メルセデスF1代表のトト・ウォルフは、強烈なキャラクターの持ち主だと評しているキミ・ライコネンが、フェラーリから離脱することはF1全体にとって痛手だと考えている。
2007年のF1世界チャンピオンであるライコネンがフェラーリを離れるのは、F1での長い経歴において今回で2度目となる。だが今回は、実力で稼いだ資産で悠々自適の暮らしを楽しむためではなく、自分を初めてF1のシートに座らせてくれたザウバーに復帰するためだ。
39歳のライコネンは2019年シーズンも引き続きグリッドに立つことになる。それでもウォルフは、無二の個性と価値を持つライコネンがフェラーリを離脱したことを残念がっている。
「キミが今後レースに勝てるマシンに乗らないということは、F1に様々な変化をもたらすと思う」とウォルフは語った。
「彼は強烈なキャラクターの持ち主だ。ソーシャルメディアや自分本位の考え方が制御不能な今の時代に、自分自身への誠実さを貫ける彼のような人間は非常にまれだろう」
「彼は自分の価値観に誠実に生きており、正統派の人物だ。ファンは彼のそういうところを愛している。キミがフェラーリにいないということは、我々全員にとって打撃なのだ」
「ただ、少なくとも彼はF1を完全に去ったわけではなく、ザウバーにいる。それでも、フェルナンド(・アロンソ)が完全にF1を離れ、キミがフェラーリから離脱するのは残念なことだ。ある意味で、我々はふたりの信じがたいほどの個性を失うといえるのだからね」
「それだけ、キミとフェラーリの組み合わせは魅力的だった」
しかし、去りはしたが失ったわけではない。過去数年間、F1の激しい競争生活から、ザウバーに移ることで若干落ち着いた日々へと緩和されることは、ライコネンに必要なのだとウォルフは言う。
「キミは楽しむためにザウバーに移ると話しているが、ザウバーは上位常連のチームを除けば最高のマシンをもっている」
「それに、彼の自宅はチームの本拠地からわずか40分のところにあるから、彼は家にいる時間も取れるだろう」
「フレッド(・バスール、ザウバーF1代表)のもとには、まとまりの良いチームができているし、フェラーリとも強力な関係がある。だからキミは自分が楽しいと思えることを続けていけばよいと思う」
「彼が何をすべきかということに、我々の意識はとらわれ過ぎていた。勝てるマシンにもう乗らないからといって、彼はF1を去らなければいけないのだろうか?」
「我々は全員ハッピーになるために、そして楽しむためにここにいる。キミが心から楽しめることがドライビングなのだとしたら、その気持ちに誠実に行動する彼は正しい」