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Google「Project Stream」本格テスト始動 参加者には『アサシン クリード オデッセイ』プレゼント

2018年12月22日 09:21  リアルサウンド

リアルサウンド

 音楽ではSpotifyにApple Music、動画ではNetflixにHuluと近年のコンテンツビジネスは「ストリーミング化」を邁進しているが、ついにあのテック業界の巨人が「ゲームストリーミングサービス」の世界に参入しようとしている。参入に際しては、あのAAAタイトルを大盤振る舞いするようだ。


(参考:尖ったタイトル連発のユービーアイソフト、一年を振り返る『UBIDAY 2018』で“不意打ち”の発表も


 テック系ニュースメディア『The Verge』は18日、Googleが提供するゲームストリーミングサービス「Project Stream」において、ステルスアクションゲーム『アサシン クリード オデッセイ』がプレイできるプロモーションが開始されたことを報じた。


 同サービスは今年10月1日に発表され、10月5日からは少数のテスターが参加した小規模のテストを繰り返してきた。同サービスの発表時には追加のテスター募集もあり、今回のプロモーションはこの募集によって集められた多数のテスターが参加する大規模なテストを兼ねている。プロモーション期間はアメリカ限定で1月15日まで。なお、テスト参加者は1時間以上プレイすれば、同ゲームを無料でダウンロードできる特典がもらえる。


 『アサシン クリード オデッセイ』は、大手ゲーム開発・配給会社ユービーアイソフトが提供する大ヒットゲームシリーズの最新作であり、今年10月にリリースされたばかりだ。同ゲームシリーズでは、プレイヤーはアサシン教団に属するアサシン(暗殺者)となって、様々な場所と時代を舞台として壁をよじ登るといった複雑なアクションをプレイする。


 こうしたゲームをストリーミング配信するには高画質なゲームグラフィックを描画でき、なおかつ遅延なく高負荷な通信にも耐えられるネットワークインフラの構築が不可欠となる。Googleは、同ゲームのストリーミング動画をYouTubeで公開し、ゲームインフラの性能をアピールしている。


ストリーミング技術の限界を押し広げる


 Project Streamに関しては、Googleが10月に発表したブログ記事で詳しく解説されている。その解説によれば、音楽と動画に続いてストリーミング配信されるのはゲームであるとして、同社はChromeでゲームをストリーミング配信する同サービスを立ち上げた。


 同サービスのテスト参加者の資格は、25Mbps以上の高速で安定的なインターネット通信ができ、PCに最新バージョンのChromeがインストールされていること。さらにGoogleアカウントとユービーアイソフトのアカウントの両方を作成していること。


 そして、17歳以上の「アメリカ在住者」であることだ。ちなみに、日本から同サービスの公式ページにアクセスすると「申し訳ございません、このプロジェクトは現在アメリカのみでオープンとなっています」というメッセージが英語で表示される。また、同サービスを今後アメリカ以外の国で展開するかどうかに関する情報は、現時点では全く発表されていない。


ストリーミングサービスの次なる主戦場は「ゲーム」か


 ゲームストリーミングサービスを立ち上げようとする動きは、Googleに限ったものではない。Microsoftも「Project xCloud」を発表している。今年10月15日にMicrosoftが公開したブログ記事によると、このプロジェクトの最終目標は現在XBox Oneでプレイできる3,000以上のゲームタイトルと今後開発されるゲームをデバイスの制約なしでプレイできるゲームストリーミングサービスの構築である。2019年にはパブリックトライアルを開始する予定だ。


 ゲームストリーミングサービスへの参入は、ゲーム配給と馴染みが薄い企業も名乗りを上げている。PCのグラフィック性能を司る部品であるGPU製造の最大手NVIDIAは、すでに「GEFORCE NOW」を提供している。このサービスは、同社が開発したゲーミングタブレット「SHIELD」を使って配信されるゲームを楽しむというもの。月額7.99ドル(約900円)で利用でき、最初の3ヶ月は無料だ。


 また、ストリーミングサービスとはやや趣が異なるが、今月はじめに立ち上がったEpic Gamesストアではストア登録ユーザに2週間ごとに1本無料でゲームを提供している。同ストアを運営するEpic Gamesは独自のゲームプラットフォームを構築する野心があると思われているので、今後ゲームストリーミングサービスを開始したとしても驚くに値しない。


 世界的に新たな大容量データ通信規格5Gへの移行が進んでいることを加味すると、ゲーム市場こそが次のストリーミングサービスの主戦場となる可能性は極めて高いだろう。


(吉本幸記)