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“タッキー&翼”はふたり自身が誰よりも楽しみ尽くした 16年間詰め込んだベストアルバムを聴いて

2018年12月28日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 タッキー&翼の16年間の歩みを詰め込んだ、タキツバベストアルバム『Thanks Two you』が、12月26日に発売された。初CD化音源を含む全68曲(タキツバ44曲+滝沢秀明ソロ12曲+今井翼ソロ12曲)をリマスタリングで収録。さらに、MV26曲とMVオフショット21曲分を納めた初回限定盤のCD+Blue-ray・DVDは、ディスクが7枚にも及ぶ超大作だ。


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 三方背ボックスがズシリと重く、さながら卒業アルバムを手にしたような感覚。そして目に飛び込んでくるのは、ボックスを彩るジャケット写真たち。まだ、あどけなさが残る1stオリジナルアルバム『Hatachi』(2002年)から、見つめ合うふたりが印象的な『To be, To be, Ten made To be』(2003年)、海辺でリラックスした表情がキュートな『Ho!サマー』(2006年)、あらわになった胸筋がセクシーな『抱夏-ダキナツ-」(2014年)、そして色気漂う大人のスーツ姿を披露した『山手線内回り~愛の迷路~』(2015年)……。20歳&21歳から、36歳&37歳へ。ふたりが紡いできた“タッキー&翼”という青春時代がまぶしく輝く。


 ディスクをプレーヤーにセットして、再生ボタンを押せば、まさに“時間旅行”のはじまりだ。メイキングやオフショットも含め、2枚のディスクに収められた映像は合計262分。これまでの作品をノンストップで鑑賞できる、贅沢なタイムトリップである。「卒業~さよならは明日のために~」(2003年)のオフショットでは、「は~、緊張する。まだ、ちょっと恥ずかしいですね」と照れながら笑う滝沢や、インタビューに応える滝沢の背後からちょっとふざけた顔を見せる今井と、ふたりの初々しいリアクションが収められている。こんな時期もあったのかと微笑ましく思いつつも、〈たとえばぼくたちが想い出になる〉という歌詞が、タッキー&翼はずっと続くと思っていたあの頃とはまた違った響きで聞こえる。


 少しセンチメンタルな気分に浸りながらトリップを続けていると、ファンが手の振りを楽しむ「夢物語」(2003年)や、様々な国の人たちとリズムに身を任せた「Venus」(2006年)。より多様性に富んだメンバーと大はしゃぎする「山手線外回り feat.GUSSAN」(2011年)に、ジャニーズJr.たちとキレキレのダンスで魅了する「REAL DX」(2012年)……と、やはりタッキー&翼は周囲を巻き込んで一緒に歌い踊る楽曲がよく似合うことに気づく。


 キャリアを重ねるごとに、リラックスした表情で作品に向き合うふたり。MV収録のスタジオに入ると、共演者に声をかけたりハイタッチをしたりと、いつも率先して場を温めていた今井。そんな和やかな空気と作品としてのクオリティのバランスを、滝沢がごく自然に取っていく。のびのびとしながらも、適度な緊張感が保たれる、気持ちのいい現場であったことは、映像からも十分に伝わってきて清々しい。


 「(やり残したことは)まったくないです。やり残したとか未練があるとか、そういう思いがあったら、引退するっていう考えにはならなかったと思う」。滝沢は自身がパーソナリティを務めるラジオ『タッキーの滝沢電波城』(ニッポン放送)で、そんなふうに今の心境を語っていた。“悔いはない”と次の道をまっすぐに見据えることができるのは、きっと二人三脚の相方である今井が同じ熱量で駆け抜けたからこそ。もしかしたら、誰よりもタッキー&翼を楽しんでいたのは、ふたり自身だったのではないだろうか。学び舎であり、遊び場であった“タッキー&翼”を楽しみ尽くした、そう思えたのだと信じたい。


 いよいよ12月29日には『8時だJ』(テレビ朝日系)が、そして12月31日には『ジャニーズカウントダウン2018-2019 平成ラストの夢物語!ジャニーズ年越し生放送』(フジテレビ系)が放送される。このタキツバベストアルバムという卒業アルバムのラストページには、最後のステージで見せるであろう、ふたりのやりきった笑顔がよく似合うはずだ。(文=佐藤結衣)