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高畑充希、2019年もロケットスタートとなるか ドラマ・映画・CM、起用され続ける魅力を探る

2019年01月05日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 高畑充希が主演の金曜ドラマ『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)が、1月11日よりスタートする。彼女のトレンドマークであるロングヘアを20センチ切り挑む今作は、初の刑事役であり、TBSドラマとしては初の主演作。高畑は2016年に初の主演作となった朝ドラ『とと姉ちゃん』(NHK総合)を皮切りに、2017年は『過保護のカホコ』(日本テレビ系)、2018年は『忘却のサチコ』(テレビ東京系)と毎年各局を渡り歩き、着実に連ドラ主演を重ねている。『メゾン・ド・ポリス』は、2019年、高畑にとってロケットスタートを決める作品になる予感がしている。


 ミュージカル女優から始まった高畑の女優活動は、映画、ドラマ、CM……と多岐に渡る。2018年1月に単発ドラマとして放送された『忘却のサチコ』は、10月より連ドラとしてスタートし、12月28日に最終回を迎えた。生真面目な性格にどこか掴めない幸子のキャラクターは、高畑に潜在する演技力を存分に発揮。結婚式から逃げ出した俊吾(早乙女太一)を忘却するため、幸子は各回にて旨いものを食し脳内トリップする。


 中でも印象的だったのが、第2話にておにぎり専門店で繰り広げられるミュージカルシーン。歌い踊るその演技は、2016年にかんぽ生命のCM「それは人生、私の人生」編でも発揮されていたが、今回は星野源「恋」のバックダンサーでも知られるELEVENPLAYからErisa、Kaoriが振り付けを担当。ミュージカル『ピーターパン』で培われた高畑のパフォーマンス力を買われての演出だ。ほかにも、泥酔したり、コスプレをしたり、アイドルソングを踊ったり、疾走したり、フリーズしたり、ラップをしたり……と高畑がこれまで演じてきた役柄の中でも、最も変幻自在であり、その振れ幅に対応できるのが彼女の潜在能力そのもの。


 また、ドラマの軸でもある食の演技にも触れておきたい。人間の三大欲求のひとつであり、誰もが味わったことのある食の快楽は、観るものを惹きつけ、食欲を増幅させる。第1話の関西風すきやきに始まり、おにぎり、ジンギスカン、オムライス……そして、最終回の石狩鍋。はふはふと熱がりながらも頬張り、すすり、至高の笑みを浮かべる高畑の表情に、何度食欲をそそられたか……。金曜深夜という時間帯もあり、完全に『孤独のグルメ』(テレビ東京系)に匹敵する飯テロドラマだった。


 ほかにも、6月に草刈正雄とW主演を張った『68歳の新入社員』(関西テレビ/フジテレビ系)、9月には『過保護のカホコ~2018 ラブ&ドリーム~』(日本テレビ系)が続編として放送され、『忘却のサチコ』と合わせて3本の単発ドラマでいずれも主演を担当。2017年に公開された映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』では、森川ココネの声優として主演を務めたが、2018年においては実写映画『旅猫リポート』にて、元野良猫のナナの声優という特殊な役柄を演じきった。先日公開になったばかりの映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』での強情な演技っぷりも記憶に新しいところだ。


 X JAPANの「紅」を熱唱するNTTドコモのCMが話題になったのが、昨年6月。高畑は「2018年タレントCM起用社数ランキング」(ニホンモニター株式会社)の女性部門で新垣結衣や上戸彩に並ぶ9社と、変わらぬ人気を誇っており、「みつき」名義で歌手デビューしているその歌唱力に度々スポットが当たっている。2013年に出演した朝ドラ『ごちそうさん』(NHK総合)で披露した歌唱シーンが始まりとされるが、昨年2月には『Disney on CLASSIC Premium『リトル・マーメイド』イン・コンサート』で主人公・アリエル役を演じ、日本武道館でその歌声を響かせている。昨年、大晦日には『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にも出演。『過保護のカホコ』主題歌、星野源「Family Song」MVへの出演をきっかけに、『おげんさんといっしょ』(NHK総合)ではおげんさんファミリーのお父さんとしてすっかり定着し、『紅白』の舞台でも星野や藤井隆、三浦大知、宮野真守と並び、美しい美声を披露していた。


 そんな星野とは今年8月に公開となる映画『引っ越し大名!』でついに共演を果たす。『おげんさんといっしょ』という特殊な役柄からスタートした2人が、映画ではどのように接しているかも興味深いところ。『メゾン・ド・ポリス』の放送が終了した後には、舞台『奇跡の人』が4月から始まり、『引っ越し大名!』の公開。2020年には、すでに映画『ヲタクに恋は難しい』の公開も決定している。


 アーティストとしてだけでなく、役者や執筆家としても成功している星野源。下積み時代に大人計画へ直談判し、所属したことで彼の人生の歯車は少しずつ回りだしていくが、今の星野を形作っているのは、クレイジーキャッツやドリフターズから学んだ“全てがメイン”という仕事への向き合い方からだ。この流儀は少なからず高畑にもあるように感じている。その成果が結実したのが、『忘却のサチコ』に表れている振り幅の広い演技であり、1月から始まるドラマ、舞台、映画と高畑の演技の軸はほかの同世代の女優よりも遥かに太い。『過保護のカホコ』は高畑の知名度を一気に押し上げた作品であり、本人にとっても大きく成長できた期間だったと語っている(高畑充希、めまぐるしく変わり続ける環境の中で見つけた“楽しさ”と“心のゆとり”「livedoorNEWS」)。


 『メゾン・ド・ポリス』は、高畑の初の刑事役とともに、“おじさま達のシェアハウス”の中で年配男性を引っ張っていく役柄を演じる。『過保護のカホコ』や『こんな夜更けにバナナかよ』など、これまで演じてきた役にはぶしつけな態度を取る女性が多かったが、『メゾン・ド・ポリス』でもそんな毒っ気が飛び出すか注目だ。(渡辺彰浩)