2019年01月06日 09:12 弁護士ドットコム
2人の子どもがいる19歳の女性から、離婚にまつわる相談が弁護士ドットコムに寄せられました。理由は、夫(23)の浮気です。
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夫と相手の女性は、相談者が第1子を妊娠している時に不倫関係になったそうです。夫は女性を妊娠させてしまいますが、中絶してもらい、別れたことになっていました。
ところが、まだ連絡は続いていたようです。相談者は最近、夫のスマホの記録から相手女性との親しげなやりとりを知ってしまったといいます。
「子どもがいるからと思い我慢してきましたが、離婚しようと思っている」という相談者。ただし、実の親とは絶縁状態にあることに心配もあるようです。
19歳の相談者は未成年ですが、一人で離婚を決め、子どもの親権者になることはできるのでしょうか。東城輝夫弁護士に聞きました。
ーー未成年の離婚は、本人の意思で決められるのでしょうか。それとも親の同意が必要なのでしょうか?
「親の同意は不要です。本人の意思で離婚を決めて構いません。
確かに、『未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない』(民法第737条第1項)とされます。
しかし、離婚については、『夫婦は、その協議で、離婚をすることができる』(民法第763条)とされ、婚姻の場合のように『父母の同意を得なければならない』という定めはありません。
また、『未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす』(民法第753条)とされます。
これは成年擬制といわれるもので、その効果は私法上、包括的・確定的に生ずるといわれます。この点でも一旦は成年に達したとされた以上、離婚に父母の同意を得る必要はないといえるでしょう。
したがって、今回のように未成年が離婚する場合、親の同意は不要で、離婚は本人の意思で決めて良いといえます」
ーー子どもの親権はどうでしょうか。相談者は未成年ですが、親権を持てますか?
「結論から言うと、相談者の場合、未成年者であっても親権者になることは可能です。
確かに、『親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う』(民法第833条)とされます。
これは親権代行と呼ばれ、婚姻外の子をもった未成年者については、その未成年者に対して親権を行う者、すなわち子からいえば祖父母が、親の親権を代行するとされます。
しかし、婚姻している相談者の場合、成年擬制といって成年に達したものとみなされ、この成年擬制の効果は、婚姻解消後も続くと考えられます。
したがって、未成年者であることは障害とならず、親権者になることが可能です」
ーーあとは、実家の支援が得られるかなど、離婚後の生活も検討する必要がありそうですね。このまま離婚するにしても、慰謝料などの条件についてはしっかり夫と話し合った方が良さそうです。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
東城 輝夫(とうじょう・てるお)弁護士
明治大学卒業。2001年(旧)司法試験合格。検事を経て、2009年弁護士登録。離婚、相続、解雇等の労働問題、刑事事件、会社のコンプライアンスやクレーム対応も含む法的アドバイスなどを得意とする。
事務所名:上野きぼう法律事務所
事務所URL:http://tojo-law.com/