数年赤字続きで重荷になっていたことから、自力再生や撤退、他社との資本提携、売却など様々な方針を視野に入れているという。このほか、下方修正の理由として昨年12月に発表した子会社の東京スタイルとサンエー・インターナショナルの再編に伴う費用や、暖冬による秋冬商戦の売れ行きの不調などを挙げた。
 ブランド別で取り組んだ施策として、「マーガレット ハウエル(MARGARET HOWELL)」ではコート類を12月以降の寒くなった時期に定価で販売する試みを実施。今期は暖冬の影響でコートの売上が前年比を割り込んだが、12月以降は好調に推移し、営業利益は前年比5%増になる見込みだという。他ブランドにおいてもセールに頼った売り方を改め、定価での販売機会を逃さないようシフトする考え。また、ロイヤルカスタマーの創出や海外展開の強化、デジタル化の推進、プロモーションなどにも注力していくという。
 基幹ブランドの「ナノ・ユニバース(nano universe)」は、売上高が前期比8%増と好調に推移。高級寝具メーカーの東京西川との協業によるダウンウェアブランド「西川ダウン(NISHIKAWA DOWN)」や、芸能人を起用したプロモーションなど定期的な話題作りが功を奏したという。
 一方で、値引きによる粗利益の減少やトレンドに合わない商品展開により、「ナチュラル ビューティー ベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」や「プロポーションボディドレッシング(PROPORTION BODY DRESSING)」などのエレガンス系・フェミニン系のブランドが通期を通して不調だった。来季はデザイナーの増員および質の向上、トレンドに沿ったコンテンポラリーなMD展開を強化する予定だという。
 会見では、同じくアパレル大手のオンワードホールディングスが「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」から退店する準備を始めたことから、アパレルの"ゾゾ離れ"と一部で報じられていることについても質問が及んだ。上田谷社長は「多くのブランドに関して自社ECで顧客と接点を持つことを戦略に据えているので、ゾゾタウンが行う値引き戦略について基本的には乗る気は無い。しかしながら、ゾゾタウンと相性の良いブランドもあるので、クーポン施策に極力乗らないようにしながら、割り切ったお付き合いをさせて頂ければ」と自社の考えを示した。