F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズがシンガポールGPからメルセデスが導入したブレーキ冷却システムを紹介、分析する。
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メルセデスF1は9月の第15戦シンガポールGPから、新たなブレーキ冷却システムを導入した。ブレーキディスクをぐるりと覆っていたドラム部分のうちのほぼ3分の2を、メルセデスはおもいきって削り取った(黄色矢印参照)。
それまでのドラム部分は、下部に痕跡を留めるのみである(白色矢印)。これはいうまでもなくブレーキング時にカーボンディスクから発生する高熱を、より効率良く排出することが目的だ。
メルセデスマシンは伝統的に、リヤタイヤがオーバーヒートする傾向がある。その結果たとえば直角コーナーが多くリヤのトラクション性能が重視されるシンガポールではタイヤが持たず、フェラーリの後塵を拝することが多かった。
メルセデスは8月末のベルギーGPで新型ホイールを導入しており、今回新設計されたドラムとの相乗効果で、リヤタイヤの温度をより緻密に調節できるようになったといえる。
ちなみに今のF1では、高温のコンディションではブレーキの熱を効率良く排出し、逆に寒い時、タイヤの温まりに苦労する時には逆にその熱をタイヤに伝えるといった、きめ細かなマネージメントを行なっている。