2019年01月04日 10:32 弁護士ドットコム
2年前から交際している男性の「内縁の妻」から、「今後は一切の連絡をやめていただきたい」と伝えられた女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。
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相談者の女性によると、「内縁の妻」と名乗る女性は電話で、「これまでお世話をしていただいたようでありがとうございました。今後は一切の連絡をやめていただきたい」と、伝えてきたそうです。
驚いて男性に確認したところ、男性には内縁の妻がおり、関係を知られてしまったと言います。そして、相談者との関係を継続するためにも、慰謝料を支払って別れたいと話しているそうです。
相談者は「彼と関係を続けていく意思があります」と話す一方で、今後どのような行動をすべきか、困惑しています。
今回のような状況を穏便に収めるにはどうすれば良いのでしょうか。また、内縁関係であっても「不貞」を根拠に、相談者が慰謝料請求される可能性はあるのでしょうか。木村知子弁護士に聞きました。
ーー「内縁の妻」がいることについて、男性側も認めているそうです。そもそも内縁関係とは、どのような関係をさすのでしょうか
「婚姻の届出はしていないものの、当事者の意識や生活実態として事実上、夫婦同然といえる関係のことです。
今回のケースで、もし『内縁の妻』と名乗る女性が、その男性と単に同棲しているだけでなく、内縁関係にあると認められれば、その関係は『婚姻に準ずる関係』として、法的保護の対象となります」
ーーつまり、相談者が男性と交際していることは、「不貞行為」として損害賠償の請求対象になりうるのですね
「そうです。男性が、相談者と男女関係を持つことは、男性が内縁夫婦間の貞操義務に違反する不法行為を行ったことになり、損害賠償義務を負います。
そして、その男性が内縁関係にあることを知っていながら、男女関係を持つに至った場合は、相談者もその男性の不貞に加担して、内縁関係を不当に侵害したことになります。そのため、内縁の妻は相談者にも不法行為責任を問うことができるのです」
ーー相談者の女性は、できるだけ平和に事態を収めたいと考えているようです
「穏便に収めることができるかどうかは、ひとえに内縁の妻がどのような対応を取るかによります。相談者ご自身が今できることは、男性が内縁関係の解消がきちんとできるまでは、その男性と関係を断つことですね」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
木村 知子(きむら・ともこ)弁護士
平成13年弁護士登録(54期)。大阪弁護士会所属。 離婚、男女問題、相続・遺言など個人からの相談に対応するほか、法人から依頼された案件も数多く手掛ける。事案の本質を見極めて、迅速な解決を図ることをモットーにしている。
事務所名:木村知子法律事務所
事務所URL:http://www.women-solutions.jp/