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アンジュルム「46億年LOVE」が首位 2018年度『ハロプロ楽曲大賞』で目立つ若手女性作家の台頭

2019年01月15日 18:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ハロプロを愛する者たちの間で毎年恒例のファンイベントとなっているのが『ハロプロ楽曲大賞』。インターネット上で投票を募り、1年間に発表された楽曲に順位を付けてみんなで楽しく盛り上がろうという趣旨の催しである。昨年末も『第17回ハロプロ楽曲大賞’18』と銘打って開催され、3984人が投票参加して大きな盛り上がりを見せた。(総順位などの結果は公式サイトをご覧ください)


参考:「U.S.A.」コラボ、新グループ名発表、飯窪春菜卒業…2018年下半期ハロプロ重大ニュース振り返る


 リアルサウンドでは毎回順位に関する分析記事を寄稿しているが、今回もまた2018年版記事をここにお送りする。それでは早速順位を振り返っていこう。(以下の論考は、ランキングと併せてお読みください)


■楽曲部門1位:アンジュルム「46億年LOVE」


 2018年度の第1位に輝いた楽曲は、アンジュルム「46億年LOVE」。かつてモーニング娘。が1999年にブレイクするきっかけとなった「LOVEマシーン」以降、こういったディスコファンク調の楽曲はハロプロでも多数リリースされており、それらはハロプログループの所属事務所であるアップフロント系列会社の所在地になぞらえて“赤羽橋ファンク”と呼ばれている。いってみればその赤羽橋ファンクのアンジュルム2018年最新版がこの「46億年LOVE」で、それがファンの支持を一番集めた形となった。


 2016年にハロプロ楽曲大賞第1位となったモーニング娘。’16「泡沫サタデーナイト!」も似たケースであり、このことについて、ハロプロの古参ファンから否定的な意見が一定数ある。つまりかつてのヒット曲と同じことをしていて新鮮味に欠けるのでそこまでいい曲と思えない、という声だ。筆者も1999~2002年頃のモーニング娘。の国民的アイドル時代の活躍をリアルタイムで経験した者なので、そういった意見もある程度はわかる。


 結局のところ、これは現在のハロプロファンがある程度入れ替わっていることの証左なのでは、という気がしている。もし古参ファンが今も大多数を占めていたら、こういったタイプの曲が1位になることはないだろう。ここ数年でハロプロの魅力に気づいた新参ファンにとっての、リアルタイムでの「LOVEマシーン」が「泡沫サタデーナイト!」であり「46億年LOVE」であって、それはむしろ非常に健全な状態ではないだろうか。


 とはいえ、「泡沫サタデーナイト!」にしろ「46億年LOVE」にしろ、ただの焼き直しでは終わっていない。前者は赤い公園の津野米咲が作詞作曲、後者は作詞が児玉雨子、作曲が林田健司(SMAP「$10」「青いイナズマ」などでおなじみ。ハロプロへは今回が初の楽曲提供)と、つんく♂以外のコンポーザーによるもの。


 そして両曲とも、編曲は鈴木俊介。ハロプロのディスコファンクというと「LOVEマシーン」「恋愛レボリューション21」などのイメージでダンス☆マン編曲を連想しがちだが、鈴木が編曲を担当した楽曲群を見ていくと、モーニング娘。「The 摩天楼ショー」、アンジュルム「大器晩成」、Juice=Juice「ロマンスの途中」、こぶしファクトリー「チョット愚直に! 猪突猛進」等々、重要曲はほとんど同氏の手によるものだ。つまり、かつての赤羽橋ファンクの遺伝子が鈴木俊介によって受け継がれているのと同時に、児玉雨子と林田健司というハロプロ新世代コンポーザーによる新たな個性が加味されているのが「46億年LOVE」ということになる。


 そして、この楽曲を体現するアンジュルムも、今は非常に良い状態といえる。メンバーの卒業/加入があるグループにとっては、新メンバーが加入することによってグループのスキル平均値が一旦リセットされてしまうのは免れない。2019年には新メンバー2人の合流がすでに予定されているアンジュルムにとって、その直前にリリースされたこのシングルでのパフォーマンスは、ひとつの高みに到達している。


■楽曲部門2~3位:つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」、モーニング娘。’18「Are you Happy?」


 1位のアンジュルム「46億年LOVE」とともに、2018年の楽曲大賞候補としてファンからの前評判が高かった楽曲が、つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」だった。結果としては1位の4275pts.に対し3822pts.で2位だったが、投票数で見ると1位の1535票に対して1568票と、ポイント数では負けたが投票数は上回るという逆転現象が起こった(下位ではこういった現象はたまに起こるのだが、1位と2位でこうなったのは史上初)。


 中島卓偉の作曲による、歌謡曲テイストあふれる普遍的な曲調が幅広い人気を集めた。ひと夏の恋を切望する乙女心を描いた児玉雨子の作詞術も冴え渡っていて、〈浴衣を着なかった理由(わけ)〉など、聴き手に解釈を促すフレーズ作りに長けている。


 前年は「ジェラシー ジェラシー」、前々年は「泡沫サタデーナイト!」で連続首位を記録していたモーニング娘。だが、3年連続で1位とはならなかった。2018年6月発売のシングルで、尾形春水の卒業曲という位置づけでもあったこの曲はつんく♂の作詞作曲。トライバル要素を前面に押し出す攻めた曲調でも話題を集めていた。


■モーニング娘。’18


 ハロプロ楽曲大賞のレギュレーションでは、前年12月~当年11月の範囲で発売された楽曲がノミネート対象となっている。つまり、2017年12月発売のモーニング娘。’17のアルバム『⑮ Thank you, too』収録曲は今回2018年度のノミネート対象となっていたわけだ。そして、アルバム用9曲のうち、カバーの「女子かしまし物語 (モーニング娘。’17 Ver.)」を除く8曲すべてが50位以内にランクインするという強さを見せた。


 楽曲部門トップ10を見てみると、3位の「Are you Happy?」に続いたのは、6位の「ロマンスに目覚める妄想女子の歌」と8位の「ナルシス カマってちゃん協奏曲第5番」の2曲。いずれもライブで先行披露されていて盛り上がる定番曲だったので、この順位も納得だろう。その他、11位には2015年からライブで歌われていた「私のなんにもわかっちゃない」、そして20位「青春Say A-HA」と続く。26位には「Style of my love」(飯窪春菜、小田さくら、牧野真莉愛)、28位「もう 我慢できないわ ~Love ice cream~」(尾形春水、羽賀朱音、加賀楓、横山玲奈)と、ユニット歌唱曲が続く形となった。


 シングル曲では12位に「自由な国だから」、14位に「フラリ銀座」がランクイン。33位には飯窪春菜の卒業曲という位置づけの「Y字路の途中」、34位には配信シングルの「花が咲く 太陽浴びて」、35位には「Are you Happy?」と同じシングルの両A面曲だった「A gonna」と、3曲が続けざまにランクインした。


■アンジュルム


 2017年の楽曲大賞ランキングでは、グループ最高位がカバー曲の「魔女っ子メグちゃん」の23位という、不調と言わざるを得ない結果だったアンジュルムだが、今回の2018年では堂々の第1位を獲得。その他にも10位には「Uraha=Lover」、13位「マナーモード」、18位「泣けないぜ…共感詐欺」など、シングル曲がどれも高順位をマーク。ちなみに「Uraha=Lover」と「泣けないぜ…共感詐欺」の2曲はどちらも山崎あおいが作詞作曲したもの。なお、ノミネートされていたシングル8曲はすべて50位以内にランクインしている。


 1位「46億年LOVE」と同じシングルの両A面曲で、やはりディスコファンク調の「タデ食う虫もLike it!」は27位という結果に終わっている。この曲は蒼井優主演ドラマ『このマンガがすごい!』主題歌のタイアップ、作詞作曲は前山田健一という話題曲であったのにもかかわらず、同じシングルで明暗が分かれてしまった。このように独自のファン評価がちゃんと順位に現れるのが楽曲大賞の面白いところだろう。結果の分析としては、同じ両A面シングルで曲調も似通った2曲があった場合、一方が割を食うという傾向があるのかもしれない。これは2曲ともトライバルEDM調だったモーニング娘。’18『Are you Happy? / A gonna』も同様だ(3位 / 35位)。


■Juice=Juice


 グループ最高位は、2018年夏にリリースされた2ndアルバム『Juice=Juice#2 -!Una mas!-』の中でもリードトラック的な位置づけの曲だった「禁断少女」の4位。大橋莉子の作詞作曲によるストレートなラブソングで、平田祥一郎が手がけた80sダンスポップ風な編曲もたまらない。この曲の聴きどころはなんといっても間奏後Cメロの高木紗友希→段原瑠々→宮本佳林→梁川奈々美の4人のソロパートリレーで、“歌唱力のJ=J”の魅力が凝縮されている。


 16位の「SEXY SEXY」は、つんく♂×平田祥一郎によるムーンバートン解釈といえそうな妖しくも艷やかなサウンドが特徴。19位には松井寛編曲の「TOKYOグライダー」、22位には「銀色のテレパシー」と、以前からライブ披露されてはいたものの、2ndアルバムによって音源化されてようやく投票可能となった楽曲が続いた。


■カントリー・ガールズ


 カントリー・ガールズの2018年度ノミネートは配信限定リリースの3曲のみだったが、3曲とも30位より上にランクインと高評価。最高位はジャジーで渋谷系チックなサウンドの「待てないアフターファイブ」の15位。次いで17位には前山田健一作詞作曲の可愛い系ソング「書いては消しての “I Love You”」。福田花音の作詞によるミディアムバラード「傘をさす先輩」は29位だった。


■こぶしファクトリー


 こぶしファクトリーも2018年度ノミネートはシングルの4曲のみだったが、いずれも上位50曲以内にランクイン。ベスト10に食い込んで第5位だったのは「明日テンキになあれ」。こぶしらしくストレートかつ力強いポジティブソングで、サビでの腕を一本ずつ挙げる振り付けが印象的だ。21位「これからだ!」も同系統の一曲で、和田桜子のラップが特徴。25位「きっと私は」はつんく♂曲だが、Rapアレンジとして2017年12月に逝去したU.M.E.D.Y.が参加していることでも知られる。作詞を及川眠子が手がけたバラード「ナセバナル」は41位。


■つばきファクトリー


メジャーデビューから2年目のつばきファクトリーだが、楽曲の充実度からいえばこのグループがハロプロ内でも随一ではないだろうか。2018年リリースの2枚のトリプルA面シングル計6曲はいずれも40位より上にランクイン。前述の「今夜だけ浮かれたかった」の2位に次いで、王道ウィンターソングの「低温火傷」は7位、元センチメンタル・バスの鈴木秋則が作曲した春らしく爽やかな一曲「春恋歌」は9位と、ベスト10に3曲を送りこんでいる。


 2018年には1stアルバム『first bloom』もリリースされたが、ここからのアルバム曲での最上位は23位「表面張力 ~Surface Tension~」。ハロプロ王道のディスコファンクチューンだ(編曲は鈴木俊介)。ライブでの鉄板盛り上がり曲となっている「ハッピークラッカー」も43位を記録。


■ハロプロ研修生/ハロプロ研修生北海道


 ハロプロ研修生は2ndアルバム『Rainbow×2』がリリースされたが、ここからの最上位は「やっちゃえ! GO! GO!」の47位。1980年代後半~90年代初頭のバンドブームの一翼を担ったロックバンド、アンジーのギタリストだった中谷ブースカこと中谷信行が作詞作曲編曲。コミカルかつ盛り上がれる一曲だ。


 研修生曲は他にも福田花音作詞の「43度」(52位)などいくつか話題曲があったが、50位内のランクインはできなかった。ハロプロ研修生北海道 feat. 稲場愛香のシングル曲「ハンコウキ!」(65位)、「Ice day Party」(77位)も、前評判のわりには順位は振るわなかった形だ。


■その他


 正規のハロプログループ以外にも、OGやアップフロント所属グループなどの楽曲がノミネートされているのがハロプロ楽曲大賞の特徴。これら楽曲の順位も気になるところだが、元℃-ute鈴木愛理のアルバム『Do me a favor』からのリード曲「DISTANCE」は44位、元モーニング娘。道重さゆみの配信シングル「Loneliness Tokyo」は45位と、思ったより上位には行かなかった印象だ。これは2018年の正規ハロプロ楽曲がそれだけ充実していたことの逆説的な証明にもなっていると感じたが、いかがだろうか。


 アプカミ・ミュージック・デリバリーの一環で配信リリースされた、宮崎由加 (Juice=Juice)、牧野真莉愛(モーニング娘。’17)、川村文乃 (アンジュルム)「雑煮でケンカしてんじゃねーよ」は、一種のコミックソング/ネタ曲にもかかわらず42位にランクイン。


 2018年はハロプロ20周年ということで、ハロプロ・オールスターズと銘打った全グループ集合の記念シングルがリリースされた。しかしそこからの楽曲は「ハロー! ヒストリー」がぎりぎり50位にランクインしたものの、他は「憧れのStress-free」57位、「YEAH YEAH YEAH」64位、「花、闌の時」119位と、いずれも低調に終わった。ちなみにこのシングルは、売上枚数だけでいえば2018年のハロプロ内グループで一番売れたディスクであり、ファン評価と売上データの乖離をもっとも象徴する形となった。


■MV部門


 楽曲ではなく映像基準で投票されるMV部門。そこで1位と2位を獲得したのは、つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」とアンジュルム「46億年LOVE」。つまり楽曲部門と1位2位が入れ替わっているものの、同じ2曲が独占したという形だ。「今夜だけ浮かれたかった」はメンバーの浴衣姿や、曲中で歌いながら急にカメラの方へ視線を向けるという構成が話題を集めた。「46億年LOVE」は楽曲の元ネタでもあるEarth, Wind & Fire(EW&F)の世界観へのオマージュとおぼしき、ディスコを基調としつつ宇宙やピラミッド、さらに富士山やトーテムポールまで登場するファニーさが楽しい(DA PUMP「U.S.A.」への返答、という解釈は穿ち過ぎだろうか)。つまり、2曲とも映像にも特徴があり、そこがファンの支持を集めたということになるだろう。


 前評判が高かったモーニング娘。’18「フラリ銀座」は3位、つばきファクトリー「I Need You ~夜空の観覧車~」は4位にランクイン。前者はムード歌謡チックな楽曲の雰囲気に合致したレトロかつオシャレな衣装&映像がクオリティ高し。後者は歌詞の内容に合わせた、遊園地でメンバーとデートしているかのようなVR没入感が凄まじい作り。K-POPからの影響を感じさせる原色で派手な映像のJuice=Juice「Vivid Midnight」は5位と、こちらも高評価を得た。


■推しメン部門


 楽曲大賞の参加者による一推しメンバーを集計した推しメン部門。これがそのまま実人気ランキングに重なるとはいえないが、ひとつの指標ではある。ここ数年はモーニング娘。佐藤優樹の1位が続いていたが、今回も1位を獲得。これで4年連続となる。


 推しメン部門では℃-uteの鈴木愛理と矢島舞美がベスト10の常連だったが、グループ解散に伴いそれぞれ24位、41位と大きくランクダウン。こちらも常連であるJuice=Juice宮本佳林は3位、今年2019年春の卒業がアナウンスされているアンジュルム和田彩花は5位をそれぞれ記録した。


 前年度6位だったモーニング娘。加賀楓は、今回は4位とまたもや上昇。前述の宮本と和田を除くと、上位10人中8人がモーニング娘。メンバーとなり、その強さを見せつけた。


 以上、2018年度のハロプロ楽曲大賞の結果を駆け足で振り返ってきた。結果を見て感じるのは、つんく♂以外の楽曲提供者の躍進、それも若手女性作家の台頭だ。


 楽曲部門1位のアンジュルム「46億年LOVE」と2位のつばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」、どちらも作詞を担当したのは児玉雨子だ。1993年生まれの彼女は現在25歳だが、21歳の現役女子大生時代にアンジュルム「乙女の逆襲」からハロプロへの楽曲提供が始まった。以降、カントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」をはじめ数々の楽曲を毎年手がけてきて、ついに今回、楽曲大賞の1位と2位を独占という結果を残したことで、ハロプロ楽曲コンポーザーの作詞面でのエース格に昇りつめたといっていいのではないだろうか。


 近年では近田春夫の38年ぶりのソロアルバム『超冗談だから』でも作詞を6曲担当するなど、アイドル界隈以外での活動も目立ってきている。


 アンジュルムの「Uraha=Lover」(10位)と「泣けないぜ…共感詐欺」(18位)それぞれの作詞作曲を担当しているのは、シンガーソングライターの山崎あおい。児玉と同じく1993年生まれの彼女は、2012年の大学1年の時にメジャーデビュー。ギタ女(ぎたじょ=ギター女子、つまり女性弾き語りシンガーソングライター)シーンの枠で語られることが多い。他アーティストへの楽曲提供も、ベイビーレイズJAPAN、むすびズム、たんこぶちん、さとり少年団など多数。


 アップフロントとの関わりは、安倍なつみの2015年のアルバム『Dreams』収録曲「嘘つき」の作詞作曲が最初で、ハロプロへの楽曲提供はアンジュルム「泣けないぜ…共感詐欺」「Uraha=Lover」(2曲とも同シングルに収録)が初となる。楽曲大賞ランキングでは50位より下だが、鈴木愛理「君の好きなひと」(アルバム『Do me a favor』収録、54位)や、ハロプロ研修生北海道 feat. 稲場愛香のシングル曲「ハンコウキ!」(65位)の作詞作曲も彼女だ。山崎の出身大学は慶應義塾大学、つまり鈴木愛理と同じ大学の先輩にあたり、交流がある。未音源化でライブ披露のみの鈴木愛理の楽曲「私の右側」「No Live, No Life」は、鈴木と山崎の共作とのこと。


 4位のJuice=Juice「禁断少女」の作詞作曲、7位のつばきファクトリー「低温火傷」作曲(作詞は児玉雨子)など上位曲を担当しているのは大橋莉子。他にはモーニング娘。’18「Y字路の途中」(33位)、つばきファクトリー「純情cm(センチメートル)」(39位)を、いずれも作詞作曲している。


 1996年生まれで現在22歳の彼女は、2012年から音楽作家の事務所会社であるSUPA LOVE(スーパーラブ)に所属し、現役女子高生コンポーザーとして楽曲提供活動を始める。アイドリング!!!「Over Drive」作詞作曲編曲(2015年シングル『Cheering You!!!』c/w)、乃木坂46「行くあてのない僕たち」作曲(2016年シングル『裸足でsummer』c/w)などを経て、ハロプロへの楽曲提供は「低温火傷」が初のケース。Juice=Juice宮本佳林のDTM打ち込みの先生をしているというエピソードもある。


 ……と、このように20代女性作家がハロプロ楽曲を手がけ、しかもそれが上位にランクイン=ファンの支持を集めているというケースが目立ってきている。ハロプロのつんく♂にしろ、AKB/坂道界隈の秋元康にしろ、年配の男性作家が書いた詞曲を10代女子が歌うのがこれまでのアイドル楽曲の一般的な形式だったわけだが、ここにきて歌う側と作る側の年代が一致、つまりシンガーソングライター的な自作自演の作法により近づいてきているのが近年のハロプロ楽曲ということになる。そこでは歌うアイドルが楽曲に感情移入しやすく、さらに受け取る同性女性リスナーにとっても共感しやすいという事態が多く起こっている、のかもしれない。もちろん、従来の男性作家主導型の楽曲でも名曲はこれまでも多数生まれているので、どちらが上かという話ではなく、そういうバリエーションが増えてきているということ。どちらの形式でも名曲は生まれ得るはずだ。


 そこで気になってくるのは、元アンジュルムで現在は作詞家として活動している福田花音の今後の動向だ。今年2019年春にはかつての同僚で盟友でもあったアンジュルム和田彩花がグループ卒業を予定している。そこで福田が作詞した曲をアンジュルムあるいは和田がソロで歌うということになれば、ひとつのドラマが生まれるわけで、この機会をみすみす逃すことはないだろうと予想するのだが、はたしてどうなるのか。


 また、2019年はスマイレージ/アンジュルムの結成10周年のメモリアルイヤーでもある。これを記念して、同グループの全楽曲のみを対象とした「スマイレージ/アンジュルム楽曲大賞」の開催が先日発表された。


 2019年のハロプロの動向に目を向けると、やはり要注目なのは新グループのBEYOOOOONDSだろう。すでにライブ披露済みの「眼鏡の男の子」「文化祭実行委員長の恋」は、未音源化のため2018年度のハロプロ楽曲大賞ではノミネート対象外だった。おそらく今年には音源化リリースされるだろうし、さらに第3の新曲「アツイ」も現在開催中の正月ハロコンから披露を始めている。


 今年末の「ハロプロ楽曲大賞’19」、そして今年春頃開催予定の「スマイレージ/アンジュルム楽曲大賞」、どちらも皆さんの投票参加を是非お待ちしております。(ピロスエ)