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ブレイクには前年の“出演増”が必須? 田中圭&中村倫也に続く2018年の“引っ張りだこ俳優”

2018年12月25日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)をきっかけに、主演の田中圭が大ブレイクを果たした2018年。今やその存在を見かけぬ日はないように思える田中だが、彼自身、「『おっさんずラブ』終わってから『毎クール出てるよね』って言われるんですけど、僕『おっさんずラブ』出る前から毎クールで出てるんですよね(笑)」と明かしている(参考:https://abematimes.com/posts/5108213)。


 着実にキャリアを重ねながら与えられたポジションを全うし、人生の半分以上の時間を俳優人生に捧げている彼に対し、いまさら“ブレイク”などと口にするのは少々気が引ける。実際に2017年は、『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)や『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)などをはじめとし、年間を通して毎クール連続ドラマに登場。出演本数も昨年の方が多かった。


 もう一人、各方面で「引っ張りだこ」な、今年の顔として挙げられる存在が中村倫也。彼もまたこの2018年は、『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)や連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)など、絶えず多くの話題作に顔を見せていたが、映画も含めると、田中と同じく昨年の方が出演本数は多い。


参考:中村倫也「“まーくん”や“江口さん”とインプットされることが名誉」


 なぜ、昨年と今年とでこうも世間からの印象が変わってくるのだろうか。彼らをつねに追いかけている方々からすれば自明のことかもしれないが、やはり、ハマリ役・アタリ役を得たというのが大きいのではないだろうか。田中で言えば『おっさんずラブ』の春田創一役、中村で言えば『半分、青い。』での“ゆるふわ男子・まーくん”こと朝井正人役がそれに当たるだろう。


 両者の共通点としては、芸歴に対して膨大な出演作の数も挙げられる。出演作が絶えないということに関しては、二人とも数年も前からのことである。作品ジャンル、演じるキャラクターのタイプ、さらには作品規模や役の大小、それらを問わず堅実に演じ続けてきたからこそ、現在の、あらゆる作品に適応できる器用さを得ることができたのではないだろうか。そう考えてみると、昨年は高橋一生がまさにそのような存在であった。今年は主役級を務めた映画が相次いで公開され、ドラマ出演は1本だけだったものの、『僕らは奇跡でできている』(カンテレ・フジテレビ系)にてプライムタイムでの初の連ドラ主演を飾った。田中や中村にも、やはり同じような活躍を期待せずにはいられない。


 ところで、この2018年、彼ら以外に「引っ張りだこ」だった存在は誰がいるだろうか。出演本数の多さでいえば、やはり真っ先に浮かぶのが山田裕貴だ。昨年は10本を優に超える作品に出演していたが、今年も10本を超え、彼の代表作とも呼べる『あの頃、君を追いかけた』も公開された。2019年は朝ドラ『なつぞら』(NHK)の出演も決まっており、今年の中村のような路線をたどるのではないかと期待がかかる。


 『デメキン』(2017)で山田とともに、情に熱いヤンキー姿を披露した伊藤健太郎は、昨年以上に出演作数を伸ばしてきた。『今日から俺は!!』(日本テレビ系)での好演が記憶に新しい彼なだけに、不良役がすっかり定着しているように思えるが、二枚目から三枚目まで、硬派から軟派な人物まで、じつに巧みに演じ分けていた。演技派のホープの一人だと言えるだろう。


 そして、出演作の総数が多いというわけではないのだが、映画界を大いに賑わせた成田凌の存在を語らぬわけにはいかない。『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』のような超大作から『ここは退屈迎えに来て』といったパーソナルな作品にも絶妙にハマり、朝ドラ『わろてんか』(NHK)での好演もまた強く印象に残っている。2019年も『チワワちゃん』『愛がなんだ』などの公開待機作がすでに発表されており、またも映画界を盛り上げてくれそうだ。


 さらにバイプレーヤー枠としては、吉村界人、岡山天音の存在が目立っていた。硬派なイメージの強い吉村は『モリのいる場所』で、三枚目の役どころを演じることの多い岡山は『銃』で、それぞれガラリと印象を変えた。しかしそれだけでなく、両者ともに主演映画も公開されており、今後さらなる飛躍が楽しみである。


 映画だけで10本以上の出演作が公開され、ドラマも合わせると20本近い作品で顔を見せた毎熊克哉もまた、「引っ張りだこ」な存在だった。現在は朝ドラ『まんぷく』(NHK)への出演で知名度も上がり、時期ブレイク候補の一人に挙げられるのではないだろうか。


 さて、来年は誰が活躍するのだろうか。堅実にキャリアを積み上げていく彼らの奮闘を、見続けていきたいものである。


(折田侑駿)