2019年01月01日 10:22 弁護士ドットコム
息子が養育費を支払わなければ、親である自分たちが支払うべきなのか、という相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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相談者によると、息子は成人しています。息子には以前、交際していた女性がいましたが、女性が妊娠、中絶した後、2人は別れることになったそうです。
ところが先日、その女性から息子に連絡があり、実は出産したのだと明かされました。「養育費を払って欲しい」と要求されたそうです。
相談者は、息子が過去にも女性トラブルを起こしていることなどから、「息子に支払い能力がなければ、私たちが払わなくてはいけないのか」と、不安を感じています。
相談者と息子はどう対応するべきなのでしょうか。齋村美由紀弁護士に聞きました。
ーー中絶は元カノが希望したことだといい、息子も中絶したものだと思っていたようです。今回のような場合、まずはDNA鑑定を求めても良いのでしょうか
「不信感を持っているのであれば、DNA鑑定を実施して父子関係を確認すべきです。その結果、息子の子どもと明らかになれば、認知をするかどうか考えることになります。
というのも、法律上の婚姻関係にない男女の間にできた子ども(嫡出でない子)については、父親が認知することによって初めて、法律上の父親になります(民法779条)。父親に養育費を請求するためには、原則として父親の認知が必要となるからです」
ーーもし息子が父親だとわかったとして、養育費を支払えない場合には、相談者が支払う必要があるのでしょうか
「養育費の支払いは、親が子どもに対して負う扶養義務です(民法877条1項)。そのため、息子に支払い能力がない場合でも、相談者に養育費の支払い義務は生じません。
また養育費は、父母の収入や資産、子どもの人数や年齢、教育費、医療費など一切の事情を考慮して算定されるものです。息子に支払い能力がなければ高額な養育費の支払い義務を負うことはありません。
現在、家庭裁判所の実務では、養育費の算定について、標準的算定方式とそれに基づく算定表が運用されていますので、息子さんの収入であればいくら位の養育費を支払う必要があるのか、参考にされるとよいでしょう」
ーーちなみに、祖父母には孫に対する扶養義務はないのでしょうか
「祖父母にも孫を扶養する義務はあります(民法877条1項)。もっとも、親が子に対して負う扶養義務は生活保持義務ですが、祖父母から孫への扶養義務は生活扶助義務すなわち、自らの社会的地位等に相応する生活をした上で余力がある限度において負担する義務とされています」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
齋村 美由紀(さいむら・みゆき)弁護士
平成21年弁護士登録。広島弁護士会所属。離婚、相続、交通事故など一般民事事件を中心に取り扱う。
事務所名:ひろしまアイビー法律事務所
事務所URL:http://www.hiroshima-ivy-law.com/