トップへ

“弁護士モノ”をアップデート? 竹内結子主演『QUEEN』視覚と聴覚を揺さぶる展開に脱帽

2019年01月11日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 竹内結子主演ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)が1月10日に初回放送を迎えた。本作は、法廷ではなくスキャンダルの裏側を舞台にしたノンストップ・エンターテインメント。情報を操作し裏で社会を動かす“スピン・ドクター”を日本で初めて題材にしたオリジナル・ストーリーとなる。メガホンを取るのはPerfumeの一連の作品や星野源の「恋」などを手がけた映像クリエイター・関和亮である。また関が監督することで、世界を代表するラグジュアリーファッショングループである「ケリング」の「ブシュロン」とのタイアップが決まるなど、衣装に豪華ブランドが集結していることも魅力の作品だ。共演には水川あさみ、中川大志、バカリズム、斉藤由貴と名実相伴う役者が揃い、主題歌はYUKIが担当した。


【写真】フォレストのメンバーを演じた4人若手女優


 氷見江(竹内結子)は鈴木法律事務所・危機管理チームのリーダー。与田知恵(水川あさみ)、真野聖子(斉藤由貴)、藤枝修二(中川大志)と共に依頼された難題に立ち向かっていく。第1話では、ネットで炎上しているアイドルの冠番組のプロデューサーが依頼人となり、冠番組のスポンサーに顔向けできるような謝罪会見をひらけるように協力して欲しいと言う。アイドルの不祥事、インターネットでの炎上、生配信をする過激なユーザーなど現代社会を描いたシーンも盛り込まれたが、ラストシーンが一番衝撃的であった。


 国民的アイドルグループ・フォレストのメンバーである赤江桃子(中村ゆりか)が実は性同一性障害であり、自身のセクシュアリティとアイドルという“女性であること”がコンテンツとなる仕事の板挟みで苦しんでいることが氷見たちに明るみになったのだ。他のフォレストのメンバーはそれを理解し、支えることでグループを解散させたいと思っていたという。芸能事務所は猛反対で解散を受け入れない。そんな中、氷見らの活躍で会見は生放送となり、フォレストは解散を宣言するステージに立てることとなる。そしてフォレストは無事解散、事務所へのケアも危機管理チームが根回しし、事態は丸く収まる。


 自由を手に入れたのはフォレストのメンバーだけではない。謝ることが仕事のようになってしまっていたプロデューサーも、解散を報告するTV番組で”番組作り”を一番に考えることができて久しぶりに仕事への手応えを感じていた。映像クリエイターが日頃から体感しているであろう「チームでひとつのことを作り上げる快感」を視聴者へ届けた、関ならではのクリエティブを感じる第1話となった。さらに、セクシュアリティの自由を求める声が多い中、こういったセンシティブな題材を作品に盛り込むことで問題提起できた側面もあったと感じる。


 6年ぶりの連続ドラマ主演となった竹内と、日本トップレベルの映像クリエイターが織りなすドラマは視覚、聴覚、そして心を揺さぶる作品となっている。この勢いでどこまで駆け上がるのか、見守りたい。


(Nana Numoto)