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劇場版『ヒロアカ』4DXは“個性”の再現が秀逸! 見せ場はデク&オールマイトの共闘シーン

2019年01月11日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』が、1月11日より4DX版として再び劇場に帰ってくる。


参考:演出はハリウッド映画のよう 劇場版『ヒロアカ』は“TVアニメの映画化”の意義を感じさせる作品だ


 『週刊少年ジャンプ』で連載中の堀越耕平による漫画『僕のヒーローアカデミア』の劇場版第1作である本作。興行収入は16億円、観客動員数は129万6000人を超え、作品に多大なる影響を与えているアメコミの本場・北米でも大ヒットを記録している。本作の制作が発表されたのは、2017年12月11日。その約半年後、2018年8月3日に全国公開となり、今回4DX化。2月13日にはBlu-ray&DVDとしてソフト化も予定されており、劇場版の熱はまだまだ冷めることはなさそうだ。


 「あのクライマックスの迫力が更にプルスウルトラしてるかも!」と堀越も期待のコメントを寄せた4DX。上映に先駆け、一足先に4DX初体験の筆者も鑑賞させてもらった。鑑賞を終え、第一に感じたのは「ヒロアカは、4DXの特性と十二分にマッチした作品」ということだ。ヒロアカの登場キャラクターは、“個性”と呼ばれる超常能力を一人ひとりが持つ。『ONE PIECE』の悪魔の実や『HUNTER×HUNTER』の念能力、『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドなど、『週刊少年ジャンプ』には新旧問わず、自身の能力を武器に戦う作品が多い。ヒロアカもまた、その系統に当てはまる作品だが、これほどまでに4DXの環境効果を引き出すことができるのかと心底驚いた。例えば、轟焦凍の持つ個性「半冷半燃」は、右から氷結、左から炎熱を繰り出すが、これは前座席から放射される水しぶき、座席シートから噴出される熱風で再現される。爆豪勝己の個性「爆破」もまた首元からの熱風による効果だが、スクリーンからは煙が立ち込める。上鳴電気の個性「帯電」では、キャラクターの体からの放電とシンクロし、劇場上に配置されたストロボが閃光を放つ。「炎、水、雷」といった自然現象は、多くの作品で扱われるが、ヒロアカで言えば1年A組に当たる、主要キャラクターが能力に持つケースは案外少ない。


 4DXは、環境効果に加え、座席効果により更なる映画体験を生み出す。左右、前後、上下の3種類の動きは、それぞれのシーンに同調し作品世界により没入していくことができる。作品途中には宇宙に漂うシーンがあるが、ゆっくりと動くシートにより、浮遊する感覚を味わうことができた。さらに、座席の振動は、細かなレベルが設定されており、例えばポケットに入れているiPhoneが、ショートメールを受け取ったのか、アプリのプッシュ通知を受信したのかが分かるように、振動の強弱、長さによって様々なシチュエーションが再現されている。峰田実のくっついたら離れないボールを投げる「もぎもぎ」の動き、切島鋭児郎の「硬化」した全身でのガチガチの動きは、モーションチェアと後頭部へのエアショットにより演出されるが、中でも印象的だったのが飯田天哉が驚異的なスピードで走る「エンジン」。真面目過ぎるが故に、どこかシュールな飯田は、劇場版においてもスクリーンを縦横無尽に走り抜ける。その疾走する「ドッ! ドッ! ドッ!」という振動は、モーションチェアによってより臨場感を生み、それが何度も繰り返されるため、シュールさも増幅していく。思わず、筆者も笑いを堪えきれずにいた。


 そして、堀越本人も触れているように、ヴィランチームのリーダー・ウォルフラムに立ち向かう、主人公・緑谷出久(デク)とオールマイトのクライマックスシーンは、未体験のゾーンへと突入していく。モーションチェアのレベルは最大に設定されているという。正直、爆轟と轟のバトルシーンもかなりの“フルスロットル”であるため、「これ、インフレ起こさないか?」と頭をよぎったが、それはいらぬ心配だった。振り落とされないようにしがみついているのがやっとのクライマックス。また、原作のオールマイトはすでに力を失ってしまっているため、デクとの共闘はもしかしたらこれが最初で最後の可能性があることも記しておきたい。クライマックスと言えば、ヴィランを倒したデクの姿と若きオールマイトの姿が、デヴィット・シールドの中で被るシーンがある。ウォルフラムとの激闘の末、モーションチェアが一気にレベルダウンしていくその感覚は、宇宙を漂うとも違う、新たな感動体験だった。


 2月のソフト化により『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』は個人でも視聴できるようになるが、4DXは今回の機会を逃すと二度と鑑賞することはできなくなるだろう。デクたちの激闘の迫力、そして感動の“プルスウルトラ”を、ぜひこの機会に体感してほしい。(文=渡辺彰浩)