2019年01月15日 08:51 弁護士ドットコム
クレジットカードで借りて、7年前から延滞している20万円。今さらだけど、返したらどうなるのかーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談者(20代後半)は7年前、クレジットカードで20万円を借りましたが、返済していません。それから催促の電話や手紙が来ましたが、怖くなり全て無視。最後に催告状が来たのは6年前ですが、その後カード会社からの連絡が一切来なくなったため、安心して放置してしまったと言います。
相談者は「まとまったお金ができたため、返済したい」と考えているようですが、この借金は時効によって消滅しているのでしょうか。鈴木淳也弁護士に聞きました。
「本件の場合、借りていたお金を返済する必要がない可能性が高いです」
ーーなぜでしょうか
「法律には消滅時効といって、ご自身でお持ちの権利を一定期間行使しないと権利が消滅してしまうという規定があります。逆に言えば、ご自身がお金を借りていても、貸主から何ら裁判を起こされることなく消滅時効の期間が経過した場合、返済しないで済むということです」
ーーお金を借りた場合、消滅時効の期間はどのくらいでしょうか
「お金の貸し借りにおける消滅時効の期間は、現在適用されている法律によれば原則は10年間です。ただし、個人ではなく、消費者金融や信販会社などの会社からお金を借りた場合は、5年間となります」
ーー注意するべきことはありますか
「返済しないまま消滅時効の期間が経過していても、期間が経過する前や後で返済の約束をしてしまった場合には、時効の主張をすることができません。
消滅時効の期間が経過した後に貸主から返済の督促を受け、ついつい返済の約束をしてしまい返済義務が残ってしまったという事例はよくあります」
ーー他にしなければいけないことはありますか
「貸主の権利は、借主が消滅時効を援用、つまり借金を消滅させる意思表示をして初めて消滅します。時効期間が経過しているから放置していいというわけではありません」
ーーどういうことですか
「貸主に『消滅時効の期間が経過しているので支払わない』ということを意思表示する必要があります。貸主から裁判を起こされても、消滅時効の期間が経過しているからといって放置するのはやめましょう」
ーー自分で「時効期間が経過している」と伝える必要があるのですね
「はい。今回の相談者のケースも、信販会社からお金を借りて返済しないまま7年間が過ぎ、その間裁判を起こされているわけでもありませんので、消滅時効を援用して支払う必要がなくなる可能性が高いです。消滅時効の援用の仕方がわからなければ弁護士にご相談ください」
ーー返済しないまま時効期間を経過した場合、ブラックリストには入っているのでしょうか
「消滅時効の援用を貸金業者が貸し倒れということで処理し信用情報機関に報告していた場合には、時効援用によりブラックリストに入ってしまうことがあるようです。
心配であれば信用情報機関に問い合わせ信用情報の開示を受けられることをお勧めします」
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(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
鈴木 淳也(すずき・じゅんや)弁護士
第一東京弁護士会所属。大学時代は理学部に所属し、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし、多くの人と触れ合い、広く社会の役に立てる仕事に就きたいと考え、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、民事・刑事を問わず困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログで発信している。
事務所名:鈴木淳也総合法律事務所
事務所URL:https://law-sj.com/