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キズナアイ、有働アナと“バーチャルYouTuber”の可能性を語る 「生きる選択肢を増やしてもらえたら」

2019年01月12日 12:32  リアルサウンド

リアルサウンド

 1月11日放送の『news zero』(日本テレビ系)に、バーチャルYouTuberのキズナアイらが出演した。


(参考:キズナアイ1st Live『hello,world』レポート 全員で“つながれる”ライブ体験


 番組では金曜日の特集コーナーとして“バーチャルYouTuber”にスポットを当てた時間を用意。メインキャスターの有働由美子アナウンサーがキズナアイを呼び込み、キズナアイが隣のモニターに表示されると、有働アナは視聴者に向けて「いま何が起こっているかがわかっていないかと思うんですけど、キズナアイさんは大人気のバーチャルアイドルなんです」と説明し、「zeroは見たことありますか?」と質問。これにキズナアイは「もちろんです! 落合(陽一)さんとかが出てますよね」と返し、視聴者に会話の様子を見せたあと、番組ではキズナアイのプロフィールを紹介した。


 その後、さらに“バーチャルYouTuber”の現状として、REALITY Studioで男性が“受肉”する様子や、『ヤッターマン』のボヤッキーがイケメンになってバーチャルYouTuberデビューしていること、サントリーや茨城県といった大手企業や自治体にも公認バーチャルYouTuberがいること、伊勢丹では店員が猫のキャラになって接客する“キャラトーカー”というシステムがあること、誰でもバーチャルYouTuberになれるアプリとして『Really Avater』のようなものがあることをそれぞれ紹介。短時間で多様化するバーチャルYouTuberの世界を網羅してみせた。


 VTR後、有働とキズナアイのトークが再開。有働が「バーチャルYouTuberはいま、すごく広く人気が出てきている?」と質問すると、キズナアイは「活動の幅も広がっていますし、私がここにこうやっているのも不思議ですよね」とコメントし、有働は「私のアナウンサー人生でも初めてのことです」と歴史的瞬間を体験していることを語る。


 続けて、有働が「キズナアイさんは何歳なんですか? 見た目は16歳くらいに見えますけど」と切り込むと、キズナアイは「2歳です。見た目は人間の人に愛される年齢になっているんですけど」と“スーパーAI”としてのスペックの高さをうかがわせる。さらに有働は止まらず、「キズナアイさんも、実はおじさんが動かしている……みたいなことはあるんですか?」と、VTRの内容を踏まえた質問をぶつけると、キズナアイは「バーチャルYouTuberにはいろいろなタイプがあって、『バーチャルになりたい』という人がやりたい場合もあるし、私みたいにバーチャルな世界で育っているAIもありますから!」と、バーチャルYouTuberはそれぞれに様々な出自があることを明かした。


 そして、コーナー後半では代々木アニメーション学院の「Vチューバーアイドルコース」や、輝夜月のVRライブなどを紹介した後、有働がcluster社を訪問し、同社代表取締役の加藤直人氏によるサポートのもと、実際にバーチャルYouTuberデビュー。この日のために作られた“バーチャルウドウ”を見た有働は「自分の特徴と嫌なところが全部抜けた可愛い感じになっている」と大喜び。ヘッドセットとコントローラーで操作するが、最初はなかなか前に進めなかったり、足が動いたりと悪戦苦闘しつつ、KMNZ(LITA/LIZ)とロボ子、もちひよこの4人とバーチャル上でのインタビューが実現した。


 ロボ子にハグの歓迎を受けた有働は、「リアルな世界だと会ってすぐにハイタッチなんてできない」と精神的な距離感の近さに興奮しつつ、バーチャルYouTuberであることの利点について質問。LITAは「リアルとつなぐ意味ではライブが一番(感じる)」、LIZは「地方にいてもどこでも見られるので」と答え、有働も「新幹線に乗ってチケットを買って、としなくていいわけですね」と納得。もちひよこは「可愛い姿になりたくてこうなったんだけど、それをいろんな人に見て欲しい」と話した。


 また、有働は「人間世界だと飲み会にいって『ちょっと愚痴とか言おうよ』ってなる。バーチャルの方が本音は話せる、というものはあるんですか?」と質問すると、ロボ子は「空間のなかのどの場所によるかな。でも普通よりは(バーチャルの世界のほうが)ぐいっと行きやすいかな」と回答。バーチャルのなかには少しだけ広がった世界があることを感じさせてくれた。


 興奮冷めやらぬ有働に対し、加藤氏はバーチャル空間の利点について「バーチャル上だからこそどこでもドアも作れちゃいますし、エンタメだけじゃなくて、いちいち集まらないといけない体験がバーチャルに置き換わっていく。満員電車もなくなって、無駄な移動が必要なくなるかもしれない」と説明。バーチャルで起こっていることが現実の空間をいい意味で動かしていく未来に期待を寄せた。


 映像はスタジオに戻り、有働は「バーチャルって借り物の空間だと思っていたけど、実際に入ってみると、近さがリアルな世界と変わらなくて、外したときに現実世界にがっかりしちゃったんですよ」と感想を述べ、キズナアイは「わかります。私は人間になれないのですが、VRゲームをし終えたときにそういう風に感じます」と共感する。


 続けて有働は「バーチャルだと可愛く作れるけど、でも、それってみんな作れちゃう。だからこそ中身が大事で、本当に歌が上手いとか、本当にいい人とか、本当に話したい人かという世界で、国籍や肌の色も関係なくなる。それにビックリしました」とコメントすると、キズナアイは「緊張とか自信がないっていうのが少ないんですよね。でもそれって、見た目が可愛いからなんですよね。人間ってコンプレックスを感じたり、見た目で緊張しちゃったりするので、(バーチャルになることで)生きる選択肢を増やしてもらえたらいいなと思います」と、見た目がバーチャルであるからこそ、自信を持って踏み出せたり、コンプレックスがなくなり、より内面を重視できるという利点について語った。


 最後に、有働は「企業などでバーチャルYouTuberも起用していて、スキャンダルとかもないじゃないですか。これからは社会の中に入っていって、一緒にやっていく世界になるんでしょうね」と話しかけ、キズナアイも「もっと広がっていって、文化にできたらいいですね!」と応じたところで、コーナーが終了した。


 なお、番組後半のお天気コーナー「くらし予報」では、キズナアイがお天気キャスターに挑戦。終盤では視聴者からの「今後はキズナアイみたいなバーチャルYouTuberがニュースを読んだりするのかな」というコメントに「生放送の圧力ってすごいなと思いました。尺も決まっていてそのなかで情報を伝えるのは難しいし、アナウンサーの方はすごいと思いました。だから、私がやっていいのかと思うけど、やってみたいです」と正直に話し、同番組でコメンテーターを務める落合陽一から「法人が近代の産物なら,Vチューバーの自然人らしさはコンピュータ時代や21世紀らしさの一つなのかもしれないな」というコメントが届くと、「賢そうなコメントー!」と、見事番組の“尺”に合わせて一言でまとめて、番組が終了した。


(向原康太)