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Appleの“2018年ランキング”から見えてくるものとは? ジェイ・コウガミに聞いた

2018年12月24日 10:21  リアルサウンド

リアルサウンド

 2018年も終盤に差し掛かり、各プラットフォームが年間のデータなどを発表するなか、Appleも2018年のランキングを発表した(https://www.apple.com/newsroom/2018/12/apple-presents-the-best-of-2018/)。


(参考:Apple幹部『iPhone XR』がいちばん人気と発言 株価下落への懸念を払拭か


 アプリやゲーム、Apple Music、ムービー、Bookなど、様々なランキングが発表されているが、このラインナップから読み解けるものとはなんだろうか。デジタルジャーナリストのジェイ・コウガミ氏は「Appleがアプリとゲームに分けてランキングを発表していることに注目したい」と述べる。


「今回のランキングは、iPhoneやiPadがいかにゲームコンソール、配信プラットフォームとして大きなものになっているのか、ということを象徴したものだと思います。大きいのは、これまでのパズルゲームやアプリだけで楽しめるものとは違い、『PUBG』や『フォートナイト』など、コンソールでもアプリでもプレイもできて、開発者にもプレイヤーにもメリットがあるクロスプラットフォームのコンテンツが短期的に出てきたことが大きく影響していると思います。PS4でやっていたようなFPSからこちらに乗り換えたユーザーも多く、スマートフォンにも十二分に楽しめるスペックが備わってきたことで、より爆発的に普及したのが2018年の出来事でした」


 そのうえで、現在のバトロワゲームの盛り上がりを受けて、心配なこともあるという。


「Appleとしては、これらのゲームソフトの開発会社が自社で取り仕切って配信・課金を行うようになると、影響が出てくるのではないでしょうか。Epic Gamesが『フォートナイト』のクロスプラットフォーム機能を開放したこともその一環といえますが、全てのプラットフォームにオープンで、iOSに依存しなくてもいいゲーム会社が増えてくるかもしれません」


 また、アプリのランキングについても「クリエイターツール」が多くランクインしたことに注目した。


「『Adobe Lightroom』など、これまでPCで使っていたようなクリエイター向けのツールが、スマートフォンの一般ユーザーでも使えるようになって降りてきたことも大きいですね。背景にはAIの発展や、YouTuber・Instagramer、TikTokerのように、ツールを駆使してクリエイターになることができることも大きいでしょう。この感覚は日本だけでなく万国共通のものなので、世界的にもこれらの動きはますます加速していくのではないかと予想されます」


 ジェイ・コウガミ氏は海外でのシェアが伸びているオーディオブックやPodcastについても、その現状を整理する。


「海外におけるPodcastの位置付けは、Appleが2019年に力を入れるであろうカテゴリの一つとして重要なものになっています。これまでは独自で制作をしているPodcasterが多かったのですが、来年はマスメディアもいくつか参加したり、テキストや動画を主戦場としていたコンテンツ会社が音声コンテンツ制作に流れていくことが予測されます。同じ流れでオーディオブックの売上も上昇しており、テキストは“聴くもの”としての需要が上がっていることが見て取れます」


 最後に、音声コンテンツの今後の展開について、このように分析した。


「今後はもしかすると、オーディオブックのサブスクリプションサービスなども求められてくるかもしれません。Apple側が積極的に乗り出して、Amazon Primeなどに近いプランーーApple Musicとの抱き合わせ購入などが登場したり、著名な作家との独占契約なども飛び出してきたりと、様々な予測ができるので、このあたりの分野には引き続き注目したいですね」


 現状の状況整理と今後の展開予測ができる、2018年のランキング。これらの仮定を踏まえて、来年がどんな1年になるのかが早くも楽しみだ。


(編集部)