2019年01月03日 10:52 弁護士ドットコム
夫のカバンに見覚えのない避妊具を見つけてしまったーー。不倫を疑った女性から弁護士ドットコムに相談が寄せられています。
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相談者によると、「夫が休日に外泊する際に使うカバンの中に、見覚えのない避妊具」を発見したそうです。最初に見つけた時点で、中身がすでにいくつか減っていた上、「後日、夫が休日に外泊した数日後に見ると中身が更に減っていた」といいます。ちなみに外泊事件は2度、ありました。
相談者は「その間、夫と私に性交渉はなく、もちろん避妊具は一切使用していません」という事情から夫の不倫を疑っています。不貞の証拠とするべく「最初に避妊具を見つけた時と2度目に見つけた時に箱と中身の写真を撮り、3度目に見つけた時はムービーを撮った」そうです。
「これは夫に慰謝料を請求したいと考えた時に不貞の証拠にはならないでしょうか?」と不安げな相談者。相談者が撮影した写真では不十分なのでしょうか。小田紗織弁護士に聞きました。
ーーカバンから減っていく避妊具。状況はよくわかりますが、果たして、裁判所は「証拠」として認めてくれるのでしょうか
「相談者との間には性交渉がないのに、夫は避妊具を持っていて、その中身が外泊の都度減っているのですね・・・。夫に直接疑惑を追及する際の証拠としては、これでも有益かもしれません。思わず白状してしまいそうですから。
しかし、夫のカバンに避妊具が10個ある映像と、それより後の日付で夫のカバンの中の避妊具が9個ある映像、この2つの映像から『夫が妻以外の人と性交渉がある』とは、すぐに結びつきません。『なくした』『妻と使った』など別の事情があったと主張される恐れもあり、不倫で使ったとは立証できないからです。裁判で用いる証拠としては残念ながら弱すぎます」
ーー逆に、どのような証拠であれば「強い」のでしょうか
「不貞の証拠として有力なのは、夫とその女性との間に性行為があったことを直接示す写真や動画、あるいはホテルへ入る様子、女性の自宅へ入り翌朝まで出てこず女性宅で宿泊している状況などを撮影したものです。調査状況の詳細な報告書があればなお良いです。
今回の相談者のケースでは、夫の外泊の予定を事前に知ることができているので、夫を追跡しやすいでしょう。興信所などに調査してもらう方もいますが、費用がかかるため、知人に調査してもらう方もいますし、自分で追跡される方もいます」
ーーLINEなどのやりとりはどうでしょうか
「最近、証拠としてLINE、メールの内容、夫のスマートフォンに記録されている画像も証拠としてよく出てきます。単に親しげな様子では足りず、二人の間に性交渉があったことを示すやり取り、旅行の約束、性交渉時に撮影した写真、旅行時の写真などがあると良いでしょう。GPSで夫がホテルへ出入りしていることを確認している方もいます。
これら一つずつでは証拠として弱くても、これらを積み重ねることで不貞を証明することができます。
夫の不貞の証拠を集める作業はとても辛く、想像するだけで涙をされる方も多いです。しかし、一度証拠を集めだすと驚くような行動力を発揮される方も多いです」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/