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ミュージカル女優と歌手の二刀流で魅了する、田村芽実の可能性と実力

2018年12月28日 17:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ハロー!プロジェクトのアイドルグループ「アンジュルム(旧スマイレージ)」を2016年5月に卒業した田村芽実。「ミュージカル女優になる!」と高らかに目標を掲げた決意の旅立ちから2年半。その“第2の人生”がたびたびSNSなどで話題を集める彼女の歩みを振り返ってみたい。


(関連:5月末でアンジュルムを卒業 田村芽実の参加楽曲は全部で何曲?


■圧倒的な歌唱力で多くの人が絶賛し、転機となった舞台


 約5年活動したアンジュルム時代から「めいめい」の愛称で親しまれ、チャーミングな笑顔と全力のパフォーマンスで多くのファンを魅了していた田村。加入時はいかにも子供という幼い雰囲気だったが、みるみる身長が伸び、いつしかスタイルも抜群の大人っぽい姿に成長。当初から高い歌唱力と表現力を買われていたが、あっという間にグループの主力となっていった。その階段の上がり方は鮮やかのひと言で、幼少期から劇団四季や宝塚歌劇など多くの舞台を見ては憧れ、自身もミュージカル教室に通い学んできた大好きな“歌”を一気に開放させるような輝きがあったことを記憶している。


 日本武道館で開かれた卒業コンサートも印象に残っている。アンコールでオレンジ色のドレスをまとって登場した田村は、ベンチに腰掛けて自身が大好きな曲「自転車チリリン」をドラマティックに披露。コロコロと表情を変え、演じるように歌う姿はさながらミュージカル映画『メリー・ポピンズ』の主人公のようだったし、彼女自身の“未来”にも見えて胸を打った。ファンの間では今も語り草となっているワンシーンだ。


 そんな弱冠17歳での卒業から1年。大きな転機は、2005年に逝去した歌手・本田美奈子.の半生を描いた舞台『minako -太陽になった歌姫-』の主演だった。話題作への抜擢は当時、各メディアでも大きく報道され、アイドル時代のブランクを感じさせない圧倒的な歌唱力は見た人がこぞって絶賛。また、その舞台を関係者が鑑賞したことからオファーを受けたのが、阿久悠のトリビュート・アルバム『地球の男にあきたところよ~阿久悠リスペクト・アルバム』。阿久が当時の10代に向けて書いた楽曲「ロマンス」(岩崎宏美)を10代最後の歳に発表した田村の歌は、これまた鳥肌が立つほど絶品。儚くも強く、瑞々しいほどのピュアネスに胸を掴まれる仕上がりで、ネットのレビューも高評価の嵐。ぜひ一度聴いてみてほしい。


 以降も舞台やミュージカル出演は途切れず、今年8~9月には過去にも出演経験のある「TRUMP」シリーズの最新ミュージカル『マリーゴールド』に出演。持ち得るポテンシャルを余すことなく開花させた全身全霊の歌と芝居は震えるほどの感動をもたらし、初日後、すぐに多くの人がSNSで田村の演技を称賛。同作を観劇した土屋太鳳が自身のインスタグラムで“天才。あまりにも素晴らしい”と絶賛したこともネットニュースで話題となった。


■ミュージカルとポップスの融合を追求していく楽曲


 アンジュルム卒業後わずか2年強で軒並み結果を残し、着実にミュージカル女優としての実力が認められつつある中、今年9月には満を持してソロでのCDデビューも。デビュー曲「輝いて ~My dream goes on~」は、ミュージカルとポップスの融合をテーマに制作されたスケールの大きなナンバー。壮大なメロディーに映える田村のダイナミックで迷いのない歌声が胸を掴む。ミュージカルのセンターで彼女が大きく手を広げながら歌う姿が目に浮かぶような、アイドル時代とは大きなギャップを感じる発声と磨きのかかった細やかな表現力に度肝を抜かれた。


 そして12月26日には、2ndシングル『魔法をあげるよ ~Magic In The Air~』を発表。「輝いて ~My dream goes on~」で表現したミュージカルとポップスの融合をさらに推し進めた1曲で、前作に続いて作詞はヒットメイカーの藤林聖子、サウンドプロデュースは飛内将大(agehasprings)が手がけている。さらに今作は、デモ曲から音源を選んだ前作とは違い、イチから彼女のために書き下ろされた初の楽曲。どこまでも広がっていくようなサウンドはどこかスペイシーで、心地よい疾走感に思わず体がノリ出す。〈魔法をあげるよ〉〈奇蹟を起こそうよ〉と歌うファンタジーと可愛らしさが同居する歌詞は、田村自身のリクエスト。〈世界は変わる〉とポジティブに歌い上げるボーカルは自信に満ちて清々しく、今の彼女のモードを表しているようにも感じられる。カップリングも必聴で、バラード「優しい夢だけをみて」は温かさとやわらかさのある高音ボーカルを惜しげもなく発揮。昭和のアイドルポップス好きな田村のフェイバリットソングで、斉藤由貴が20歳で吹き込んだ名曲「MAY」のカバーは少女のように無垢でかわいらしい歌声。3曲の圧倒的な歌のふり幅と、それを“自分のものにしている”感は、本当に圧巻だ。


 来年1月19日には、ソロデビュー後、初のワンマンライブが決定。音源からも存分に伝わってくる“歌に懸ける想い”がステージでどう表現されるのか…。そこには期待しかない。ミュージカル女優と歌手の二刀流で魅了する「田村芽実」という可能性が、2019年はますます世間の関心を集める1年になりそうだ。(川倉由起子)