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「部下に厳しいことを言えない」という管理職が知っておくべき3つのコミュニケーションタイプと言い回しの秘訣

2018年12月25日 07:11  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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私が実施している企業の管理職向け研修では、「部下に厳しいことを言えない」という悩みをよく聞きます。

「部長から、もう少し部下に厳しく言うように言われるのですがなかなかできません」
「一度厳しく物事を伝えたのですが、その後から部下との関係がギクシャクしてしまって、仕事がうまく進まなくなってしまいました……どうしたら……」

皆さんはいかがでしょうか?このような経験をお持ちでしょうか?私も厳しいことはなかなか言えないタイプでしたので、今回はその対策を一緒に考えていきたいと思います。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

自分と部下が普段メインで使っている表象システムを見つける

上記のような相談の背景にある根っこは「自分の伝えたい内容やニュアンスが、相手に伝わっていない」という現象です。そのことが

・上司から厳しくしろと言われる
・部下が自分の思いを受け止めていない

といったことに繋がっていきます。部下に伝わるコミュニケーションを身に着ければこの問題は解消されていきます。

伝わるコミュニケーションを身に着けるためには、自分と部下のコミュニケーションの傾向を知ることが重要です。そのためには、面談等の様子を録画・録音することが有効です。「話の内容を忘れないようにしたいので」と部下に断って、録画・録音してみましょう。

分析ポイントは様々あるのですが、本日は以下の点をお伝えしてまいります。"自分が普段メインで使っている表象システムを見つける"です。

表象システムとは人がメインで使っている五感のことです。主に、様々な情報を視覚的なイメージで処理していくのが得意な人、聴覚的な音で処理していくのが得意な人、感覚的な情報で処理していくのが得意な人に分かれます。そして、それぞれのタイプによってコミュニケーションの取り方に違いが現れます。「視覚タイプ」「聴覚タイプ」「体感覚タイプ」に3つに分類して特徴を整理してみます。

■視覚タイプの傾向
特徴:視線は上方に向きがち、身なりはきちんとしていて、整理整頓を心がけている。見かけを大事にし、話のテンポが速い。「未来は明るい」「話が見えない」「見た目」「先の見通しがよい」「~のように見える」「~な見方がある」等の視覚的な言葉をよく使います。

■聴覚タイプ
特徴:言葉を大切にし、理論的です。自問自答したり独り言をよく言います。聞いて学習することが得意で、音楽を聞いたり電話で話したりすることが好きです。「ピンとくる」「鳴り響く」「聞いてくれない」「問いかける」「~のように聞こえる」等の言葉をよく使います。会話の合間に「あー」とか「えーと」といった言葉が多い傾向もあります。

■体感覚タイプ
特徴:目を下方に動かすことが多く、お腹を使ったゆっくりした呼吸ができていることも。感触や感じに興味を持ち、声のトーンは低めで、落ち着いています。なので、動いたり話したりするスピードはゆっくりとなります。「~と感じられる」「いい感触で」「デキる感じの人」「おいしい話だ」「鳥肌が立つ感じ」「場が重い」「意味がつかめない」等の感覚的な言葉をよく使います。

面談の録画、録音をよくチェックして、自分と部下がどのタイプなのか分析していきましょう。

ポイントは相手と同じタイプのコミュニケーションを心がけること

そして、ここが大事なのですが、人は自分のタイプで話をしてもらうと理解が深まります。例えば視覚タイプの管理職の方が体感覚タイプの部下に早い口調で視覚的な言葉で物事を伝えると、その部下は理解が追い付かないことが起こってしまいます。理解をしっかりさせるのであれば、ゆっくりと体感覚の言葉を使いながら話を進めていく必要があるわけです。

管理職としては自分のタイプを知り、部下のタイプを見極め、相手のタイプにあった柔軟なコミュニケーション能力を身に着けることが求められるわけです。この能力により伝達力が上がれば冒頭のような問題は解消されていきます。その他の分析ポイントに関しては、今後のコラムの中でお話ししてまいります。

そしてもう一点、厳しく伝えていくことが苦手な人は部下に話すたびに、「上司として言うからな」とか「先輩として言うからな」という言葉を話の頭に入れてから指示等を出してみることをお勧めします。頭にこの言葉をつけるだけで厳しいことが言いやすくなるはずです。お試しあれ!

【著者プロフィール】田岡 英明
働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。