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BENI、女性限定イベントで『CINEMATIC』制作秘話を語る 『Spotify New Music Place』レポ

2019年01月07日 17:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 「新しい音楽との出会い」「音楽と触れ合う新しい場所との出会い」をテーマとした音楽ストリーミングサービスSpotifyによる新イベント『Spotify New Music Place』がスタートした。第1回目はゲストに、ニューアルバム『CINEMATIC』をリリースしたばかりのアーティスト・BENIを迎え、12月20日、渋谷にあるTRUNK(HOTEL)で開催。『Spotify New Music Place – Girls Tea Party with BENI -』と題して、招待された女性ファン30名がBENIのトークやプレミアムなライブを楽しんだ。


(関連:『Spotify New Music Place』写真


 会場では、11月28日にリリースしたアルバム『CINEMATIC』や、3部作のMV『CHASIN’ the film』がスクリーンで流れるなか、観客が入場。今回は、“普段よりもリラックスしてトークやライブを楽しんでもらえれば”という趣旨でテーブルにはスイーツやお茶が用意された“Tea Party”形式となった。カラフルでかわいらしいスイーツの登場に会場が華やいで、撮影タイムになるなどTea Partyがスタート。そこに、ブラックのドレスに身を包んだBENIが登場すると、観客から歓声が上がって、またうっとりとしたため息も聞こえてくる。


 「やっとこうした会を実現できて、嬉しいです」とBENI。普段のライブよりもグッと間近に本人の姿があることで、観客も思わず背筋が伸びてしまう様子で、BENIは「みんな、緊張してる?」と言って微笑む。その緊張を解きほぐすように、事前に観客から募ったBENIへの質問コーナーを挟みながら、アルバム『CINEMATIC』に込めた思いや制作秘話、1曲1曲についてのセルフライナーノーツ的なトークで会場の女子会的なムードをあげていった。


 アルバム『CINEMATIC』について、「自分の日々のサントラを作るならどんなものができるか? という妄想からはじまった」と語るBENI。また今回は3年ぶりのアルバムで、「3年の間いろいろな曲を作ったけれど、自然に出てきた曲が選ばれた。考えすぎず、素直にレコーディングした曲が収録されている」という。コラボ曲も多数収録されているが、どの曲もコラボ相手との何気ない会話や、世間話から形になっていくなど、リラックスした制作だったようだ。たとえば、KANDYTOWNのラッパー、IOをフィーチャリングした曲「Chasin’ feat. IO」では──。


 「IOはもともと友人で。スタジオでいろんな話をしているうちに、(曲の)シナリオがどんどんできました。恋愛も、恋愛以外でもそうですけど、人間って満足しきれないものだから。手に届く直前くらい、追いかけているうちが幸せなのかなって。わたしたちって、いつもChasin‘してる、Chasin’病かもねっていう話から生まれた曲なんです。この曲でMVを作ろうとなったんですが、普通のMVではつまらないなと思って。IOはルックスも雰囲気があって、ミステリアスな人なので。彼と一緒にドラマ性のあるMVにしてみようと思って。この曲がきっかけで、3部作(「Chasin’ feat.IO」、「PULLBACK」、「Last Love Letter」)でひとつの物語となるショートフィルム「CHASIN’ the film」にも繋がっていきました」。


 また「S.U.K.I」は、お酒好きなBENIが、酔った調子でうっかり言い過ぎてしまうことなど、酔っ払っているときの様々なモチーフが元ネタ。「CRY」は、友だちのために書いた曲だという。


 「大の親友が涙を流してる姿を見たときに、ものすごく愛おしくて。彼女は、必死で涙を止めようとするんです。でももっと泣いてって思ったの。世の中には、泣くのはやめてっていうメッセージの曲が多いと思うんですけど。その逆で、“どんどん泣いて、それは強さにつながる一歩だから”という曲なんです。わたしはいつでもここにいるし、いつでも肩を貸すからって」


 『CINEMATIC』は“自分の日々のサントラを作るなら”という、BENIの日常を垣間見るようなとてもフレンドリーなアルバムだ。また自分と向き合って悩み、時には羽目を外したり、誰かと時間を過ごす暖かな時を描いた曲たちは、街に生きる人々の群像劇のようにも聞こえる。「きっといろんな場面、シチュエーションで聴くと、きっとハマる曲が見つかるんじゃないかなと思います」とBENIは語る。


 観客からの質問コーナーでは、「落ち込んだときにしていること」、「海外に一人旅をしたい。おすすめの国は?」というものから、「何フェチ?」「お気に入りのリップは?」といった女性ならではの質問が並び、その一つひとつに真摯に答えていった。「30代女性として輝く魅力はなんだと思うか」という質問には、こんな答えが。


 「自分でも、これは課題。輝いている年上の女性を見ていると、自分の好きなことを自分らしくしているんですね。キャリアもそうだし、趣味でもそうだし、結婚して家庭を持つこともそうだし。それぞれのパターンで、でも自分らしく、好きなことをやっているのが輝いて見えて。自分もそうありたいなと思います。自分が好きなことをしていると、恋のように“ときめく”じゃないですか。そういうことを忘れないでいたいなと思います」


 そして「年を重ねることは楽しい。今まで感じたことのないような幸せのパターンで、シンプルになってきましたね」と付け加えた。ちなみにBENIは顎フェチ、ということで意外な偏愛ぶりに会場が沸く。


 そして後半のライブパフォーマンスでは、アルバム『CINEMATIC』から、「Got A Feeling」「S.U.K.I」「Last Love Letter」の3曲を披露。リラックスして椅子に腰をかけながらキーボーディストと贈るステージは、シンプルで、BENIのビューティフルな歌声を一人ひとりに手渡すようなライブだ。繊細な心情をエモーショナルに表現するボーカルに、涙する人の姿も。打ち込みも交えたファンキーな「Got A Feeling」に対して、最後の「Last Love Letter」はシンプルにピアノの伴奏で、語りかけるように柔らかな声を響かせる。ちょっとした息づかいや、細やかな声の震え、余韻までもを身近に感じる歌に、観客から大きな拍手が湧き、贅沢な『Spotify New Music – Girls Tea Party with BENI -』は終了した。最後は、BENIを囲んで集合写真を撮影したが、名残惜しそうに観客一人ひとりと言葉を交わす姿が印象的だった。(吉羽さおり)