2019年01月05日 10:51 弁護士ドットコム
「モラハラ」夫と離婚したいーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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相談者によると、夫は家事をせず、子どもの面倒もみません。「旦那はとにかく文句が多く、私が熱を出しても家事育児を休ませてくれた日がほぼなく、買い物で子供を預けても『まだか!遅い!』とスーパーから呼び出され、いつも急ぎで帰ります」という横暴ぶりです。
さらに、妻の料理については「『漫画みたいな食事だ!』とバカにします」。口だけは立派ですが、「飲み物すら冷蔵庫から私が出さないと飲みません」という、まるで幼児のような夫。
このような生活に我慢の限界を迎えた相談者は、離婚を考え始めています。そこで、まずは食事作りの負担を減らすことに。夫にはおかずを準備せず、「月2万で一人でやってもらう」ことにしたそうです。
しかし、そのことが「家事放棄として不利になるのではないか」と心配しているようでした。実際に、この女性は「家事放棄」をしたことを理由に、有責配偶者となる可能性はあるのでしょうか。山岸陽平弁護士に聞きました。
ーー相談者の投稿からは、夫の行為はモラハラといっても良いように思いますが、どう考えますか
「暴力を伴わないモラルハラスメントは、執拗だったり程度がひどかったりして別居や離婚に結びついたと言える場合には離婚原因にあたり、慰謝料が認められることもあります。
今回の相談では、この夫は、わがままで文句が多く、家事育児の協力をしないようですし、妻への感謝もないようです。しかし、客観的にみて離婚理由に直結するほど、妻の人格を強烈に痛めつけているとはまだ言えないようにも思われます」
ーー食事を作ることを止めると、相談者が有責配偶者とされる可能性もあるのでしょうか
「作ったご飯について感謝するどころか不満ばかり述べる夫に対し、おかずを準備しないことが、それだけで有責配偶者にあたる可能性は少ないとは思います。
ただ、夫の言動のひどさを主張したいときに、妻の方でも強い対抗措置を取っていたとなれば、夫が一方的に妻に対して問題行動をしていたと見られにくくなります」
ーーでは離婚を前提にするならば、相談者はどう対応していけばよいのでしょうか
「モラルハラスメントを理由に夫の有責性を主張したい場合には、まずは夫に対して言動を直してほしいことを冷静に伝え、態度の改善を促したほうが適切でしょう。
それでも夫が改善しなかったとか、応じてくれなかったということがあれば、その経緯も含めて、夫の有責性の根拠となる可能性があります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。富山県南砺市出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。弁護士のほか社会福祉士資格を有し、福祉・医療サービスをめぐる法律問題に関心が強い。離婚、男女問題、相続(訴訟案件を含む)、成年後見、交通事故、インターネット関係問題など、地域や企業の困りごと解決を手掛けている。
事務所名:金沢法律事務所
事務所URL:http://bengokanazawa.jp/