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『トレース~科捜研の男~』は錦戸亮の新境地を引き出せるか 新木優子&船越英一郎にも要注目

2019年01月08日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 錦戸亮が主演を務める『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)が、1月7日よりスタートした。


参考:<a href=”https://www.realsound.jp/movie/2019/01/post-301910.html”>ミステリアスな演技でシリーズ化なるか? 『トレース~科捜研の男~』関ジャニ∞錦戸への期待</a>


 元・科捜研の古賀慶によるマンガ『トレース-科捜研法医研究員の追想-』を原作にした本作は、実際に起きた事件や経験をベースに描かれた本格科捜研サスペンス。警察を憎む科捜研の男・真野礼二(錦戸亮)、翻弄される新人研究員・沢口ノンナ(新木優子)、叩き上げのベテラン刑事・虎丸良平(船越英一郎)をメインキャストに、現場に残された痕跡(トレース)が示す真実をもとに、事件を捜査していく。


 まず、第一に触れておかなければならないのが、誰もが気になるであろう『トレース~科捜研の男~』というドラマタイトルだ。原作の副題が“科捜研法医研究員の追想”なのに対して、今回“科捜研の男”と付けられたのは、沢口靖子を主演に20年続く大人気シリーズ『科捜研の女』(テレビ朝日系)を意識しているのは明らか。錦戸も公式ホームページをはじめ、多くのインタビューで戸惑いながらそのことに言及している。


 例えば、1983年から市原悦子を主演に始まった『家政婦は見た!』(テレビ朝日系)は、2011年に松嶋菜々子を主演に『家政婦のミタ』(日本テレビ系)として大ヒットを記録。その後も2016年にまさかの松岡昌宏を主演に『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)として放送されている。とは言え、今回の『トレース』が『科捜研の女』に寄せられた脚本になっているわけではない。『科捜研の女』に比べて、シリアスかつサスペンス色が強く、息が詰まるような展開の数々は元科捜研の研究員だったという原作者によるリアルな体験からくるもの。“科捜研の男”として、また後世に語り継がれる、新たな科捜研ドラマの傑作が生まれる可能性もある。


 主演を務める錦戸亮は、2011年に放送されていた『全開ガール』(フジテレビ系)以来の月9出演であり、初の月9主演でもある。昨年は大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)で西郷従道を演じ、主演としては2017年放送の『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)以来、およそ1年半ぶり。


 『ウチの夫』と比べると、『トレース』で演じる真野は正反対のクールなキャラだ。協調性がない性格は、虎丸から目の敵にされ、「科捜研は言われたことだけやってりゃいいんだよ!」と怒鳴りつけられる始末。「俺の勘だ」が決めゼリフの虎丸に、「気持ち悪い」とボソッとつぶやく真野には、「鑑定結果こそが真実」という信念がある。考え得るすべてを追求し、真実に繋がるかけらを探すのが科捜研の仕事というのが、彼の揺るぎない意志。一貫して冷静でありながら、被害者を思う優しい心を持つ。第1話でサブリミナル的に映し出された、幼い頃の陰惨な事件の経験や壇浩輝(千原ジュニア)の存在が、これから物語の鍵となっていくと同時に、錦戸の新たな演技を引き出す要素となっていきそうだ。


 また、物語の軸に真野を置きながら、彼に感化され成長していく沢口ノンナ、何度も衝突しつつも真野を気になる存在として研究所に訪れてしまう虎丸良平との関係性も、このドラマの見どころの一つ。虎丸の公式の設定には「真野の過去に何かがあることに気づき、興味を持つようになる」とあり、彼らがどのように真野の過去と対峙していくかが、今後の大きなポイントとなっていきそうだ。 (文=渡辺彰浩)