2018年12月28日 08:41 リアルサウンド
図書館といえば誰もが行ったことがある場所。学生が勉強をする場としてもまだ使用されているが、子供の時のように本を借りるなど図書館のサービスを利用することは少なくなっているのではないだろうか。電子書籍の発展や本を貸し借りする手間などから、図書館で本を借りるというメリットを感じなくなっている人も多いかもしれない。そんな日本の図書館の現状から見ると、アメリカの図書館の現状は大きく違う。今回はそんなアメリカの図書館の発展を紹介する。
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若者世代の利用率は半数を超える
アメリカの研究機関が2016年に行ったリサーチでは、アメリカの公共図書館を利用する世代で最も多いのは18歳~35歳の若い世代ということだ。しかも利用率は53%と半分以上の18歳~35歳の若者世代が利用していることになる。なお、この統計ではあまり日本では見かけない移動図書館の利用も含まれている。
さらには、若者世代の41%が図書館のwebサイトを利用していると回答。ここでの“webサイト”が、日本とアメリカの図書館事情の大きな違いを象徴している。
アメリカにおける図書館webサービスの発展
まず、アメリカでもはや一般的と言えるほど普及しているのが「e-Books」のサービス。e-Bookとは電子書籍のことで、パソコンやスマートフォンなどで書籍を読むことができるサービスで、日本だとAmazonのKindleなどが有名である。一例として紹介したいのがニューヨーク公共図書館のe-Bookサービス「SimplyE」こちらは専用のアプリが配信されていて、約30万冊以上のe-Bookを取り扱っている。アメリカでは一般的なオーディオブックも利用でき、もちろんニューヨーク市民ならば無料で利用できる。
もう一つ紹介したいのが、カナダで生まれた「Hoopla」というサービス。こちらは無料で映画や音楽、TV番組などが無料でストリーミング可能。利用には公共図書館の登録カードが必要だが、約25万枚以上のCDアルバムや約1万本の映画などが楽しめる。
世界最大級の図書館も新たなサービスを開始
そして、世界最大規模の図書館であるアメリカ議会図書館がが保有する数百時間にも及ぶ映画フィルムをwebで観られるようにする「ナショナル・スクリーニング・ルーム」のオープンが今年2018年に発表された。このサービスでストリーミングできる作品はパブリックドメイン(公有)の記録映像が多いものの200本強を超え、さらには毎月映像を増やしていくそうだ。しかもパブリックドメインの映像はダウンロード可能という力の入れよう。
世界最大級の図書館である議会図書館がこのような取り組みを始めたことから、アメリカ国内での図書館でのwebサービスの質はさらに向上してくのではないかと考えられる。
このようにアメリカの図書館webサービスは、日本と比較すると目覚ましい発展を遂げていることが分かる。もし日本の図書館がこのようなwebサービスを開始すれば若者はもちろんのこと、今までスマートフォンなどの電子機器あまり利用してこなかった世代にも電子機器に触れてもらういい機会にもなるだろう。日本の図書館におけるwebサービスの導入が待たれる。
(文=ひろこがね)
参考記事
https://www.loc.gov/item/prn-18-125/
Millennials are the most likely generation of Americans to use public libraries
http://www.librarysimplified.org/
https://www.hoopladigital.com/