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谷生俊美さん「news zero」出演語る「反応なくなってきた」…存在当たり前に

2019年01月15日 11:02  弁護士ドットコム

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電通が結果を発表した「LGBT調査2018」。LGBTという言葉の認知度は、2015年の前回調査から約31ポイント増え、68.5%となった。背景にはニュースやドラマ、SNSなど、メディアの影響があるという。


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1月11日にあった、電通の結果報告会では、2018年にLGBTなど性的少数者に関する発信で話題を集めたメディア関係者によるパネルディスカッションも開かれた。


日本テレビの谷生俊美さん(映画事業部プロデューサー)は、2018年10月からコメンテーターを務める同局の「news zero」に言及。トランスジェンダー女性であることを明かし話題を呼んだが、出演を重ねるごとに「視聴者の反応がなくなってきた」という。


「継続性が大事。続けることで当たり前になり、違和感がなくなっていく。それが『受け入れられていく』ということなのかなと身をもって感じている」(谷生さん)


●トランスジェンダーの存在を可視化

谷生さんは2000年、男性として日テレに入社。エジプト・カイロ支局長など報道記者としてキャリアを積んだのち、2012年6月に「金曜ロードSHOW!」のプロデューサーになった。同年の秋ごろ、上司にカミングアウトしたという。


news zeroなどのメディア露出について、「私は必ずしも、LGBTの権利向上のための旗振り的な活動をするつもりはない」と谷生さん。


「それはやってくださっている専門の方にお任せして、私は日本テレビの社員として、与えられた職務をまっとうしていく。当たり前の仕事を当たり前にこなして、たまたま私はトランスジェンダーでした、というところを考えている」


視聴者に伝えるのは、報道や映画番組に携わってきたプロとしての知見だ。トランスジェンダーであることはあくまで副次的な要素・個性の1つ。news zeroの出演も「トータル」での依頼だったからこそ、覚悟を決めたという。


一方で、自身がメディアに出ることで、トランスジェンダーが「現実世界に普通にいる」ことが可視化されることの重要性も強く感じているという。


今回の電通調査によると、自身がLGBTなど性的少数者であると考える人は、11人に1人(8.9%)。一方で、誰にもカミングアウトしていないと答えた人は65.1%だった。多くの人にとって、まだ性的少数者は知識だけの存在だ。


谷生さんは「トランスジェンダーではなく、女性として認識されたい」とも述べ、「もっと自然に、もっと綺麗に視聴者に届くコメントなり、態度なり、アクションを取れれば」と話した。


●地方紙やネットメディアの取り組みも


このほか、宮崎日日新聞社の中川美香さん(生活文化部部長・論説委員)は、2018年に同紙がストレートニュースも含め、LGBTに関する記事を100本以上掲載したことを報告した。


1面での大型連載や著名人へのインタビューなど、読者の目に触れるように工夫し、会社主催のシンポジウムも開くなど、県民の理解増進に努めてきた。


「最初は戸惑いの声もあったが、『これまでは海外や都会、テレビの中のことだと思っていたが、宮崎の人が登場することで身近なことだとわかった』などの声が届くようになった」(中川さん)


NHKの須崎岳さん(エグゼクティブ・プロデューサー)は、元大関・把瑠都さんがゲイの男性を演じたことでも話題を呼んだ、ドラマ『弟の夫』(原作は田亀源五郎さんの同名漫画)を担当した。


「局内で反対はなかったのか」との質問に対し、「テレビ朝日さんの『おっさんずラブ』があったので、テレビ局も垣根が低くなったような気がする。(NHK)総合ではなく、BS(プレミアム)だったこともあり、すんなり通った」と業界の変化を語った。


また、BuzzFeed Japanの古田大輔さん(創刊編集長)は、2019年に注目しているものとして、2月中旬の一斉提訴が予定されている同性婚に関する憲法訴訟をあげた。


古田さんは「同性の結婚は100年後には間違いなく認められていると思う。それがなぜ今、認められないのかというのが疑問」などと述べ、同性婚を認めるのは「当たり前」というスタンスで報道していくことを明言した。


(弁護士ドットコムニュース)