旅行会社のエクスペディアによると、日本人の有休取得率は世界19か国中3年連続最下位だという。日本では「休むのは悪いこと」という考えが根強く、ことブラック企業では顕著だ。キャリコネニュースに寄せられたアンケートからもその様子がうかがえる。
管理・事務職として働く30代女性は、月の休みが3日程度で、1日に14時間労働という環境に身を置いている。残業代が出ないのはもちろん、会社には「有給休暇の概念がない」という。
「休みたいと言うとお前程度の人間が休んだら他の者に抜かれるぞ、と終電が無くなるまで説教。帰れなくなっても自腹でタクシー帰宅か宿泊となる」
「インフルエンザで休んでも、有給休暇があるのに欠勤で処理される」
従業員が一斉に有休を取得し、事業の運営が難しくなるといった場合などを除き、雇用主は従業員からの有休申請を断れない。しかしブラック企業は、法律違反などお構いなしといった対応をする。
販売・サービス業に従事する40代女性は、上司に有休の申請をしたときのことを、次のように振り返った。
「有休を使おうとすると届けを返される。インフルエンザで休んでも、有給休暇があるのに欠勤で処理される。最高21日間まったく休みがないことがあった」
また技術職で働く40代男性は、朝礼で部長から「有休なぞ取れると思うな」と念押しされた。
「同僚が体調不良で仕事を休みたい旨を電話連絡すると、『電話する元気があるなら、会社に来い』と言われた」
ほかにも病欠が許されない職場エピソードとして、「インフルエンザで休んだら朝礼にて謝罪させられる。残業してる人ほど評価が高い」(30代男性、販売・サービス業)、「有休使用1日につき給与1万円減額」(20代、管理・事務職)などが寄せられた。
上司「俺が休みたいわ。それくらいで有休とかほざいてんじゃねえよ!」
介護業界で働いていた30代女性は、入社後のオリエンテーリングで上司から「募集要項の中に有休ありってあるけど、これ取る人いないからね」と言われたという。新入社員たちは首を傾げたが、上司はすぐさま、
「シフト表以外の休みとるなら給料減るよ」
と語気を強めた。女性は「だから人が続かないんだよ介護業界!!」と嘆いている。
自動車部品工場で働いていた30代女性は、半日勤務後に夜勤に入るなど、繁忙期は長時間労働を強いられていた。残業代は出たが、疲れが限界に達して有休申請したところ、
「俺が休みたいわ!それくらいで有給休暇取りたいとかほざいてんじゃねえよ!と罵倒された」
と振り返る。結局、学生時代の友人の披露宴、幼馴染の親の葬儀、祖母の手術、親の入院でも休めなかったという。女性は最終的にうつ病になり、退職を余儀なくされた。
休みたくても休めない環境に慣れてしまうと、他人の休みに不寛容になるのだろう。「働き詰めが美徳」という考えは、今すぐにでもなくなるべきだ。