性自認に関する問題は近年、注目を集めている。大阪府と福岡県では2019年度の公立高校の入試の書類で、性別欄を廃止することを決定した。セクシャルマイノリティへの配慮のためだ。
しかし、1月10日の『モーニングCROSS』(MX系)では、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は、「(性別)欄廃止っていうのは完全に間違っている」と指摘。
「配慮っていうのが最悪。配慮って触らないようにしようってことでしょ?」
と、違和感を語った。(文:石川祐介)
「ずっと僕らはそうやってミスってきた」「向き合わないのが一番良くない」
若新氏は、性別欄の廃止は自分の性別と向き合う機会を奪っているだけだと主張。LGBTだけでなく障害者などのマイノリティに対する政策でも、「ずっと僕らはそうやってミスってきた」と分析する。「向き合わないっていうのが一番良くない」と、性別欄を廃止することで、子供達が自身の性別について考える機会を奪ってしまう可能性があると指摘した。
自身の親戚にも、生物学的には男性の身体を持つが、性的少数者の可能性がある子どもがいるという。小学校入学前までは、家庭や保育園で特に問題がなかったが、小学校では男子・女子で分ける機会が増え、
「(その子が)『わたしね』って言ってると悪気なく上級生とかが『男なのになんで私って言うの』って平気でからかってくる」
のが現状だそうだ。
しかし、若新氏はこうした上級生の反応について、「男女ってものが我々の生活の中にあるから、自然とこういう反応をしちゃうと思うんですよ」と、仕方ないことだと見ている。
「葛藤している人達に『書かなくて良いよ』とか『表明しなくて良いよ』ってことじゃなくて、こういう風に違和感なく家族の中で生活していても学校生活とか社会の中の『男なの?』『女なの?』っていう区別を持とうとする中で、向き合っていくことが大事だと思うんですよ」
と語っていた。