BMWは、スペインのアルメリア・サーキットでスーパーバイク世界選手権(SBK)にワークス体制復帰を果たすBMWモトラッド・ワールドSBK・チームがプライベートテストを終えたと報告した。
2018年11月にミラノ国際モーターサイクルショー(EICMA)で、2019年シーズンのSBKの体制と新車発表を行ったBMW。スーパースポーツのS1000RRが2019年にフルモデルチェンジし、その新型マシンをベースにSBKの舞台でワークスチームとして戦うことをアナウンスした。
ワークスではあるが、BMWモトラッドモータースポーツとショーン・ミュア・レーシングがチームを運営。BMWがエンジン、エロクトロニクス、シャシー、空力の開発を担当し、ショーン・ミュア・レーシングがマシンテスト、レースなどの活動を行う。
新型のS1000RRは先代モデルから車体重量が11kg軽量化され208kgから197kgとなり、8馬力向上して207馬力/13500rpm、最大トルクは113Nm/11000回転を発生させるマシンへと進化した。
テストに参加したのは同チームからエントリーするトム・サイクスとマーカス・ライターベルガーのふたり。SBK仕様のマシンを開発するため、テストで情報収集に努めた。
まずライダーふたりは11月末に、フランスにあるミラマ・サーキットで、スーパーストック仕様のS1000RRで走行。ハンドルバー、ブレーキレバー、バックステップ、シート、タンク、スクリーン、メーターの表示などハードウエアの面でテストを行い、ライダーの要求を元にドイツのミュンヘンにある工場で修正を行った。
それに加え、12月17~18日にアルメリア・サーキットで、SBKのため特別に開発されたブレーキやサスペンションといった部品を使用し走行。両ライダーはそれぞれ100周程走り、問題なく2日間のプログラムをこなした。
サイクスとライターベルガーはスペインのヘレスで行われる次のテストで更に作業を進めるため、基礎のセットアップを固めたという。
2010年から2018年までカワサキでSBKを戦い、2013年にチャンピオンを獲得したサイクスは、BMWに移籍し初のテストで満足いく結果を残せたようだ。
「テストにとても満足している。もちろんまだ初期段階で、まだまだたくさんのことが待ち受けているが、S1000RRのフィーリングに非常に満足しているよ」とサイクス。
「一般的なフィードバックは良かった。2日間のテストを有意義に過ごし、バイクのパラメーターを変更し、いくつかのキーポイントを理解することができた。僕にとってポジティブな2日間で、最終結果には感動した」
新しいチーム体制については「チーム全体がBMWモトラッドのエンジニアと働くという新しい環境は初めてだった。それはみんなが新しい経験で、すぐに一緒になり円滑に動けていた。だからはやく前進できているようだし、BMWモトラッド・ワールドSBK・チームの環境で良いフィーリングを得られた」とコメントした。
FIMスーパーストック1000(STK1000)で2018年の王者に輝いたライターベルガーは「焦点は、ニューマシンを走らせること、チームと新しいクルーに慣れることだった。チーム、作業方法、SBK仕様のマシンは僕にとって新しいことで、初めての走行はとてもうまくいった」と語った。
「シートポジションとハンドルバーの位置は最初からしっくりきた。テストプログラムはシャシー、電子制御、ジオメトリーと多数のセッティングオプションについてなどたくさんの作業が含まれていた」
「僕たちはいろいろなことを試し、BMWに経験を伝え次のテストの準備に取りかかることを望んだ。まだ初期段階で、機能面に焦点を当てテストを行った。これから待ち受ける仕事のためにできるだけ沢山の情報を集めたことは重要だ」
ワークス体制が復活し、マシンのモデルチェンジ初年度となるBMW。2019年シーズンはチャンピオン経験者のふたりでどこまで成果をあげることができるだろうか。