F1の伝説的存在であるニキ・ラウダは、夏に肺移植を受けた後、セバスチャン・ベッテルから送られた個人的な手紙に心を打たれたという。
快方へ向かうラウダは、今年夏の手術以来初めてとなる独占インタビューをLa Gazzetta dello Sport紙から受け、そのなかでベッテルからの予想もしなかった手紙について触れた。
「セバスチャンの手書きの手紙は私にとって素晴らしい喜びだった。多くの気遣いの言葉にあふれ、心優しく思いやりのある内容だった。予想もしていなかったよ。大抵のドライバーはこういうことはしないものだ。彼らはただドライブするだけだからね。だが彼は良い人間だ」とラウダは語った。
2018年のベッテルは強力なシーズンスタートを切り、ルイス・ハミルトンとメルセデスの支配に挑戦していった。
しかし夏からシーズン後半にかけてはチームとベッテル自身の度重なるミスによって不調に陥り、4度の世界チャンピオンである彼はハミルトンの後塵を拝することになってしまった。
またも不首尾なシーズンとなったものの、ラウダはイタリアメディアがベッテルがフェラーリのシートにふさわしいのかどうかという疑問を呈したことは、「ばかげている」と一蹴した。
「彼は落胆しているだろうし我々もそれは分かっているが、疑問を呈するなどばかげている」とラウダは語った。
「彼は調子を取り戻す。チャンピオンがドライビングの仕方を忘れるようなことはない。彼はこれまでのように強力になって戻ってくるし、2019年もハミルトンのライバルであるだろう」
ラウダは体力が大きく落ちたため、メルセデスのガレージに姿を見せることはままならなかったが、レースを病室から観戦し、どのような出来事も見落とすことはなかったという。
「ひとつのグランプリも見逃していない。たとえ多くの点滴に繋がれていてもだ」とラウダは語った。
「私はすべてのレースを観戦し、週末にはピットに電話をして、何が起きているか常に教えてもらっていた。まるで他のみんなとコースぎわにいるような感覚だったよ。ここ何年も一緒に仕事をしてきた人々の温かさを、再発見したとでも言うべきだろうね」
しかしながら、3度の世界チャンピオンであるラウダの回復の道は決して簡単なものではない。彼は現在、ふたりのフルタイムのトレーナーをつけて、1日6時間のトレーニングに耐えている。
「とてもきついことだろうと分かっていた」とラウダは休暇を過ごすイビザの自宅から語った。
「このような状況でできることはただひとつ、戦うことだ。私は常に戦っていたし、今もそうしている。自分の壁に閉じこもるようなことはしない。ここの空気はきれいだし、気候もオーストリアほど悪くはない」
「1カ月のうちに体調は完全に元通りになり、また仕事を始められるようになると言われた。私は前のようにグランプリを追いかける。そうしない理由はない」