TCRインターナショナル時代からイタリアを代表してシリーズに参戦し、2018年もWTCR世界ツーリングカー・カップに2台のマシンを送り込んできたロメオ・フェラーリとチーム・ミュルザンヌが、『アルファロメオ・ジュリエッタTCR』のオフシーズンテストを実施。イタリア・バレルンガで開催されたこの2日間のセッションに、合計4名のドライバーが参加した。
2018年のWTCRで、シーズン中盤からこのアルファ戦線のレギュラードライバーに加わったチーム・ミュルザンヌのケビン・チェコンに加えて、同じくWTCRでブーツェン-ジニヨン・レーシングのFK8型ホンダ・シビック・タイプRのステアリングを握ったトム・コロネル、同チームから3イベントにスポット参戦したマ・キンファ、そしてスーパーGT300クラスをはじめ、GT3カテゴリーで活躍を演じてきたジョノ・レスターと、今回のテストには3名の新顔が姿をみせた。
GT300のほかピレリ・スーパー耐久にも参戦していたレスターにとっては、今回のテストがTCRマシン初体験。ニュージーランド出身で現在29歳になるレスターは、初の前輪駆動レースカーのドライブながら、そのパフォーマンスに感銘を受けたと興奮気味に振り返った。
「このアルファロメオ・ジュリエッタTCRは本当に素晴らしいマシンだね! バレルンガのトラック自体は数年前に経験したことがあったから、今回は100%マシンの感触に集中することができたのも良かった。本当に楽しかったよ」と、メルセデス、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなど数々のGT3を経験してきたレスター。
「チーム・ミュルザンヌとロメオ・フェラーリのスタッフは、僕が早くマシンをモノにできるよう全力でサポートしてくれた。改めてここにいるメンバー全員に感謝したいし、2019年はここで戦えるよう、引き続き努力を続けていく。またみんなとWTCRで再会できるのを楽しみにしているよ」
そして、2018年はライバルとして同じトラック上で『アルファロメオ・ジュリエッタTCR』のパフォーマンスを観察してきたコロネルは、シビックとの比較を次のように語った。
「外から見ていて、このマシンのエンジンにはいつも感銘を受けていた。これこそがジュリエッタの武器だと理解していたけど、実際にコクピットで体感すると本当に強烈な印象を受けたよ」とコロネル。
「マシンがどう反応するかを知るために限界までプッシュして、そのキャラクターを把握することができた。フィードバックは非常にポジティブなもので、このバレルンガもテストには最適なトラックだ。全体的にとても良い1日になったね」
そしてF1のテストドライバーを筆頭に、WTCC世界ツーリングカー選手権やWorldRX世界ラリークロス選手権、さらに電動シングルシーターシリーズのABBフォーミュラE選手権など、多彩なカテゴリーに参戦した経歴を持つマ・キンファは、すでに中国で旧型マシンのステアリングを握った経験があることも明かしつつ、この2018年型の性能向上を実感した、と付け加えた。
「CTCC(チャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップ)と並行して、TCRチャイナ参戦に向けて旧型のアルファロメオを中国でテストしたことがあったけど、この最新モデルはとても良くなっている。過去数年間のシーズンを経て、TCRマシンがこんな風にパフォーマンスをアップを果たせるなんて、とても興味深いことなんじゃないかな?」
このテストで細部の空力アップデートを確認したレギュラーのチェコンも「先月のマカオ以来のカムバックだが、とても収穫のあるテストになった」と、手応えを語った。
「ロメオ・フェラーリの求めに応じて、今回は新開発パーツや細かな空力アップデートの確認とフィードバックを進めた。来季に向けて決まっていることは何ひとつないけれど、近いうちに良いニュースを届けられると思っているよ」
チーム・ミュルザンヌとしても、2019年WTCRに向けた参戦計画を明らかにしていないが、引き続き2台体制でのエントリーが見込まれている。