先日、飲み会でベンチャー企業の社長を名乗るおっさんから名刺を貰った(飲み会は割り勘だった)。後日、インターネットでその社長の会社名を検索してみると、ベンチャーと言うか普通に零細企業だった。
この例に限らないけど、最近なんかベンチャーを名乗る普通の零細って、結構多いものだ。(文:松本ミゾレ)
「なぜか社員でもない社長の義兄が毎日事務所に入り浸ってた」
今回は2ちゃんねるで見かけた「零細企業あるある」というスレッドの内容を紹介したい。まずスレ主は例として「仕事納めたはずなのに翌日出勤」と書き込んでいる。こういう妙にリアルな事例を提示するあたり、彼もまた零細企業で働く労働者なのかもしれない。
他にもいろいろと書き込みはあるので、目に付いたものを挙げてみよう。
「社会保険未加入」「事務員が社長の嫁か愛人」
「社長が『友達に頼み込まれた』とかでほとんど働いたことがない40代50代のおっさんが入ってくる。当然すぐ辞める」
「社長がヤクルトとっても社員にはくれない」
「なぜか社員でもない社長の義兄が毎日事務所に入り浸ってた」
と、こんな感じで、当人たちにとっては深刻なのかもしれないけど、なんだか牧歌的というか、妙に面白い書き込みが目立つ。どうしようもない会社だけど、惰性で何となく勤続しているといったような。こういう会社って、地方なら確実にいくつも存在している。
大手じゃありえない経験ができるのが、ある意味零細企業の魅力
他にいくつか、洒落になってない"あるある"も存在した。たとえば「社員が会社の金を盗んでトンズラした」とか「何でもかんでも経費にするものだから税務調査が来る」とか。また、労基が入ったり、入管がアポなしでやって来た、といった物騒なものまである。
こういう事例って、大手の企業ではまずもって体験できないようなシチュエーションであることは間違いない。ものすごく好意的に考えるならば、零細企業には零細企業ならではの、非日常空間とも呼べる独特の空気が存在している、ということは言えるだろう。
今の時代、なかなか大手に入社できず、気持ちが腐ってしまう人も多い。しかしそうは言っても人は働かないと食っていけない。場合によっては仕方なく零細に入社することだってあるだろう。
人生はなるようにしかならない。もしもあなたが零細企業で働いている、あるいは今後そういう企業で働くことになったのであれば、この状況でしかお目にかかれない悲喜こもごもを、ある意味で楽しみにしてみるのもいいだろう。
ちなみに僕は零細企業が結構好きだ。地方にはろくな企業がないので、一時期チンケな会社で働いていたこともある。
零細企業には零細企業の良さがある。社員同士の距離が近いので、社長がどの女子社員と不倫したのかがすぐに分かるし、冗談半分で指摘してもクビになるほどキレられることもそうそうない。ただまあ、給与が低いから、長居はできなかったけど……。